不意に見上げると、夜空には星々がきらめいていますが、輝き方が星によって異なります。月も金星も自ら光っているわけではありません。太陽の光を受けて、煌々と輝きます。このことを人間に当てはめてみたいと思います。月や金星のように、誰かの力を借りて、今の自分に輝きを与えているとしても、人の場合、いつか、自らの力で光を放たなければなりません。
ただここで注意したいことがひとつあります。自らの力というと、生きる炎を燃やすことで、自らエネルギーを生み出し、それを自分へもたらすだけであってはなりません。
そもそも大人は自ら創り出す光を、子供たちに与える役割を持ちます。まさに今、こうして輝きをもらって生かしてくれる自分の親のように、自分も学習の課程を経た後に、同じお日様のような役割を持たなければなりません。
何よりも、強い者が弱い者を守るのが、社会という場です。だから、弱い者を助けたいと心底願う優しい気持ちがあるのなら、人は強くなるべきです。強くなって、人へ何かを与え、何かを与えることで、与えられるよりもずっと大きな本物の幸せを知るべきです。
さて、光と言えば、ドイツの文豪、ゲーテは、「もっと光を!(MehrLicht!)」とのこして亡くなったそうです。ゲーテの辞世の句として、よく知られています。
かつて生前のゲーテがそうであったように、本気で何かビジョンを持ち、夢中になるからこそ、人は、死の直前まで光を求めて輝くのではないでしょうか。