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結婚したいのにできないカップルのような党首討論
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党首討論で野田佳彦首相(左)の発言に耳を傾ける谷垣禎一総裁(右)=11日午後、国会・参院第1委員会室(酒巻俊介撮影)(写真:産経新聞)
【酒井充の政界××話】

 結婚(消費税増税の実現)に向かって相思相愛なのに、お互いの不信感・不安や親族の妨害などが原因でケンカを繰り返し、デートすらできない2人-。11日に行われた野田佳彦首相と自民党の谷垣禎一総裁の党首討論を見て、ふとそう思った。分かりやすく描写するために、不謹慎かもしれないが、結婚に至る過程で悩む2人を男女関係に例えてみた。どちらが男性でどちらが女性かは脇に置いておいて…。

 《2人のやりとりは約30分間で8往復半。消費税増税が必要との問題意識を「共有している」と何度も称賛しあった2人。最初に求愛の言葉を口にしたのは谷垣氏だった》

 谷垣氏「首相は税と社会保障の一体改革に政治生命を懸ける、命を懸けるとおっしゃった。大変立派なお言葉だと思います」

 《以前から2人だけのデート(個別の党首会談)を誘ってきた首相。だが、谷垣氏には心配があった。首相の身内に増税(結婚)への反対論が根強いからだ》

 谷垣氏「いろいろお呼びかけがあります。その前に、中をきちんとまとめる。こういうことがあって初めて首相のお覚悟がうかがわれてくると思うのです」

 首相「重大な決意で臨むことは変わりません。丁寧な議論を積み重ねてきたと思います。ご心配は無用だと思います」

 谷垣氏「なかなか足元が掌握できていなくて、いろんな弊害も出ているんです」

 《理解を求める首相だが、谷垣氏は、実現を約束した衆院選挙制度改革を進められない首相に心を許していなかった。首相はある作戦に出た》

 首相「この際、お願いしたいんですが、私どもは与党をまとめることに責任を持ちます。ぜひ谷垣総裁も野党全部、せめて公明党さんとはしっかりすりあわせる責任を持っていただきたい。総裁のリーダーシップの下でぜひまとめていただきたい」

 《あなたの主導で親類にも理解を求めてほしい、と相手を持ち上げたつもりだったのか。しかし、これが逆鱗に触れ、裏目に出た》

 谷垣氏「野党をまとめるのが野党の責任だなんていうのはね、のしを付けてお返ししたい。野党ボケの議論だと思います!!」

 《ただ、谷垣氏にも未練は残っていた》

 谷垣氏「党首会談は必要なときはやったらいいと思っています。ただ、具体的に国会をどう運んでいくかの提案を出してくださいよ。それがなくて会談しても意味がないと思うんです」

 《結婚したくても、そこに至る具体的な計画(法案成立のための段取り)が示されないままデートを重ねても意味がない。谷垣氏はそれが心配でたまらない様子だ。それでも首相はしつこくデートを迫ってきた》

 首相「トップ同士で胸襟を開いて議論したいというのが党首会談の趣旨なんですよ。党首討論だって30分じゃないですか。問題意識を共有する部分はかなりあると思っているんです。だから党首会談を引き続きお願いしたいと思いますが、お受けいただけるんでしょうか」

 谷垣氏「国会の中でがっぷり四つに組んで議論することが第一だと思います。私と首相がお話ししなければならないこともあるだろうと思います。必ずしも否定しません。でも反対の方もたくさんいらっしゃる。党の中がまとまらない恐れがあるのが私の心配でございます」

 《実はこの2人、2月末に密会したことがあった。発覚後もかたくなに否定し続けているところをみると、よほど知られたくない約束でもあったのだろうか。ともかくデートでだまされることが心配なようで、谷垣氏は衆人環視の元で念を押した》

 谷垣氏「消費税法案は6月21日までの国会会期内に結論を出すという覚悟だと承ってよろしいですね?」

 首相「その姿勢は変わりません。自民党のマニフェスト原案にも消費税10%と書いてございます。全く問題意識は同じなんです」

 《「心配ないよ」と訴えてみた首相自身にも不信感があった。谷垣氏がデートの条件として「消費税増税法案をまとめて」「法案を閣議決定して」と求め、そのたびに実行してきたのに応じてくれない。不信感は恨み節に変わっていった》

 首相「これまで谷垣総裁は『自分たちは土俵に上がっている。早く土俵に上がってこい』とおっしゃったじゃありませんか。われわれは土俵に上がったのに、なんでまだ『待った』をするんですか。おかしいと思います」

 《思わぬ言葉に谷垣氏の顔がみるみる赤くなった》

 谷垣氏「『待った』なんてしておりませんよ。私と首相が議論しなければならないこともあるでしょう。しかし、国会の場できちっと議論をしていくのが先じゃありませんか。その具体的な日程も具体的なやり方も示さないでおいて、『待った』をしているというのは無礼千万!!」

 《今度は結婚に向けた具体的な不安が頭をもたげてきた》

 谷垣氏「消費税について根本の問題意識は共通している面があると思います。しかし問題はですね、税と社会保障の一体改革と言ってこられたはずでございますけども、一体になっていませんね」

 《首相が約束した将来の最低保障年金導入の実現は無理とみている谷垣氏。だが、首相は結婚への工程表は作ったと胸を張る》

 首相「少子化対策や生活保護をどうするかとか、問題点として共有できるものはいっぱいあると思います」

 《甘い言葉を投げかける首相だが、谷垣氏にはかつて首相が約束を破ったとの思いが根強い》

 谷垣氏「工程表は平成21年衆院選のマニフェストにも付いておりました。でもマニフェストの主要部分がガタガタになっているわけでしょう。問題点をしっかり反省し、撤回して、けじめをつけなければ、私は嘘の片棒をかついで増税に賛成するわけにはいかないということは明確に申し上げておきます」

 《「嘘」という表現に首相は激しく反応した》

 首相「嘘の片棒を担いで税の話は賛成できないというのは、おかしいんじゃありませんか? 民主党の約束がうんぬん、どうのじゃなくて、そういう問題は御党だってあったはずじゃないですか。郵政民営化でバラ色になるといってそうなったんでしょうか。そんなことをお互いに言い合っても政治は前進しませんよ」

 《冷静さを失った首相だが、前日の10日には、党首討論の本家・英国のキャメロン首相と会談し、アドバイスを求めていた。答えは(1)砂糖をたくさん入れた紅茶を飲むこと(2)バナナでエネルギーを補給すること(3)どんなにつらくても笑顔でいること-。ところが討論中の笑顔は皆無で、紅茶とバナナを忘れたらしい。首相の気迫にたじたじの谷垣氏の脳裏に、ふと首相と折り合いの良くない親族(小沢一郎元代表らのグループ)の存在がよぎった。縁切りを求めつつ、再び結婚への決意を確認し始めた》

 谷垣氏「このまま首相が議論を進めていかれれば、いつも御党の中には100人ぐらいの反対派がいるわけじゃないですか。造反予備軍がいるわけですよ。このまま採決すれば否決されてしまいますよ。その場合は内閣総辞職をされるか、あるいは解散をして国民に信を問う。首相のお覚悟はそういうことだと理解してよろしいですね?」

 首相「政治生命を懸けるという話はいたしました。私も政治家として重たい言葉だと思っています。強く自覚しています。だけど、それが通らなかったらどうするうんぬんということを解釈するというのは変ではありませんか。野暮じゃありませんか。『たられば』で議論をすることは不毛だと思います。重たい決意であることは間違いございません。その思いを共有していただきたいと思います」

 《首相の猛烈なアプローチにひるんだのか、谷垣氏は話題を変えた。結婚するかもしれない相手の足を引っ張るお局(鳩山由紀夫元首相)と兄弟子(田中直紀防衛相)のクビを切るよう迫った。だが、これは不発。のらりくらりとかわされると、最後はやっぱりエールで結んだ》

 谷垣氏「首相は不退転の決意で税と社会保障の一体改革にあたっていただきたいと思います。成就しなければ退陣、ないしは国民に信を問う覚悟があってこそ、道が開けていくということを重ねて申し上げて終わります」

 温厚で真面目と言われる2人だが、互いに決断力がないまま果たしてゴールできるのかどうか…。

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