熱湯をかけら
式典は終わり、食事が始まった。
メレッサは椅子を滑らして母の横に行った。母も顔を寄せてくれる。
「それでよかったの?」
メレッサは心配したが、母は平気な顔をしている。
「望まれる結婚が一番幸せかなと思ったの」
母はうれしそうだった。
なんとか解放された僕はあの女から就寝許可を得た。曰く「夜中にこの森をうろつくのは危険だから」との事だが、その気遣いが何とも不気味でおどろおどろしい。
明日から何をされるのだろう。拷問か、人体実験か、はたまた人形にされてあの家に吊るされてしまうのか。考えるだけで恐ろしい。
「……」
あの女は客人をもてなした事など一度もないのだろう。夕飯らしきスープを用意されたが、宙に釣られた人形が垂直落下で運んできたせいで、ほとんど床にこぼされてしまった。
風呂に入りたいと言えば、どこから持ってきたのかホースのようなものから勢いよく熱湯をかけられ、その熱に悶えていると、体温を下げると言い出し土に埋められそうになった。
今いるこの場所もそうだ。女のベッドに男が寝るわけにもいかず、かといって外で野宿はできない。
そこであの女は寝床を用意するといい、あのゴーレムと呼ばれる土の手が女の命令で姿を変え、中に空洞のある球体となった。
おやすみと言いながら入口を閉じて去って行ったが、よーく考えるとこれは監禁と言う奴なのではないだろか。
だってこれ、こっちから開けれないよな?
「硬い……」
そして横になって寝ようにも、そこはさすが土。硬くて最高に寝心地が悪い。
ゴーレムに土を柔らかくしてくれないかと頼んだが、主以外の命令は聞かないのか、なんの音沙汰もない。
仕方がなく僕は来ていた上着を丸め、枕代わりにしようと試みる。うん、いくらかはマシになった。
今日は仕方がない。明日ここから出られたらあの女に懇願してみよう。