一国一城の主夕暮れの高知城は薄っすらとライトアップされて、それはそれなりに幻想的だった。一国一城の主といえば、地位名誉と権力を手に入れ裕福で不自由のない暮らしができると現在ならば想像するだろうが当時はこの城自体が実を守る鎧でありけっして楽しいわが家というわけではなかったと思う。ただそれを見上げる者にとっては、憧れの夢御殿だったにちがいない。こんなところに住みたくはないが、城下にいるときっと楽しいこともがあったかも知れない。だんだんと夜になり、高知の街は少しずつ賑わい始める。