今年も三輪車の耐久レースを開催した。

 
 
 
“ルール説明をしますー”
 
 
 
“ズルイことをしない!”
 
 
 
“アブナイことをしない!”
 
 
 
“ムリをしない!”
 
 
 
“以上、質問は?”
 
 
 
“じゃあ始めます!”
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
スタートして間もなく雨が降り出した。
 
 
 
「途中で中止しますか?」
 
 
 
聞かれたが、
 
 
 
“やり始めたら最後までやる!”と答えた。
 
 
 
大人の感覚は子どもの感覚よりひ弱だ。
 
 
 
ある男の子が転倒して靴ひもがペダルに絡まった。
 
 
 
そばにいたスタッフが駆け寄り、靴ひもを外すために靴を脱がす。
 
 
 
途端に男の子はそのまま三輪車にまたがり走り出した。
 
 
 
「オイ、靴を履きなさい!」
 
 
 
追いかけて走る。
 
 
 
靴なんて履かなくても、あの子はへっちゃらなんだよ。
 
 
 
 
 
しばらくして女の子が他の三輪車と接触して転倒した。
 
 
一瞬足を痛そうにうずくまる。
 
 
 
でも、すぐに三輪車に乗り走り始めた。
 
 
 
きっとその女の子は足が痛かったけど走りたかったのだと思う。
 
 
 
でもスタッフが女の子をつかまえ、無理矢理救護班のところへ連れて行ってしまった。
 
 
 
彼女はきっとレースを続けたかったかも知れないが
 
 
 
スタッフによって保護者の元へと返された。
 
 
 
“・・・、”
 
 
 
ケガをさせたらいけない。
 
 
危ないことがないように。
 
 
 
安心安全が美徳とされ
 
 
 
子どもたちが薄いガラスのグラスのように扱われ
 
 
 
過剰なくらいトラブルを嫌う大人たちには
 
 
 
子どもたちの力を信じる心が欠如しているとつくづく感じた。
 
 
 
雨ニモマケズ、
 
 
 
タオレテモ自分ノチカラデタチアガル、
 
 
 
クジケズ、ニゲズ、タチムカウ、
 
 
 
キミハデキルト私ハ信ジテイル。