自分がビートルズに興味を持つようになる前の話ですが、父もビートルズのコピーバンドをやっていました。その当時、ビートルズ・シネクラブが主催していたビートルズ・バンド・コンテストに出演したいということで、1次審査用のデモテープを作成するのについて行きました。そのとき父のバンドが録音していたのが、For Saleに入っている『I'll Follow The Sun』だったのです。もちろん、小学生くらいだった自分は曲名などは知らず、メロディーが印象的で曲調をなんとなく覚えていたというだけですが、数年後、ビートルズに興味をもちはじめて「この曲があの曲だったのか」と知ることになりました。 For Saleに入ってる『I'll Follow The Sun』は、自分にとって、その後、「ビートルズには出逢うべくして出逢ったのだ」という想いを決定づける最初の曲です!!
 For Saleはとにかく思い出深いアルバムだ。
僕はビートルズでジョン・レノン・パートを担当するために随分と遅まきながら大学3年のときにギターを始めた。それまではジョンもポールもジョージも関係なく、好きな曲を好きなようにギターふたりを従えて歌いまくっていた。ヴォーカルではサークルの誰にも負ける気がしなかったから、僕が弾いたこともないギターを手にする理由はどこにもなかった。東京の各大学にあるビートルズ・サークルが定期的に集まるTIBLA(Tokyo Intercollege Beatles Lovers' Association)のライブでもフレディ・マーキュリーよろしく身振り手振りを交えて動き回っていた。他大のバンドを見回しながら「よし、俺より歌が上手い奴はいないな。ギターはそれなりだけどあんな歌じゃ。」と勝手に納得しながら見ていると、ひとりジョン・レノンを彷彿とさせるようなシルエットの男が演奏し始めた。驚いた。歌はまあまあくらいだなと自分に言い聞かせてはいたが、歌とギターのバランス、そして何よりもビートルズをビートルズのスタイルで、ジョン・レノンをジョン・レノンのスタイルで再現しようという気概とその魅力に驚かされた。その彼がそのとき演奏していたのがFor Sale特集(!)であり、ギターを始めて間もない僕が「どこから手をつけたら良いかな?」との質問に「ジョンのアコギが効いているから」と彼が勧めてくれたのもアルバムFor Saleだった。
 僕はギターをかき鳴らして歌いたいという一心でFor Saleの曲を練習し、ギターを携えての初めてのライブに臨んだ。その4年後、僕にとっての学生最後の学園祭も今回と同じBeatles For Saleの全曲再現。何か運命的なものを感じてしまう。 
 ジョージ・ハリスンのオリジナルナンバーはないし、4番バッター的存在の楽曲がない地味なアルバムですが、ビートルズの顔が一番まともに写ったジャケット、I'm A Loser、Rock And Roll Musicといった畳みかけるような楽曲、好きです!
特にB面の片隅にさりげなく置かれているI Don't Want To Spoil The Partyはジョージの一番「ビートルズらしい」プレイが凝縮された曲の一つだと思っていて、常に「自分ベストテン」の上位に入っています。ちなみに同じくB面に収録されているWords of Loveは納豆と同じくらい、生まれてこのかた全く好きになれませんでしたが、最近練習しているうちにそうでもなくなってきました。
納豆も我慢して食べていれば慣れるのだろうか。