今日は、11月22日。
かつての大昔、バブルが崩壊して、四大証券の一つ、と呼ばれていた会社が倒産しますが、その少し前に、ある注文の処理を全く関係無い部署の知らない営業マンの方から頼まれました。
どこでも、良いからオフショア
にして買い向かって。
証券会社は基本、取引を引き継ぐだけですが、審査を通った法人のお客さんには、相対と言って証券会社が取引相手そのものになってあげることも出来ます。
マネーロンダリングの温床になり得るので、法務部や、偉い人達の承認など、色んなプロシージャがあるのですが、その人は、
全部済んでるから、とにかくやって。
時間外取引使うから、急ぐ。
これ、ヤバい取引だよな。
渡された伝票の株数を見て、確信。
1000万株。
普通の市場で取引出来ない株数だし、時間外取引になる訳でしょうが、見たことの無い多さ。
口座名は、その倒産した会社名が一部入った英語名。
飛ばし、だ。。
とにかく、急いで。
緩そうな国の口座を作って、売買取引を成立させました。値段は、その日の終値から、私が適当に作ります。1000万株もあるのに、数百万の約定だったのを覚えています。
紙屑同然になってしまった株を、海外の口座に隠して損を計上しないこと。相対取引を通して、海外の口座に売るのは、基本、合法です。
会社からの帰り道。あの営業マンの人も断れなかったんだろうな。外資系証券会社の人達が少しずつ受け持って、助けてるんだろうな、あの会社を。と、思いました。
数ヶ月後、その会社の倒産が、一面を飾った時、
まさか、やっぱり、と言う気持ち。。
でも、良いこともありました。既に、阿鼻叫喚だった証券業界。の、大手が倒産。どこも苦しいはずなのですが、証券業協会から、お達しが出ます。
出来れば一社で、最低、三人は雇い入れて欲しい。
アレックスが、私の所に相談に来ました。
君のボーナスが減るけど、一人、英語の出来る子を引き受けたよ、来週から来るから。
元々、ほとんどボーナスなんて、
くれてなかったよねっ。
ディーリングルームには確か五人いらしたと思います。皆さん、優秀でお人柄の良い方ばかり。みんな、ランチで興味深い話を沢山教えてくれました。記憶にある方は、少ないかも知れませんが、社長さんがとても温情派の方で、記者会見で、
社員に済まない事をした
と泣き崩れた方です。そのテレビを見て社員さん達も泣かれたそうです。沈みゆくタイタニックの様な状況の中、役職がある人は、まず部下の人達の再就職に奔走し、話が決まり次第、
来週から行きなさい。
と、膨大な残務処理などはさせずに、どんどん送り出されたそう。後に、その方達の働きぶりが業界でも評判になり、同業他社で、取り合いになったと聞きました。
あの倒産騒ぎは証券業界にとっては、もう、この産業は終わり、と言う最後通牒を突きつけられた様な恐怖でもあったのですが、産業界の中で仲間として助け合う、と言う不思議な一体感がありました。あの時代に金融業界に居た時ならではの懐かしい思い出なのかも知れません。
お歳暮を、何にしようかな、と、考えた時に、久しぶりにその時の、同僚だった人の旦那さんが開業した肉まん屋さん、のにしようかなぁ、なんて思い出してました。
その会社が倒産したのが確か、いい夫婦の日、今日なんですよね。