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しばらくぶりで入った自分の部屋…。

なんかあっちゃこっちゃからもらいまくってばかりらしい私…。

この場をお借りしてお礼申し上げます。


・・・たまにPCで書き込むとうまく書けない自分がじれったいなぁ。

「……さ、どうぞ。
それで不破くんは何が知りたいんですか?」



打ち合わせ用に借りていた一室に二人きりで腰を下ろして、尚と啓文は向かい合っていた。



「…監督、前に言ってましたよね。
恭太郎は当て書きだって。
あれだと俺ってまんま恭太郎みたいな男ってことですか?」



「…違うんですか?
いいとこのお坊ちゃんで、脛っかじりの甘ったれ、好みの女にはいいとこ見せといて幼馴染みの扱いは最低窮まり無し…というのが僕の君に対する印象ですが、どこか異論でも?」



如何にも当然とばかりに言い放つ啓文に返す言葉が見つからない尚に、啓文は更に追い討ちを懸けた。



「実はね、監督仲間の情報を貰ったんですよ。
君が以前出演した“華恋”の新開監督からね。
話題作りに君を起用するに中って、素人でも演り易い様、人となりを知る必要があったからと、彼、色々調べたらしいので。
いやぁ、僕もそこまでとは思いませんでしたけどね?
でもいい参考にはなりましたから。」



脚本家も書類読んでから書いてくれましたし、彼女、もう物凄い勢いと形相で書いてたのは確かですよとサラッと付け加えた緒方の顔は爽やかだったのだが、言っている内容は欠片も爽やかではなかった。



「…で、君としては当て書きで書かれた恭太郎と自分の気持ちの食い違いが理解出来ずに行き詰まってる、…とそういう事でいいんですか?」



自分の問いに少しだけ間を置いて頷いた尚に納得した啓文は、本当は自分で答えに辿り着いて欲しかったんですけどねと前置きしてから結論をキッパリと言い放った。



「まぁ僕としても本気で1日1シーンなんて無駄な予算掛けたく無いですから、はっきり言ってしまいます。
不破君に無くて恭太郎にあるもの。

それは相手を思う気持ちです。
放蕩息子だろうが恭太郎は社会の荒波を少しは知って、相手の立場や心情を慮り配慮する器の大きさがあります。
勿論君は未成年です。  …が、とても京子さんと同じ年の男には見えませんね。
本来なら年上でなければならない恭太郎が、瞳子よりずっと年下に見えてしまうんです。
それは君の器が狭く浅いからに他ならないと言って差し支えないと僕は思います。
勿論直ぐにそれを深く広くしろなんて無茶言えませんから、せめてそれを自分で認識してから、もう一度現場に戻ってきて下さい。
但し君に上げられる猶予は1日だけです。
それでも駄目なら…別の方法を考えなければならないですから。」



大根なら大根なりの調理法を考えておきますとキラキラした、だがどこか黒い笑顔を残して緒方は部屋を後にした。



独り残された尚は椅子に腰掛けたまま、緒方からの指摘を自分の中で反芻していた。


それはまさに昨日寮で事務所の先輩に言われた事とほぼ同じ内容だった。



身動ぎすることなく考え込んでいた尚の頭に、軽く何かが当たった気がして顔を上げると、吉野が缶コーヒーを片手に自分を見下ろしていることに気が付いた。



「…吉野さん…。」



「よう、少しは理解できたか?
お坊ちゃんよ。
今のお前にゃ現実認識が一番大事なのは分かったろ?」



もう別の仕事を振り替えてあるからサッサと着替えて移動だと吉野に促された尚は、うなだれながら控え室に戻り、そのままスタジオを後にしたのだった。




一方こちらはキャストの人数が格段に減った撮影スタジオ。


監督である緒方が戻るまでの休憩時間となっていたのだが、実に和気あいあいとした雰囲気を醸していた。


…特に女性スタッフとキャストが女子トーク満開であった。



「え~っ!?
○○さんの彼氏ってそんなに焼きもちやきなのぉ!?」


「いぃなぁ~、私の旦那、少しは女房に気ィ使えってぇのよ。
ホントふざけんな、よ!?
  誕生日忘れるなんて当たり前、この前なんか…」


「やっだぁ~っ!!
それって釣った魚に餌やらないっていうダメ男の典型よね。
△●さんなら自立していけるから、そんなバカ亭主棄てちゃう?」


「でもそんなダメ亭主だけど可愛いトコもあんのよ。
昨日なんかもね…」



「………(絶句)」



あまりにも女子トークに縁がなかったキョーコはカルチャーショック以外の何物でもない赤裸々な会話に完全に固まっていた。



「ところで京子ちゃんは?
最近どう?
彼氏と上手くいってるの?」



「あ、あたしもそれ訊きたい~っ。」



いきなり自分に振られた話題に戸惑うキョーコの脳裏に浮かんだのは、神々しい笑顔と恐ろしい大魔王の顔を併せ持つ、尊敬する大先輩の顔。



「へ!?
わ、私、そ、そんな、かっ、彼氏だなんて!!
そ、そんなの必要ないですっ!!」



まだまだペーペータレントの未熟者がそんな烏滸(おこ)がましいとわたわたするキョーコに、何言ってんのとキョーコを取り囲んで懇切丁寧にお説教を始めた女子一同。



特に年上の女優陣はキョーコにビシッと言い放った。



「駄目よ京子ちゃんっ!!
女優たるものあらゆる経験が芸の肥やしになるの!!
解るでしょ!?
女は恋してナンボよ!!」



…何故か恋愛拒否症純情乙女へのお説教大会へと発展した女子会に、完全ドン引きの緒方を筆頭とした男性スタッフ一同は、休憩終了を言い出す事もできずに固唾を呑んで成り行きを見守るしか出来なかった。








………2ヶ月放置でこの出来…(ToT)



あっ、そこの石投げないで!!


「…だけど今、ちょっとだけジレンマかな。
このプレゼントを自分にして良かったな、とやるんじゃなかった、ってのと。」



「………え?」



意味がわからず首を傾げるキョーコに、蓮は苦笑しながら理由を紐解いてみせた。



「だからね、自分の手で最高にドレスアップさせられてすっごく気分いいけど、その綺麗な姿を他の男の目に晒してしまうな…とか、俺のものだーって見せびらかしたいのに自分だけの宝物だって閉じ込めたくなって困る…とかいうジレンマだよ。」



あまりにもストレートな、しかも強烈な口説き文句に持っていたシルバー類を思わず取り落としたキョーコは、真っ赤になったまま皿とフォークが立てた不協和音にビクリと肩を震わせ潤ませた瞳を蓮に向けた。



「…な、何を言って…っ…。」



「本気で口説いたら駄目なの?
冗談にするつもりも、からかってるつもりもないよ?」



「だ、だってぇ…前に敦賀さん、仰いましたよ?
私には泣かれたら困るから何にもしない、って…っ。」



赤面して明らかに動揺しているキョーコに、蓮は畳み掛ける様に言葉を重ねた。



「うん、言ったよ。
だってまだ君は恋を否定して頑なになってたから、気持ちをありのまま晒して泣かせて嫌われたくなかったし、泣かれるのも嫌だったからね。
でもあれから随分経って、君も成人したし、一段と注目を集める様になって、周りに群がる男が気になって、こっちも君の気持ちが和らぐのを待ってられる余裕も無くなっちゃって…焦って。」



あまりにも赤裸々に心情を吐露する蓮にポカンとしながらも、キョーコはその言葉に全く嘘が無い事を感じ取っていた。


かつて恋の演技に悩んだ蓮が友の鶏に見せたもじもじと恥じらう姿を、今自分に晒しているのだ。



〈…うわ…敦賀さん、顔が真っ赤…こんなの演技でも観た事ないわ…。
  ででででも、私相手になんで!?〉



「あ…の、敦賀さん、確か以前に私、噂で聞いた事があるんですが…敦賀さんには片想いの女の子がいるって…。
聞いた当時で確か女子高生だったと記憶しているんですが…その方とはその後どうなったのでしょうか…。」



鶏越しにした話を噂で聞いたとオブラートに包みながらも、やはりはっきりと訊ねるのは心苦しいキョーコの声は、尻すぼみに小さくなっていた。



「いいいいい、いつっ!?
どこからそんな噂っ…!?」



狼狽え青ざめる蓮の態度が何を意味しているのか、キョーコには判断出来なかったが、噂の出所が坊で、中身が実は自分なのは墓場まで持っていこうと決めている。


当然といえば当然だが巧みに誤魔化した。



「…さ、さぁ…もう結構前ですから誰からだったかまでは分かりませんけど…?
あ、あの、その方とは…どう…。」



訊きながら胸の奥底がチクチク痛むのを感じつつ、キョーコは自分を口説こうとする蓮の真意を問うた。



「…なんて顔で訊くの。
訊かれたこっちが嬉しくなっちゃうよ?」



先程までの狼狽え様が嘘のように嬉しそうな神々スマイルを浮かべながらテーブル越しに手を伸ばし頬に触れた蓮に、キョーコの頬はこれ以上無いほどに紅く染まった。



「…噂の出所(でどころ)はまぁ、いいや。
君の…キョーコちゃんのこんな可愛い顔見られたし。
そんな顔してくれるなら…噂も悪いものじゃないね。
ただ…その相手が自分だとは思ってくれなかったの?」



思いもよらぬ一言に一時頭が回らずキョトンとしたキョーコだったが、だんだん言われた言葉の意味を理解するにつれ、逆に混乱していった。



「…ふぇ?
キョーコちゃんって…?
あ、あれぇ!?
だ、だって…え、えぇえ!?」



「ずっと前から片想いしていた相手は君なんだけど?
何年か前は君だって女子高生だったじゃない。」



ともかく続きの話は邪魔が入らないとこでしたいな、と言う蓮に促され、キョーコは混乱する頭のまま物凄く美味しい筈なのに全く味が判らなくなった超高級ディナーコースを無理矢理口に押し込んで終わらせたのだった。




…その後まんまと蓮の口車に乗せられ、押さえてあったロイヤルスイートに引っ張り込まれたキョーコは、自身が蓮に美味しく頂かれてしまうのだが…。



「愛しい女(ヒト)にプレゼントした服を脱がせるのは、彼氏の役目だろう?
  …最高のバースデープレゼントをありがとう。
愛してるよ、キョーコ…。」



「しょ…初心者相手に暴走しすぎです…。
仕事はどうするんですか…!?
わ、私…全然動けないのにぃ…。」



「社長が手を回してくれたから心配要らないよ?
この部屋予約したの社長なんだから。
俺へのバースデープレゼントだって♪」



あと3日はなんとかしてくれるってメッセージ入ってたよと心底嬉しそうにスマホをちらつかせた蓮に、キョーコは身動ぎも儘ならぬ身体に鞭打ちながら、頭の下にあった枕を投げつけた。



「~~~んもうっ!!
つ…れ、蓮さんのばかぁっ!!
もう知らないっ!!」



軽々と枕を受け止めた蓮は、そんな事いう口は塞ぐに限るねとキョーコに覆い被さると、彼女の声が嗄れ果てるまで恋人の嬌声を堪能したのである。






~後日談~



「…箍が外れるにも限度っつーモンがあるだろうが、このバカ!!
お前向こう2週間最上くんとの接触禁止だ!!」



「そ、そんな!!
愛するキョーコに2週間も!?
あんまりです社長っ!!」



「…ホントにお前の愛の重さは親譲りだったんだな、蓮よ…。」










何やら無理矢理終わらせた感が強いんですが、ま、書き逃げっつー事で♪