皆さま、お久しぶりです。
二月になってもう半ば過ぎだというのに、今月初めての更新。
仕事が相変わらず忙しくて、ちょっぴり体調を崩したりもしたけど・・・・
いちご狩りに行ったり、ディズニーシーに行ったり、なんだかんだ遊びも充実しています♡
(遊ばないとやっていけない・・・(笑))
社会人になると、自分の時間を確保する、ということがとても難しく感じます。
やりたいことも行きたい場所もあるけれど、お休みの日さえ、家を片付けたり、疲れてるがゆえに、ただゆっくり休んだりで、あっという間に好きなことをする時間って過ぎてしまって、次の出勤時間になってしまうのですよね・・・。
自分が好きでこれやってんだよねーって時間が持てないと、凄まじく疲弊するタイプだということを実感する今日この頃です。
とりあえず、睡眠は六時間ほどにとどめ・・・・疲れているからと言って、むやみやたらにだらだら寝たりしないように努めています。貴重な自由時間、有意義に過ごしたい!
そんな私にとっての有意義な時間の過ごし方と言えば・・・
まあ、相も変わらず読書をすること、ショッピングをすること、ちょっと高めのお菓子をたべること・・・・・あとごく最近は映画を見る機会も少し増えたかも・・・
つまりは、もっぱらエンターテイメントに気分転換とストレスのはけ口を求めているということですね。
全然、別世界に行けるので・・・・本当に救い(笑)
仕事もまぁ、学びは多いのですけど・・・・拘束時間が長くて・・・・毎日の残業なうえに、六連勤とかすると魂がガリガリになります。(この表現しか思いつかない。)休むと回復するのですけども(笑)
回復に役立つことの一つが、エンターテイメントってわけだ。
そんな最近読み終えた本が、表題にもあります、原田マハさんの作品、『たゆたえども沈まず』です。
マイケルを好きになって以来、特定の偉人にはまり込んで、何かを得ようとする癖が付いたような気がします。
偉人の漫画とかって、子どもの頃誰でも一度は読むのではないかと思うのですが、みんなが全部読んだりする中、私はあんまり好きなほうではなかった記憶があるのですけど・・・・読んでもふーんくらいで。
でも、おとなになったら本当に学ぶことが多くて偉人のことを勉強するのって面白いですね。
チャップリンとか、ヒトラーとか(彼は偉人とはまたべつか・・・。)大学時代も一定期間、はまり込んだ時期がありました。
そして、今の私のマイブームは、この本の物語の中心人物でもある、フィンセント・ファン・ゴッホなんです。
ホントは大学一年生の時に、授業で興味をもったのですが・・・なかなか深入りできないまま、月日が流れてしまっていました。
去年の秋口くらい? まだ北海道にいるときにゴッホ展が札幌でやってまして、それを観に行ったんですよね。
そして最近は、映画『ゴッホ』を見に行って、最終的にこの本を読みました。
図書館の予約待ちが待ちきれず!そして表紙が素敵すぎて!珍しくハードカバーの本を買っちゃった。
美術館、映画、本。
かなりの長期スパンで、地味にゴッホ尽くしです。
ゴッホのことはあんまり知らなくて。でも、カフェとかひまわりの絵が他の画家と比べると格段に好きだなーくらいで・・・・
授業でちらっと耳にしたエピソードなんかで、(乱心して耳を切り落とした、とか自殺した、とか)なんだかショッキングな人生を送ってるという印象は強く持っていました。
たしか、キリスト教関連の授業だったのですけど、なぜか先生がゴッホを紹介していて・・・この人の色彩感覚は抜群なんだとほめてました。(一体どういう授業なんだ(笑))
それにしても、変わってる人惹かれてしまう、この感じね・・・(笑)
美術館で得た情報は、ゴッホが日本、そして日本美術が本当に大好きであったこと。
まったくもって初耳。
浮世絵から絶大な影響を受けているということで、ゴッホの独特の色彩で、浮世絵の花魁を模写した作品があったり、絵の主役をあえて隅に描いて、逆に際立たせるという浮世絵の技法を作品に取り入れているといったことを知りました。
おもしろいし、なんか西洋画における日本がすごく誇らしくなってきちゃったぞ。
そして、画家、ゴーギャンとの共同生活をしていた期間が存在していたことと、そこから仲たがいをして決別したことも新しく知りました。
この事実を知ったのは発見でした。その前に、サマセット・モームの『月と六ペンス』という小説を読んでいたんですけど、この物語の中によく似たシチュエーションが出てくるんですよね。
この物語は一人の孤高の画家の人生を描いています。
主人公である画家ストリックランド。彼はゴッホとゴーギャンみたいにストルーヴェという男と、共同生活を送るのですが、最終的には二人と同じように仲たがいするというシーンがあります。
そして、この本の主人公のモデルって、ゴーギャンなんですよね。それは知っていたけど・・・え、じゃあ、ストルーヴェのモデルって?
さしずめ、ゴッホなんだろうなってことになるじゃないですか。
なんかちょっとつながって、おおっ!てなった瞬間でした(笑)
ちなみに『月と6ペンス』を読もうと思ったきっかけをくれたのは、愛しのマイケル・ジャクソン(笑)
また視野が広がりました。
と、そんな美術館めぐりの数か月後。今度は『ゴッホ』を観に行きました。
あんまり、映画館には足を運ばないたちですが、これは特別に見に行きたかったんです。
というのも、この映画、前編動く油絵構成なのです!
そう言われても、何のこっちゃ?かもしれません。
ちゃんと説明すると、125人の選ばれし現在の画家たちが、ゴッホタッチの色彩で絵をかき、その何百枚もの絵で映画のすべてのシーンが作られているという、画期的な新しいアート映画なのです~。
すべての風景が、油絵と水彩画で動いている!しかも、ゴッホのような色!
めっちゃ見たい!と思って、ぎりぎりでしたが見に行きました~♡
ストーリーはミステリー系で、ゴッホの死にまつわる謎を主人公が解き明かしていくという内容です。
ゴッホの死後見つかった手紙を、正しき人のもとへ届けるために主人公の若者が奔走するうち、彼の死は本当に自殺だったのか・・・?という疑問が浮かんできます。
若者がゴッホの生前関わりがあった人々に聞き込みをしていく中で、相反する彼の人物像に関する証言に翻弄されながら、ゴッホとはいかなる人物だったのか、彼はなぜ死んでしまったのか、謎を解き明かしていきます。
史実的にも、ゴッホは精神病を患っており、最終的には拳銃で自分の胸を撃ったことによって自殺したことになっています。
いまだにいろいろと謎めいた部分はあるのですが・・・実はそれって本当にそうだったのか?
ということが映画では問いかけられています。史実に基づくフィクション映画です。
フィクションであり、史実は諸説あるようですが・・・・この映画の中のゴッホが死を選んだ理由が本当に悲しくて、「これはみんなのためなんだ」って・・・最後は泣いてしまいました。
ゴッホは生きてるうちに評価を得られなかった画家で、死後、彼の絵の才能は世間から認められることになりました。
確か、八百枚ほどの作品を書いて、生前売れたのはたったの一枚だったということです・・・。
亡くなってからは何を思っても、どんなに評価し、愛しても、彼にしてあげられることなんてなにもないのよ、という言葉が本当に悲しかったです。
ゴッホの死に関する名言がとても素敵でした。
彼の作品の星月夜にちなんで・・・はっきりとは覚えていないけど、「死ぬことは、あのきれいな星に行く唯一の方法だ。」みたいな、そんな内容だったと思います。(もっかい映画見たい(笑))
ゴッホは気難しい性格で、この映画は美化しすぎているという評価もあるようですが、すごくいい映画だったと思います。
死の真相も実際この映画に近いのではないかと、そんな気もするのですけどねー。
気になる方は、ぜひ見てみてください。
そして、そして!遠回りしましたが、最終的に読んだのが、『たゆたえども沈まず』。
原田マハさんの作品を読むのは初めてでした。
もう、すっごく面白かったです。時代設定は、ゴッホが生きた第三共和政のパリ。
そこで画商として奔走するもう一人のゴッホであり、フィンセント・ファン・ゴッホの弟、テオドルス・ファンゴッホと、二人の日本人、林忠正と、加納重吉のお話です。
ゴッホを含め、この4人は実在の人物で、実際にこの時代にパリにいた人物なのですが、ゴッホ兄弟とこの二人の日本人が、本当に交流があったのかは不明。つまり、これもまた、原田マハさんなりの史実に基づいたフィクションです。
林忠正とは、ジャポニズムが起こり始めたフランスに日本美術、浮世絵なんかを広めた実在の人物だそうで、私も初めて知りました。当時の日本は明治になったばかり。外国に追いつけ追い越せの時代です。今のように海外渡航が気軽ではない時代にフランスに渡り、フランス人に馬鹿にされずに毅然とした態度で美術の商売をする。日本では紙屑同然に扱われていた浮世絵を、フランスに持ち込み、高値で美術品として売りさばく。なんかものすごい人物です。
見方によっては、国賊だという人もいるそうですが、作品からはとても素晴らしい人に感じられました。
加納重吉はその、片腕となった人物で、二人ともフランス語がペラペラ。
この本の醍醐味と言えば、第3共和制のパリにタイムスリップしたような、リアリティがあるところです。
世界史では、フランスの歴史ってうる覚えですけど、とにかく帝政になったり、共和制になったり、ナポレオンが終わってもその親戚が活躍したり、とにかく紆余曲折なんですよね・・・。そのなかの第3共和政とか、教科書で見ても・・・はあ、そうなんですか、と。
万国博覧会があって・・・・と言われても、はあ・・・みたいなとにかく字面を覚える感じなんですけど・・・
もうそれが、一気に目の前に現実として広がる感じ。そして、その中で名前しか知らなかった偉人が実際に動いて生活を営んでる感じが、もう本当に楽しくて、楽しくて。最近読んだ本の中で一番最高でした。
そして、今まで訳も分からず、印象派の画家や葛飾北斎の美術館に行きましたが、あーそういう流れだったのか、この本で説明されてやっとわかることも多く、とても勉強になりました。
モネや、ルノワールなどの印象は画家が登場する前の絵画というのは、おそらく、レオナルド・ダ・ヴィンチなどが書くような、マリア像とか、キリストとか、宗教画などが主流で、人物もはっきりした絵だったのだと思います。それこそ、植物や、その辺の静物画、人々を書くという概念はなかった。美術館でも、そういったものは、題材の価値として低くみられていたと説明があったのを覚えていたので、なるほど!と思いました。
けれども、そのうち印象派と呼ばれるそういったものを題材にして、ぼんやりとした絵を描く新興の画家たちが現れた。
はじめは、そんなものは絵じゃない!と馬鹿にされていた。けれども、それも徐々に人々に認められていった。
と、その助けになったのが、日本の美術、浮世絵だというのです。
浮世絵の美しさと、斬新な構図が、モネ達に影響を及ぼし、新しい絵が生まれるきっかけを作ったと・・・・パリではやったジャポニズムは、印象派の発達と復旧にいちやく買っていたということ。
ゴッホ展の後に、北斎とジャポニズムという展示も見に行ったのですけど、西洋の画家が面白いくらい浮世絵画家の構図を参考にしてて、嬉しくなったけど、その背景にはそんなにも大きな影響力があったのだなぁ、と感心すると同時に日本人として誇らしくなりました。というか、この本読んでから、美術館も、映画も観たかったかもしれない(笑)
いままで、なんとなく受け止めていたものに、すべて説明をつけてくれたのが、たゆたえども沈まずでした。
この「たゆたえども沈まず」という言葉は、パリのことを表しているそうで・・・何度もセーヌ川の氾濫に見舞われても、何度も立ち上がるパリ。たゆたいはするが、決して沈むことのないパリにちなんだ言葉なのだそうです。
そして、フィンセントの生き様を表す言葉。
なんだか、すごく力をもらえました。嫌なことやつらいことがあっても、それらを川に流し、自分はずっとセーヌに浮かび続ける。たとえ、沈みそうになっても頑張る勇気。そんな風に生きたいものですね。
そしていつか、ニューヨークとパリのゴッホの絵を見に行きたいです。
行きたいとこたくさんだーい
お気に入りの一冊が増えました♡
最後までお読みいただき、ありがとうございました。