実験は八月に終了する」
微かに鼻濁音を含んだ風
カラスの濁声
宙空の溷濁色
澱となって三竦みの足踏みをする
卵の殻が混入する
砂を噛む感覚
苦虫を噛み潰すような顔
口の中で泡を潰して嗚咽を消去する
揃いも揃って寝不足の足手纏い
言葉が引きずられてゆく
-----愛して欲しかった)
直後に破裂音
反響は波を打つ
鍵盤を飲み込んだ満ち潮
白と黒のモノローグ
モノクロのプロローグ
同様に黒と白のエピローグ
無声映画で声を想像する
蔑ろにされた空腹が唸る
武器は要らない
言葉は要らない
届かないのなら
伝わらないのなら
響かないのなら
感じないのなら
それらは爪牙の代わりだ
切り捨てられた道具
-----愛されたかった)
かなしみといかりは
海に沈めてしまったから
波に運ばれてふっと戻ってくる。