考古学者の左耳から糸を引く

蝶番が壊れている

 

糸電話の先で骨伝導が働く

蜜蜂が窓枠に何度もぶつかった

 

調律師の片足が棺桶に突っ込まれた

沢蟹が紙片を挟んでさらってゆく

 

悲しみに暮れる明け方の舟から身を乗り出す

 

グラデーションが滲んでいる

刹那的瞬間で永遠を閉じ込めた

 

円周率の境界線を撫でながら猫は立ち上がる

 

(誰も本当のことなんて書けやしない)

捨てられた花束から取り出す鍵束

 

世界に言葉が溢れているのなら、

前提として音は繰り返しているに過ぎない」

 

研ぎ澄まされた嗅覚に潮の馨がつき纏う

「孕んだ冒頭の詩篇がひとひら

舌根で孵化するのだ。

 

平和的解決も祝杯にとけてゆく

僧侶の行列が極楽まで続く

 

天罰を齎すには甘美な追想です」

 

落雷が鱗をはらはら降らせる

触れたところから腫れ上がるのです

愛は目に見えずに、