歯の裏側

見えない蝸牛が

息を潜めている

奥歯で親不知を飼っていて

時折痛むのです


ヒマワリの言語は黄金率

形式も座標も異なります

(理解より直感を刺激します)


夏前の雨がひたりひたり

青い梅の実を艶やかに濡らす

(腐敗と黴が湿気に増長される)


分泌される夜毎のおとぎ話

浸透する早朝の舟漕ぎの唄

沈んでゆく真昼の夢の奥で

(アタシはアシタに成る)

鳴り響く電鈴が糸電話から届く


−−−−−鳴き声−−−−−


雷鳴、遠雷、羽音

点滅、明滅、歯音


(中にいるんでしょうね

消滅する電信柱の芯が砕けてゆく

「鳴き声が微かに聞こえるんです


つーつーつー

耳の奥から溢れて零れてくる

大量の向日葵の種

絵画の中から、

耳だけ(欲しい)

偏愛家の狂気が走る

暗い廊下で白い裾を引き摺って

女は後ろ向きに歩いてくる

通り過ぎた瞬間目が合うだけで

耳の奥から魂が引き抜かれるんだそうです」


電話の声がヒマワリの言語で

呪詛を吐くのです。

(耳の奥までは見ないでしょう?