雲の切れ間から溢れ差す光

アメフラシが歩いている

酸素と海面

泡と海藻

人魚の二足歩行

相反する左右の窓


切り取られた線は千切れて

点を残してゆく

滑る鋏の先の鋭さ

膨む下腹部の水風船

内側からこぽこぽと音がする

笑い声のような

小さな心音


抜き取られた記憶

後れ毛と退化

(言葉の持つ意味はすべて後付けだから)

従って家出した畝るリボン

(日常の会話の声で解せる訳がない)


光を嫌う習性

餌を遠去ける

凡庸な感性

放任主義

放物線の魔物

怪物の亡骸

背骨から生える舌


(湿度の高いぬくみ)

その目論見


ヒタヒタ歩く尾鰭を掴んで

幽霊は泡を吐き出す

何度も同じ眼で語り出す

壊れたレコード

針の先からずれてゆく

音階の螺旋を巡って

(言葉は正常に機能しない)


カポリと終わる音

(眠っている内にすべて終わっていたの)

悲哀は空白に似て寒々しい

点火して砕け散る

種子の綻びから

春はやってくる

(永い冬は終わるのだと、)