兎は月に飛び乗って
あれは舟だと嘯いた
蛙は月に飛び込んで
あれは海だと嘯いた
孕んだ月を産み落とす
宿した言葉で滑り出す
あれが舟なら何処へ征く?
声ならぬ声が響いて消える
残るのは余韻
音を言葉として認識する
言葉を音として理解する
残るのは耳鳴りの中の空耳
明日には朔月
真っ暗な夜の闇
漕ぎ出す夢へとうつらうつら
そろそろ響いてくる足音が
床と扉を軋ませる
差し込まれた鍵が鳴き声を響かせる
発光する魚の鱗
白い蝶の鱗粉
ベッドの上で
あるいはベッドの下で
夢を含んだ蕾が
開こうともがいているのだ
耳元で忍ばせた秘密
あれは・・・
(秘め事に過ぎない。