耳鳴りと悲鳴と雷鳴

鳥籠の中で鳴いている

雨音が煩い

湿った足跡が残って

足音は掻き消される

煙が残留している


(此処に居た筈だ、確かに。)


悲しみと寂しさを1匙ずつ混ぜて

一抹の感傷を再現する

強かな女

トレンチコートの裏側

脆弱な狂気が潜んでいる


(何処に行けば遭遇し得るのか…)


忍ばせた拳銃を撫で

闇を孕んだ下腹部で想う


「愛している」


ささやかな密告

共犯による犯行

そして反響


「愛していたのだ」


波音に爆ぜる銃声が飲み込まれて

水死体が宇宙を漂う

暗い穴に吸い込まれるように

そっと掻き出される


愛と憤慨が同居している

あれは一つの狢なのだ