ここ最近腹の立つことばかりだった。それに落ち込むことばかりだった。


お局から仕事押しつけられたり、帰る時間が毎日2時だったり。


心身ともに疲れきってた。




今日は会社の飲み会。疲れからかいつも以上に酔いが回っていた。


酔いが回っていたけど、頭の芯はやけに冷めていた。理由は分かっていた。


腹が立つのも、落ち込むのも一番の原因は仕事じゃない。


それは彼氏に言われた一言。


「仕事がそんなに大事なの?」


いや、確かに約束の時間に遅れるのは毎回だ。帰る時間も遅すぎて、電話もまともにできないし。


疲れてるからってメールの返事もおろそかにしたかもしれない。


でも、彼は分かってくれてるって信じてた。でもそれは私の都合のいい勘違いだったんだ。


その言葉でケンカしたままもう1週間になる。連絡はしてない。





「加賀さん、ちゃんと飲んでるー?」


話しかけてきたのは、私の一つ上の先輩。かなり出来上がっているよう。


「飲んでますよ。先輩はかなり出来上がってますね」


隣に座った先輩から煙草の匂いがした。酔いが一気に回った気がした。




裸の付き合いっていうけど、それは本当にあると思う。一回寝てしまうと、言えなかったことまで言えそうな気がする。


先輩の部屋は、香水と煙草の薄い匂いがしてすごく落ち着いた。今も吸ってる先輩の背中にもたれたまま、煙の行き先に目をやった。


「彼氏とケンカしたんです。」


彼は黙って私に先を促すように、煙草を消した。


私は先輩の顔を見ずに一部始終を話した。いつも遅くまで仕事をしてる人って知ってたから。


きっと分かってもらえるだろうって思ってた。でも。


「それは加賀さんが彼に甘えすぎてたんだよ。」


その時私は慰めてほしかったのに、違う言葉が来てちょっと焦った。


「自分が一番大変だって思ったら、苦しくなるだけだよ」


私の顔を見ずに、呟くように言った言葉。


分かってもらえてるんだ。





そう分かった途端に、涙が出た。もう自覚してしまえば止まらなかった。先輩にしがみつくように私は泣いた。


それからありがとうのキスをして、家に帰った。


携帯には彼氏からの着信。


電源を切って布団に入る。


大丈夫、少なくとも一人は私のことを分かってくれてる。


だから私は頑張れる。