昨日のナンパはひどかった。
この夏から10人程度の男に話しかけられているほどの(ここで大事なことは、外出頻度が低いということである)美少女な私が経験した中で、最も気持ち悪いナンパであった。

確かに、気持ち悪い奴に気持ち悪く話し掛けられたことは何回かある。
それは、ブサメンが調子に乗って美少女に声をかけて玉砕するという構図であった。
気持ち悪いというよりは、めんどくさいという印象が強く、相手がブサメンなだけにこちらも余裕をもって交わすことができていた。
しかし今回のお相手は、彼らとは方向性が異なる気持ち悪さであった。

以前はナンパをされることで自分の可愛さを再確認していた。
今、ナンパとは厄介な事故にすぎない。
そのため最近では、ナンパ行為が広く行われているO宮駅周辺を歩く際、やつれた顔で忙しそうにチラチラと時計を見るなどして、この溢れんばかりの魅力をできる限り封じるとともに、話し掛けにくさを演出しているのである。

どうして女性とアベックしかいない某女性向けファッションビル内でナンパされるなどと思うだろうか。
私はエスカレーターに乗っていた。
不意に後ろから背中をつつかれた。
振り向いた。
すぐ近くに見知らぬ男がいた。
「俺美容師なんだけど…カットモデルとか…どうかな」
男はぼそぼそと自己紹介を済ませた。
そして私の髪(洗っておらずしっとりとしている)を手にとり、触っている。
私は、忙しいのでと断った。しかし男は密着して離れない。
「今何してるの?」
「探し物してるんです」
「ふーん…それなら俺が買ってあげるよ…」
美容師設定はどうしたんだ、と思いながらも私はやんわりとお断りした。
「じゃあ俺が選んであげるよ…何買うの?」
そう言って男は私の腰に手を回してくる。
表情や声とは裏腹に、私は驚くほど冷静であった。
きっと端から見たら私と男はラブラブアベックでしかなかった。そして男はそれを狙っていたに違いない。大胆にも彼氏面することによって錯覚させようとしていたのである。
男は相変わらず「ほんと可愛いね…」などと言って、私のフケまみれの頭を撫でている。
「あのーやめてください(笑)」
自然とこの言葉が出てきたのは、もしかしたら男の催眠術にかかっていたお陰なのかもしれない。(私は彼氏にべたべたされると拒否してしまうタチである)
「彼氏のプレゼント探してるんです」
「そっか…そんな大事なときにナンパされてる場合じゃなかったね…」
男は自らをナンパ男だと認めると、私の頭からシラミが付着した手をゆっくりと離し、風のようにどこかへ立ち去った。

呆然とする私の目に入ったのは某遊べる本屋であった。
しばらくそこに立ち尽くしてぼんやりと品物を眺めると、漸く鳥肌が追い付いた。

彼氏の誕生日は今日であるにも関わらず、結局プレゼントは買えずじまいであった。
会う前に買うことにする。


私の本業は受験生である。
今更ではあるが、Z会の添削問題のやり方を変えてみようと思う。
実は、毎回の模試に言えることであるが、制限時間内で解き終わらない。
解ける解けない以前に問題が読めていないという状況は避けたいと常々思っていたのに、何の対策もしてこなかった。
英語も地歴も数学も国語も、すばやさが圧倒的に欠けている。
読むスピード、書くスピード、計算するスピード、これらがなければまず受かるわけがないのである。
これまでは好きなだけ時間を費やして満足のいく解答を作成していたが、今回からはたとえ不満足でもとにかく解答を時間内に終え、そこから修正を加えていくという現実的な答案を作成していくことにした。
普通はそういう訓練をしているのであろうが、情弱な私には思い付きもしなかったやり方である。

情弱といえば、以前Twitterでフォロワーに「東大秋入学は来年からだよ」と言われたことを最近まで信じきっていた。早くとも5年後だということらしい。
ソースの照会は欠かしてはならないと痛感した――と言いつつ5年後という情報をまたも鵜呑みにしている点で、私は生粋の情弱なのかもしれない。