2013年3月の原田優一くん・木村花代さん以来の「ラブ・レターズ」観劇。
今回は石川禅さんと彩吹真央さんの組み合わせでした。
 

 

アンディとメリッサが10歳から50年余りの間にやり取りした手紙を読む2人朗読劇。
役者の実力、人間性が現れるシンプルな舞台に石川禅さんがご出演と聞き、ぜひ観たいと思いました。
相手役が彩吹さん…と言うのはちょっと微妙な気もしたけど(個人的には禅さんと5演目で夫婦役されてる涼風真世さんと組んでほしかった)そこは選ぶ余地なし。でも、メリッサの女流画家という職業が、一昨年、彩吹さんが演じていたフリーダ・カーロと重なり(禅さんも共演していた)イメージできたのは良かったです。
禅さんアンディはさすが…の役作り。特に(子供時代を高音にするなど)声を変えたりもしていないのに今、目の前にいるのは少年、思春期の学生・・・と感じる自然な表情と成長、成熟に現れる時間の流れ。彩吹さん(メリッサ)の声に耳を傾けている時でさえ禅さんの表情からアンディの気持ちが手に取るようにわかりました。
一番、心動かされたのはメリッサが亡くなった後、メリッサの母に送る手紙(弔辞)を読み上げるラストのアンディ。通常、このような朗読劇は、かなり辛い内容であっても途中で涙しては崩れてしまうから、役者さんは感情をコントロールし、抑えているように見えます。禅さんも同様で、最後近くまではアンディの人物像と心情は明確に出しながらも崩れることはなかったのに、ラスト1通に辿り着いて、やっと感情を全て開放できたのか?ポロポロと涙を流しながら自分の半身のようなメリッサの死を嘆く禅さんに、会場のあちこちからもすすり泣きが聞こえていました。
 
一期一会の濃密な舞台を同じ空間で共有できたことに感謝です。