2020年6月25日に公開させていただいた記事
では、
伊達市が “地区計画制度” を活用し、市街化調整区域である『イオンモール』出店予定地を開発する方針を示した一方、福島市が規模縮小を要請したことについて詳しくお伝えしました。
あれから約5カ月が経った11月19日、福島市が開いた “臨時記者会見” にて木幡市長は
「広域的に連携し、発展を図る観点から、イオンモール側の提案を受け入れ、規模や機能についてイオンモール側へさらなる大きな見直しは求めない」
と発言しました。
つまり、『伊達市へのイオンモール出店を容認する』という意向を表明したのです。
【福島市】令和2年11月19日臨時記者会見(『イオンモール』関連は24:12頃〜)
これまで伊達市への『イオンモール』出店計画に難色を示してきた福島市がここにきて計画出店を容認した理由について、
「イオンモール側から規模や機能に一定の配慮をした見直し案の提示があった」
と説明しています。
木幡市長の発言によれば、イオンモール側から福島市に見直し案の提案が示されたのは先週のことであり、具体的には
●シネマコンプレックス(シネコン,複合映画館)を計画しない
●総賃貸面積を7万平方メートルとする一方、うち5000平方メートルを“公共的スペース”とする
●福島市内のイオングループ各施設(「イオンシネマ福島」「イオン福島店」など)の営業を継続する
といった提案であったということです。
福島市中心部には、イオンが運営するシネコン「イオンシネマ福島」や老舗映画館「フォーラム福島」が立地しています。これらの施設には年間約50万人の来場客があり、中心市街地にもヒトの流れが生まれているということです。
シネコンが伊達市の『イオンモール』内に入ることになれば、福島市内の映画館は来場客数の減少に伴う撤退も懸念されます。
この懸念材料が払拭されたことは、福島市にとってかなり大きかったようです。
また、木幡市長は会見の中で
「広域的視点に立てば、イオン側と協力関係を築き、伊達市と切磋琢磨すべきと判断した」
とも述べています。
つまり、福島市が伊達市の一大プロジェクトとも言える『(仮称)イオンモール北福島』出店計画を反対し潰してしまえば、将来的に伊達市との関係が悪化するのは必至であり、さらにはイオン側からの報復措置として、福島市内に立地しているイオングループ店舗に撤退されるといった懸念もあったのではないかと想像できます。
一方、伊達市の須田市長は同じく11月19日の定例記者会見にて、
「(イオンモール計画について)福島市にご理解いただけたことに心から感謝する」
「県北地域の消費の県外流出を食い止め、他地域から消費を呼び込みたい」
と述べました。
伊達市はすでに『(仮称)イオンモール北福島』の誘致に向けた本格的な手続きを進めており、9月にはイオンモール出店予定地である伊達市堂ノ内地区(市街化調整区域)の開発を進めるため、 “伊達市堂ノ内地区計画” の原案の縦覧および公聴会を開催しました。
ここで提出された意見をもとに地区計画の原案をまとめ、10月初旬に福島県へ提出しています。地区計画の原案には、策定する意義や土地利用の方針,道路整備の方針,建ぺい率の最高限度などの詳細が盛り込まれています。
現在、伊達市が10月初旬に提出した地区計画の原案について、県が11月16日より伊達市に隣接する6市町村(福島市,桑折町,国見町,川俣町,飯舘村)、および他の県内52市町村に意見聴取を求めています。
今後県は、各市町村の意見や12月中旬以降に開く“県都市政策推進専門小委員会”の意見を踏まえ、地区計画案に対する福島県としての意見をまとめる予定です。
その後、伊達市は“市都市計画審議会”をもって都市計画決定の手続きを進めるとともに、地権者らが設立する “伊達市堂ノ内地区土地区画整理組合” の設立認可を目指します。
なお、2021年2月頃を目処に、伊達市と土地区画整理組合が共同で、今後の事業計画を提案する考えであるという情報も入ってきました。
順調に進めば2021年より、イオンモール予定地である伊達市堂ノ内地区の造成工事や道路の新設、および周辺道路の拡幅工事などが始まる見通しです。同時に伊達市は、『イオンモール』の出店が可能かとなるよう、予定地の市街化区域編入を県に要請していくことになります。
越えなければならない壁がまだ残ってはいるものの、福島市から “GOサイン” が出たことで『イオンモール』出店計画は前進していくと思われます。
今回イオンモール側が福島市に提案した内容で出店計画が実現することとなれば、
『(仮称)イオンモール北福島』は3階建,総賃貸面積約70,000㎡,店舗数は200店舗前後、年間来場者数1500万人となる見込みで、「イオンモール利府(2021年春開業予定)」や「イオンモール名取」に次ぐ、東北3番目の規模を誇る巨大ショッピングモールとなります!
総賃貸面積7万平方メートル,店舗数が200店舗前後と言われても、『(仮称)イオンモール北福島』の規模感がまだあまりよくわからないという方も多くいらっしゃると思いますので、参考としていくつかのイオンモール施設を紹介させていただきます。
ちなみに“総賃貸面積”とは、「テナントに対して賃貸することができる総面積」のことです。
また、2013年に茨城県つくば市に開業した『イオンモールつくば』は、3階建,総賃貸面積64,000㎡,店舗数が約200店舗となっています。
入居テナント(2020年11月19日現在)を見てみると、
総合スーパー「イオン」を核に、ファストファッションや雑貨店,家電量販店やスポーツ用品店,大型書店,飲食店,アミューズメントなどといった、大中小,多種多様な店舗が入居する他、多目的ホールや教育機関,クリニックモールなどのサービス施設も入居しています。
さらに、4000台の広大な無料駐車場を囲むように外部棟も配置され、レストランや農産物直売所,スポーツクラブ,ディーラーなどで構成されています。
伊達市で計画されている『(仮称)イオンモール北福島』は、総賃貸面積70,000㎡,店舗数200店舗前後で計画されており、公共的スペースの約5,000㎡を除いても店舗面積が約65,000㎡でありますから、「イオンモールつくば」よりもひと回り大きな施設となります。
このような大規模イオンモールにシネコン(複合映画館)が無いのは極めて稀ではありますが、シネコン無しでもかなり充実したショッピングモールとなることが想像できます。開業が待ち遠しいですね!
今後も『イオンモール』関連の記事を随時公開していく予定です。
読者の皆様には引き続き、『(仮称)イオンモール北福島』の早期開業実現を応援していただきますようお願い致します。