「衣食住育学」教育研究家・子育て評論家 石川幸夫のブログ

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教育歴50年 子育て・教育について毎日更新
教育現場で長く子どもたちを指導。社会で活躍している子どもたちを多く輩出。また、教育評論家という肩書も持ち、多くのテレビ番組に出演。その経験と、教育・子育ての専門家として、様々な内容を深く専門的に語ります。

 

時代の変化から分かれる人の退化と成長 

 

▢間違いなく、人は退化への道を進んでいる!?

 

 このブログにご訪問頂きありがとうございます。

 

 久しぶりの投稿です。時代の変化の中で、人は、退化に向け進んでいる人と、これまで通り、進化成長へと進んでいる人の二極化が進んでいるようです。これまでとは違う新たな二極化への道、「退化」を選ぶか、「進化・成長」を選ぶかは、あなた次第です!

 

 先日、我が研究所の研究員から、運動会の様子についての報告を貰いました。子どもたちの徒競走で、真っすぐに走ることのできない子の割合が高いという報告があり、学年が下がるごとにその傾向は強いという報告でした。都内では子どもたちの遊び場が減り、お金を出して遊びを学ぶというおかしな社会になりつつあります。

 

 子どもは広場があれば直ぐに走り回ります。そして、直ぐに追いかけっこが始まります。木があれば上り、真っすぐな線があれば、その上を線に沿って歩き始めます。遊び一つとても、心肺機能を高め、血行が良くなると脳にも新鮮な酸素が送り込まれ、脳が活性化し始めます。子どもは遊びを通し様々なことを学びながら、同時に身体や身体機能、そして、自ら脳を鍛えていきます。ただし、これまでは!

 

 「能力の外部化」これは、当教育研究所が子どもたちや学生に警鐘を鳴らしている一つです。少しまとめてみました。

 

■テクノロジーによる「能力の外部化」と退化の実例

 現代社会では、記憶力・空間認識・計算力・思考力などがスマートフォンやAIに外部化されており、これにより脳の特定の神経回路が使われなくなり、弱化する可能性が指摘されています。

  • 記憶力の退化:電話番号や予定を覚える必要がなくなり、脳の記憶領域が使われなくなる。

  • 空間認識力の低下:カーナビの普及により、地図を読む力や方向感覚が衰える。

  • 思考力の停滞:AIによる文章生成や検索に依存することで、自ら考える力が弱まる。

 これらは、脳科学的にも「使わない能力は退化する」という可塑性の原則に基づいており、実際に退化が起こっていると考えられます。

 

■ 進化と退化の分岐点は「使い方」と「選択」

 一方で、テクノロジーを活用しながらも、創造性・批判的思考・身体性・人間関係の深さを育てる人々も存在します。

  • AIを使って情報を整理し、自分の意見を構築する力を伸ばす人

  • デジタルと自然をバランスよく取り入れ、心身を鍛える人

  • テクノロジーによって生まれた「脳の余白」を、創造や探究に使う人

 つまり、退化するか進化するかは、テクノロジーそのものではなく、それをどう使うかにかかっているのです。

 

■ 今後の傾向と教育への示唆

 今後、AIや自動化がさらに進むことで、人間が「考えなくても済む」環境が加速すると予測されています。その結果、受動的な生活を選ぶ人は退化し、能動的に活用する人は進化するという二極化がより顕著になるでしょう。

 

 教育現場では、以下のような対応が重要になります。

  • 「問いを立てる力」や「考える習慣」を育てる教育

  • 身体性・感性・自然とのつながりを重視する学び

  • テクノロジーとの健全な付き合い方を教える指導

 
 0歳から15歳までのスマホの使用に関しては、既に、注意ではなく、使用禁止の方向に進んでいます。脳の発達が著しい時期の使用は、これまでの注意喚起から大きく禁止へと進むほど、子どもたちの能力の発達に著しい影響を及ぼし始めているということのようです。
 
 教育現場からは、児童生徒の記憶力低下が目に見えて進んでいると報告を受けています。思考し、判断する能力の低下は、例えば、算数ではより計算に傾き、同じことの繰り返しという、楽な機械的作業に人気があり、考えることが面倒くさいという児童生徒がより増加傾向にあると言います。
 
 ようやく、一部の教育機関で、退化傾向にある子どもたちの能力に気付き始め。人間性を求める非認知能力の指導、学習5技能を基礎教育から徹底した指導を行う教育機関が出てきました。
 自分の子ども時代と照らし合わせ、運動会などでよく子どもたちの様子を見て下さい。この記事が、けして誇張した内容でないことをご理解いただけると思います。また、お子さんが退化への道へ進まぬよう、十分ご注意ください。5年後、10年後を想像してください!

 

「手に職を」の時代 

▢変わる職業選択に関するスキルの内容

 

 今日もご訪問頂きありがとうございます。

 

 目まぐるしい社会の変化は、子どもたちの将来にも大きく関係してきています。身に付けるべきスキルの幅が広くなっているからです。かつては社会もホワイトカラー:ブルーカラーという色分けがされ、どこか差別的でした。しかし、AIの登場以降、人々の仕事の内容が大きく変わってきたのです。

 

 最近「プロンプト」という言葉をよく聴きませんか。これは生成AIを使う時に用いられる、いわば「指示書」のようなものです。ご存じの通り、生成AIによって作られた映像をよく目にするようになりました。ホワイトカラー:ブルーカラーという棲み分けも見られなくなり、生成AIと人との棲み分けになっていくのでしょう。

 

 こうした社会環境の変化は教育にも大きな影響を与え始めています。実際に、これから社会に出ていく子どもたちに、どんな能力、スキルが求められているのか、特に小中学生が学んでおくべきものは「プログラミング」「コミュニケーション」加え、お決まりの「想像力」そして、「問題解決能力」であり、意外にも「継続して行う力」です。何となく人間臭い物ばかりですが、なるほど、非認知能力が求められているという意味がよく理解できます。

 

 これを大人にも関係する内容で見ていくと次のようになります。

 

▢一生モノになり得るスキル一覧(2025以降)

 

1. AI・テクノロジー系スキル

  • プロンプトエンジニアリング:生成AIに適切な指示を出す技術。非エンジニア職でも必須に

  • データ分析・意思決定力:ビジネスや政策判断に不可欠

  • サイバーセキュリティの基礎知識:あらゆる業界で求められる安全管理

  • Python・Web開発:自動化やサービス構築に直結

 
2. クリエイティブ・表現系スキル
  • 動画編集・デザインツール活用(Canva, Figmaなど):SNSやマーケティングで活躍

  • デジタルマーケティング・SNS運用:企業や個人のブランディングに必須

 
3. 人間力・汎用スキル
  • 柔軟性と継続的学習力:スキルの半減期が2年未満という時代に対応

  • 対人コミュニケーション・共感力:AIでは代替できない人間的価値

4. 資格・専門職系スキル
  • 医療・福祉系資格:看護師、理学療法士などは安定性が高い

  • 法律・会計系資格:社会保険労務士、行政書士、公認会計士などは独立にも強い

5. グリーン・サステナビリティ関連
  • 環境技術・再生可能エネルギー関連スキル:世界的なグリーン転換に伴う需要増

 
▢なぜ「一生モノ」なのか? 
  • 汎用性が高い:業界を問わず活用できる

  • 自動化されにくい:人間の判断や創造性が必要

  • キャリアチェンジにも強い:転職・副業・独立に活かせる

  • 学び続けられる:時代に合わせて進化できる

 
 昭和生まれの私から見ると、50年前にこれらを見ていたら、何のことだかさっぱりわかりません。ただ、この中で、「自動化されにくい」ものは、我が国のお家芸的な「手先の器用さ」にあるようで、今、最も注目されているとも言えます。もっと分かり易い仕事はないものでしょうか?
 

 

 

 

 

 

公式通りにはいかない! 

▢「失われた9年間」

 

 今日もご訪問頂きありがとうございます。

 

 昨日は、仕事に追われ、とうとう更新できませんでした。この歳で仕事で忙しいというのはとても贅沢なことだと思います。

 

 さて、今日はかなり深刻な内容です。そして、ここに上げた例はよくあることです。私たちが良く経験する内容でもあります。単純に、「学力の差は埋められるか」という究極の課題です。


 「距離・速さ・時間」という三つの要素を使った文章問題に「旅人算」があります。お聞きになったことはありますか。家を5分前に出たお父さんに、後からでた子どもが自転車で追いかけます。こんな場面を想像してください。勿論お父さんは歩きです。何となく追いつきそうですね。

 

 時折、教育現場でこのような追いつき、追い越すという議論が出てきます。例えば、0歳から教育の重要性を考えている両親が、言葉がけや絵本の読み聞かせなど積極的行い、9歳までの基礎教育をしっかり我が子に行ったとします。

 

 対して、この時期は遊ぶことが大切と、学習にはあまり関心を示さなかった両親、4年生になるからそろそろ塾でも行かせようとします。先に学習を開始していた子に追いつくことはできるのか、という内容です。この時「先生、今からでも間に合いますか」と質問を受けます。さて、貴方だったらこの質問にどう答えますか。

 

 旅人残では追いつくことは可能になります。お父さんが歩いた5分間の距離を計算し、それが子どもとの差とすると、子どもは自転車だから、お父さんより速い分だけ追いついていくことになります。単純に2倍の速さであれば、5分で追いつけることになります。では、これが学力であればどうでしょう。

 

 先に学んでいる子が1日2時間家庭学習をしていると仮定すると、その倍の時間は必要になります。もうお分かりの通り、9年間の空白を埋めるには、その学力の質を考えると追いつくことはできません。これを幾つものシミュレーションで行いましたが、結果は同じでした。

 

 OECDの調査では、幼児期の教育を受けた子は、15歳時点で平均して1学年分の学力差があるとされています。私たち教師は、この課題にずっと取り組んできました。最近ではAIを使い、様々な可能性を求めてきましたが、どれも、差は埋められないという結果でした。

 

 以前、私は「空白の6年間」というテーマで、この研究内容を纏めました。今は、小学3年生までその範囲が広がりました。ただ、この9年間、机にかじりつて勉強をするということではありません。絵本の読み聞かせ、会話、様々な経験や体験、そして、これらを通した語彙の獲得が主な学習です。そこには勿論ですが「遊び」が含まれています。大切なことは、この基礎学習期に、親がどう意識して我が子の教育に向かうかだと思います。ドリルをやらせるなど、そんな単純なことではありません。

 

 また、途中から学ぶことを本格化した場合、重要なのは、誰かに追いつくということではなく、自分の目標を立て向かうことです。その志が高ければ高い程、身に付く学習の量が増してきます。そして、同時に人間的成長をと、非認知能力にも力を入れることです。積極的な挨拶、手伝い、自己管理など。学習と同程度かそれ以上に必要とされるのが人としての高い人間性です。非認知能力の高さです!

 

 

 

子どもの思考力に大きく関係する感覚運動期 

▢高度な学習より重要なこととは?

 

 今日もご訪問頂きありがとうございます。

 

 子どもの成長発達のメカニズムには驚かされることが良くあります。私は教育者の立場から脳科学などを学び、教育に活かそうと考えていますが、時に、様々なデータの数値を中心に考えてしまうところがあり、その点注意して臨んでいます。

 

 子どもの成長発達には、いくつかの段階があります。その中で、感覚運動期という期間があります。この感覚運動期(出生〜約2歳)の経験は、後の高度な思考力の土台を築く上で決定的に重要です。この時期に特に重要となる刺激や経験は、一言で言えば「外界に対する積極的な働きかけとそのフィードバック」です。

 

■感覚運動期に重要な刺激と経験

 

 感覚運動期とは、子どもが五感と運動を通じて世界を理解していく期間です。この時期の脳は、新しい神経回路を爆発的に作り上げており、次の3つの領域での体験が特に重要です。

 

1. 身体と環境の相互作用

 最も重要なのは、子ども自身が能動的に外界に働きかけ、その結果を学ぶ経験です。

  • 操作と実験: モノを叩く、投げる、押す、引く、積み上げる、壊すといった行為を通じて、「因果関係の基本的な理解」を培います。「こうすると、こうなる」という物理法則の基礎を実体験で学びます。

    • : ブロックを叩くと音がする、おもちゃを落とすと下に落ちる。

  • 探索と移動: はいはい、つかまり立ち、歩行を通じて、空間の広さや奥行き、自分の身体と外界との関係を学びます。これが後の空間認識能力の土台です。

    • : 部屋の隅々まで移動して探索する、高いところを認識する。

2. 対象の永続性を促す経験

 「対象の永続性(Object Permanence)」とは、目の前から物が見えなくなっても、それが存在し続けていると理解する能力です。これは、「シンボル(記号)」を扱う思考、つまり「目の前にない概念」を考える能力の原点となります。

  • 「いないいないばあ」: 見えなくなった顔や物が、また現れることを経験することで、「見えなくても存在する」という理解が深まります。

  • 物隠しゲーム: おもちゃを布の下に隠し、子どもに探させる遊びは、対象の永続性の習得を促す最も効果的な経験です。

  • ルーティンと予測: 食事や睡眠の決まった時間といった日常のルーティンは、世界が予測可能であることを教え、安心感とともに、物事が連続して存在するという理解を助けます。

3. 愛着関係に基づく情緒的安定

 認知的な刺激だけでなく、情動的な安定も思考力の発達に不可欠な土台です。

  • 一貫した応答: 泣いたり、指差したりといった子どものサインに対して、保護者が一貫して応答し、ニーズを満たしてあげることで、子どもは世界に対する信頼感安心感を培います。

  • 共同注意: 保護者と同じものを見て、喜びや驚きを共有する体験(共同注意)は、後に言語や社会性の発達に大きく寄与します。安心感があるからこそ、子どもは好奇心を持って自由に探索活動を行うことができます。

 

 この時期の脳は、外界からの情報を取り込み、神経回路を形成する「敏感期」にあります。したがって、親や養育者に求められるのは、高度な教育ではなく、安全で予測可能な環境を提供し、子どもが五感をフルに使って世界に触れ、自ら試行錯誤できるように促すことです。この「遊び」こそが、後の論理的思考力、問題解決能力の礎となるのです。

 

 よく言われる生活習慣の重要性、その中でも、食事や睡眠という、生活の最もベーシックな部分が予測可能な社会観を形成し、安心と安全な感覚から情緒の安定と共に、物事の継続性からくる生活リズムを創り上げます。この、一見当たり前のように見える行いが、子どもの思考力の土台になっていることは、意外に知られていません。遊びの重要性と共に、子どもの伸び伸びとした成長を促す家庭環境や社会環境が今一度見直されなければならないと思います。

 

情報過多の社会で疲弊する脳 

■重要情報を読み取れない人たち!

 

 今日もご訪問頂きありがとうございます。

 

 先日お会いしたある学校の関係者から、”お知らせを配っても、読んでいない、読んでくれない親御さんが多くなってきた。”という内容の話をお伺いしました。お知らせを配ると、必ず、その内容について電話で問い合わせが来るそうです。「お知らせに書いてありますが!」と応対すると、対応が不親切だとクレームに発展するそうです。

 

 活字離れが問題視されて久しく時が経ちましたが、書籍を読むことから遠ざかるのではなく、文字そのものから遠ざかる大人が出てきているということになります。こうして、このブログを読まれている方は間違いなく対象外になると思います。

 

 まるでフェイクと思わせる信憑性のない数値を上げて広告宣伝する教育団体がありますが、その信頼性のない数値で人を誘うことが出来るのも、読むことなく、理解することなく門を叩いてしまうのでしょう。情報過多社会は、刺激性の高い映像情報に満ち溢れています。そこに、人の関心を引く文字を当て込み、まるで、人を思考停止にしているかのようです。

 

 これは、子どもたちの話ではありません。現在の大人の姿です。勿論、全ての人たちが当てはまるということでは決してありません。ただ、残念なことに、次第に、この思考停止に至る環境が子どもたちに迫っています。

 

 最近、教育現場から、「授業中の質問が多くなってきました。」という話を聴きました。ところが、その先生の顔はあまり嬉しそうではありません。詳しく話を聴くと、なるほど、公式や学習用語などなど、”覚える”のではなく、その場で必要なことを聴くことで学習を進めているのです。これは、スマホの影響で、分からなければ、考えたり、思い出そうとする努力をせず、”記憶をスマホに頼る”、今、まさに問題視されている「スマホ依存」の傾向だと、先生は仰います。

 

 大人が変わらなければ!先日、脳の休息と、情報整理の為、デジタルデトックスを行いました。この夏、奥さんの実家がある福島県喜多方市に数日いましたが、そこは、電波の環境が悪く、ネット回線も繋がっていません。というより、繋いでいません。ごく自然にデジタルデトックスの環境になっていました。ところが、時間が立つごとに、とてもスッキリした状態になっていくのです。会話も弾み、久ぶりに家の中が笑いに包まれました。

 

 私たちの脳は、情報過多の社会で懸命に働いています。時には休ませてあげたいですね。すると、温もりや、静けさ、空気まで感じられる時間を過ごせます。是非、週末は家族でデジタルデトックスを!!