※完レポしてます!



※ネタバレが嫌な人はバックしてください



※ヒロインの名前は『綾瀬ひろ』で統一しています












三月に入り、少しずつ暖かい日が増えるなか、私は久しぶりにお父さんに会いにきていた。



(お父さんとの食事、久しぶりだな。今年に入ってからずっと忙しそうだったし…)



憲太「ひろさん!お久しぶりです!」



「真壁さん、お疲れ様です」



憲太「遅い時間にひろさんがいらっしゃるのはめずらしいですね」



「今日はお父さんと食事会の予定なんです。」



憲太「そうでしたか!今日、総理がご機嫌だったのはひろさんがくるからだったんですね!」



「お父さん、ご機嫌でしたか?」



憲太「僕はそんな気がしたんですけど…」



石神「ひろさん」



憲太「はっ!石神警視!」



「石神さん!」



(石神さんが官邸にくるなんて、めずらしい…なにかあったのかな…)



「石神さん、事件ですか?」



石神「貴方は私の顔を見ると、大抵そう聞きますよね。そんなに物々しい顔をしていますか?」



「そういうわけじゃ…石神さんが官邸にくるなんて、めずらしいなって思って…」



石神「……。今日はひろさんに用事がありまして…」


「え?私に…?」



(石神さんが私に用事なんて何だろう…)



石神さんは小さく咳払いをすると、キレイな紙袋をカバンから取り出した。



憲太「ま、まさか、その中にひろさんへの脅迫状が!?」



真壁さんが身構えると、石神さんが大きくため息をつく。



石神「どうして私がひろさんに危険物を渡すんですか」



憲太「あ…す、すみません。つい、勢いで…」



石神「ホワイトデーです。」



「え…?ホワイトデー?」


憲太「そういえば、明後日は3月14日。ホワイトデーですね!」



石神「どうぞ」



「あ、ありがとうございます!」



(石神さんがわざわざホワイトデーのお返しを持ってきてくれたの…?)



可愛い小花柄の紙袋を受け取る



「あの…開けてみてもいいですか?」



石神「ええ…その、気に入っていただけるか、わからないのですが…」



中にはプリンクッキーと書いてある袋が入っていた。


「プリンクッキー」



(石神さんらしいかも…)



石神「その店はプリンで有名なんですがプリンクッキーもすごくおいしいんです」



「石神さんのお気に入りのお店なんですね」



石神「ええ。ホワイトデーの贈り物にはクッキーが定番と聞きましたので」



「すごく嬉しいです!ありがとうございます。でも、わざわざ、これのために官邸に?」



石神「14日は日本にいないんです。今日ならひろさんに会えると桂木警部に聞きましたから」



「石神さんのお忙しいのにすみません」



石神「お礼は直接言わないと気が済まないタイプなんです。ひろさんのプリンチョコ、とても美味しかったですよ」



「本当ですか?気に入ってもらえたならよかった!あそこのチョコもプリン屋さんのチョコなんですよ」



石神「どうりで…プリンのカラメルの風味がよくチョコレートに馴染んでいました」



「今度、よかったら、そのお店をお教えしましょうか?」



石神「それはうれしいですね。そのクッキーのお店もお教えしましょう」



「わ、ありがとうございます!」



憲太「ひろさんと石神警視が笑顔でプリンの話を…なんか不思議な感じです…」


「あ…」



(つい、真壁さんの前だってこと忘れてプリンで盛り上がっちゃった)



石神「真壁…」



憲太「は、はい!」



石神「このことはむやみに口にしないように…特にSPチームには。分かったな」


憲太「か、かしこまりました!」



石神さんの鋭い視線に貫かれた真壁さんがびしっと敬礼で応える。



(さすが、石神さん…迫力があるなあ)



石神「では、ひろさん。また後ほど、その件でご連絡させていただきます」



「はい!楽しみにしてます。ありがとうございました。」



石神さんはそう言って軽く頭を下げると、帰っていった。



憲太「やっぱりひろさんってすごいんですね。」



真壁さんがしみじみと私の顔を見つめた。



「…すごいって何がですか?」



憲太「石神警視を笑顔にしちゃうなんて…あんなに笑う石神警視は初めて見ました!」



「そうですか?」



(そういえば…最近、話しやすくなったかも。石神さんとの付き合いも、ちょっとは長いからかな)



石神さんと会ってからのことを考えていると、再び後ろに足音が響いた。



後藤「ひろ、いたか」



「後藤さん!」



憲太「今日の官邸は大人気ですね。」



後藤「何の話だ?」



「い、いえ。後藤さんはSPルームに用事ですか?」



後藤「いや、オレはアンタに会いに来たんだ」



「え…」



後藤「14日に日本にいられなくなってな、早いがホワイトデーのお返しだ」



「後藤さんまで…あ、ありがとうございます」



後藤「オレまでとは、どういう意味だ?」



「さっき、石神さんもわざわざお返しを持ってきてくれたんです」



もらった紙袋を見せると、後藤さんがクスッと笑った


後藤「なるほどな。石神さんが急いでたのは、そういうわけか」



「石神さんが急いでたんですか?」



後藤「ああ。帰り際にそわそわしてたからどうしたんですかって聞いたら、何でもないと言っていたが…こういうワケか」



私は後藤さんからラッピングされた小箱を受け取る



後藤「あんたがくれた滝型のチョコレート、なかなか面白かった」



「後藤さんがどんなものが好きかわからなかったので…変わりチョコですみませんでした」



後藤「いや。滝がチョコレートフォンデュになっているのはよかった。アンタらしい選び方だと思ったしな」



(後藤さんへのチョコ選びは結構、悩んだんだよね)


後藤「さて、面倒なヤツに見つかる前に帰るか。またな、ひろ」



「は、はい。ありがとうございました!」



後藤さんも石神さんと同じく、早々に官邸をあとにする。



(後藤さんのいう面倒なヤツって…たぶん、昴さんのことだよね?)



憲太「石神さんと後藤さんって律儀なんですねえ。それとも、ひろさんが特別なのかな…」



「え?特別…?」



憲太「今年もSPの皆さんへのチョコレートはすごかったですよね!」



「段ボールが何個も届いてましたよね」



憲太「でも、公安のお二人も桂木班に負けないくらい、毎年大量のバレンタインチョコをもらうそうですよ!警視庁では有名な話みたいです」



「お二人もモテそうですもんね」



憲太「たくさんチョコをもらうのにきちんとお返しにきてくれるなんて優しいですね」



「はい。お忙しいのに…嬉しいです」



憲太「僕もSPになったら…段ボールいっぱいのチョコもらえるかなあ」



「フフ、やっぱり真壁さんもそういう夢があるんですか?」



憲太「夢っていうほどじゃ…ただ、SPは僕の憧れだから…全部が格好よく見えるんです」



「真壁さんならきっとSPになれると思いますよ」



憲太「ほ、ほんとうですか!?」



「桂木さんも真壁さんはよくやってるって言ってたので、頑張ってくださいね!」



憲太「はい!僕…頑張ります!」



(真壁さんはほんとうに頑張り屋さんだから…きっとSPになれるよね…)



憲太「あ!僕もひろさんへのお返しはちゃんと用意していますからね!」



「えっ、ありがとうございます」



憲太「あとでお渡ししてもいいですか?ひろさんは14日はお忙しいですよね」



(14日の予定は何も決まってないんだけど…何か予定、入るのかな…?)



憲太「僕はパンダクッキーをプレゼントします!」



「あ!ちょうどパンダが来日したんですよね!」



憲太「そうなんですよ。可愛いパンダグッズがいっぱいだったので…ひろさん、パンダはお好きですか?」


「はい。近いうちに見に行きたいなって思っていたくらいです」



憲太「それならよかったです!一番可愛いパンダクッキーを買ってきたので、楽しみにしててください!」


「ありがとうございます」


憲太「はっ!長々とお話ししてしまい、すみませんでした!お時間大丈夫ですか?」



「あ、ちょうどいい時間です。それじゃ、真壁さん、お仕事頑張ってくださいね」



憲太「はい!」










仕事が終わったお父さんと少し遅い食事会が始まった。



平泉「大学のほうはどうだね?来年、勉強したいこととかは決まったのかな?」


「まだ迷ってるところなの。ゼミの他にどれくらい授業を取るか考えてて…」



平泉「ひろは演劇にも力を入れているからな。充実した学生時代を送ってくれて、私は嬉しいよ」



お父さんが私の顔を見て微笑む。



平泉「そうだ。そういえば、もう少しでホワイトデーだろう?」



「うん。お父さんもたくさんお返し用意するの?」



平泉「いやいや、私の場合は義理ばかりだから、秘書官に任せてあるよ。それより…」



お父さんは少し言いづらそうに言葉を濁す。



平泉「その…ひろは彼にちゃんとチョコレートを渡せたのかい?」



「うん。でも、どうして…?」



平泉「いや、それならホワイトデーも大切だろうと思ってな。ひろの彼に当日警護を回してしまっては悪いかなと…」



「フフっ、お父さん、気にしすぎ。お仕事第一で大丈夫だよ」



平泉「どうしようもない時は仕方ないが…桂木くんにシフトを聞いてみよう」



「お父さん…」



平泉「彼の時間を空けることが私のひろへの一番のお返しになるだろう?」



(ホワイトデーを一緒に過ごせたら、もちろん嬉しいけど…)



「無理はしなくていいからね?」



平泉「もちろんだ。一応聞くが、ひろがチョコをあげたのは誰だい?」



「私はチョコをあげたのは…」






A.昴さん
B.海司
C.そらさん
D.瑞貴
E.桂木さん
※完レポしています



※ネタバレが嫌な人はバックしてください



※選択肢は載せていないので、結果は自己責任でお願いします



※ヒロインの名前は『綾瀬ひろ』で統一しています






(やっぱり、場違いだよー)


理人「ひろ様?」



「あ、ごめんなさい。私の部屋はどこですか?」



理人「5号室になります。参りましょう。」



「はい。」



(ん?あれ?柴田さん、何か複雑そうな顔してる?)


「あの、柴田さん…」



(あ…)



「じゃなかった!理人さんっ」



「はい。何でございましょう?」



(あれ?普通になった。もしかして、私の口調を気にしてるのかな…?)



「あの、もし敬語使ってたら、すぐに言って下さい」


理人「え?」



「私、物覚えが悪いから、その場で直さないと分からないので」



理人「かしこまりました」


「お願いし……、お願いね?」



理人「はい」



(ふー、危ない危ない)



やっぱり慣れない内は、明らかに年上の人に命令口調で話すのは難しい。







理人「こちらがひろ様のお部屋になります」



ドアの前までやってくると、理人さんがさっきと同じようにドアを開けてくれた。



「わぁ…」



部屋に入ると思わず、口があんぐり開いてしまう。



(当然だけど、自分の家の部屋より広い…。一体何畳あるんだろう…)



理人「ひろ様?」



「あ、ごめんなさい」



驚きのあまり入口で立ち止まってしまっていた。私は慌てて中に入る。



「ここ、一人で使っていいの?」



理人「もちろんでございます。私は、隣にお部屋を頂きますので…」



「隣?」



理人「執事はお嬢様の望みを全て叶えるためにいるのです。同室とはまいりませんが…大抵の場合、隣にお部屋を頂きます」



「そ、そういうものなんだ…」



(え?でも、それって…)



「執事さんのプライベートな時間がないような気がするんだけど…」



理人「ご心配には及びません。きちんとお休みは頂いておりますので」



「そう。それならよかった」



ほっとしながら、私は改めて部屋の中を見回した。



理人「…ですね」



「え?あ、ごめんなさい、聞いてなくて…」



理人「いえ…なんでもございません。失礼致しました」



(今、何て言ったんだろう…?少し、気になるな)



理人「さて、ひろ様。お好みのお部屋の雰囲気などございますか?」



「部屋の雰囲気?」



理人「はい」



「えっと、それってどういう意味?」



理人「はい。ひろ様のお好みの雰囲気にお部屋を整えようと思います」



「え?もしかしてお部屋を改造するんですか?今から?」



理人「はい。二時間ほど頂ければ…すぐに出来ますので」



「に、にじかん!?」



理人「はい。申し訳ございません」



(に、二時間でできるものなの?)



理人「ひろ様?」



「そ、そこまでは……。えっと、どうしよう…」



(いきなり、言われても…。あっ!そうだ!)



私はごそごそと携帯を取り出す



「確か、大掃除した時に……」



データBOXの中から一枚の写メを選ぶ



「これ!」



理人「これは…。以前のお部屋ですか?」



「うん。前に大掃除した時に、綺麗にできたのが嬉しくて撮ったの」



理人「なるほど。このような雰囲気がお好みなのですね?」



「こんな感じにできますか?」



理人「ひろ様。敬語になっていますよ」



「あ……」



理人「ひろ様は、一言命じて頂ければよいのです」



「め、命じる?」



理人「はい」



「えっと、り、理人さん。へ、部屋を…こ、こんな感じに……し、して!」



理人「かしこまりました。ひろ様。大変申し訳ございませんが、その間、私の部屋で少々お待ち頂けますか?多少、バタつきますので…」



「見てちゃダメ?どんな風にお仕事するのかみたい」


一瞬驚いた顔をした理人さんに私は慌てて首を振る。邪魔したいわけじゃないし……



「あ、ごめんなさい。だめなら、無理にとはっ!」



理人「いえ、大丈夫ですよ。それでは、こちらの椅子におかけ下さい」



理人さんが窓際の日当たりがいい場所に椅子を置いてくれた。



「ありがとう」



理人「それでは、少々お待ち下さい」



理人さんはそう言いながらにこりと笑い、そっと私の肩を撫でた。



(完全に子供扱いだ……仕方ないと思うけど、ちょっとショックかも……)
※完レポしています



※ネタバレが嫌な人はバックしてください



※選択肢は載せていませんので、結果は自己責任でお願いします



※ヒロインの名前は『綾瀬ひろ』で統一しています






理人「ひろ様?」



「あの、せめて、さん付けにさせて下さいっ」



(って、敬語になっちゃってるし)



「あ、あの…」



慌てふためいていると、柴田さん…じゃ、なかった…、理人さんの指が唇に触れる。



理人「仕方がありません。今はそれで結構です。少しずつ慣れていきましょう」


「は、はい」



ひやりとした指先に、顔がさらに熱くなるのを感じる。



?「あれ?理人くん?」



理人「木場さん」



(あ、書類をばらまいた人だ)



木場「ごめんね。ファイル、渡すの遅くなっちゃって…。後で持っていくから」


理人「いえ、急ぎではないので、ご都合のいい時にお願いします」



木場「うん、ありがとう。ところで…」



理人「はい。こちらは、今度、私がお仕えする綾瀬ひろ様です」



木場「ああ、やっぱり!」


(人懐っこい感じの人だ…それに…ドジっ子だし)



さっきの事を思い出して、思わず笑いそうになってしまう。



木場「失礼しました。初めまして、木場と申します」


「綾瀬ひろです。よろしくお願いします」



?「木場さん、何してるんですか!早く書類を…」



(あ、さっき木場さんと一緒にいた綺麗な人…。向こうは、私に気づいていないみたいだけど…)



?「……。ああ、大変失礼しました。」



その人は、ようやく私に気づいて、小さく頭を下げた。



?「…地味すぎて、まったく気がつきませんでした」


(じ、地味?!)



木場「青山くん!なんてことを…」



理人「青山。口を慎め」



青山「フン。ボクは事実を言ったまでだよ。では、失礼します、お嬢様」



(…言うだけ言って、行っちゃった…あの人も執事さんなのかな?)



木場「本当に、申し訳ありません。ボクが注意しますのでっ」



「いえ、気にしないでください」



一生懸命に謝る木場さんに首を振った。



木場「綾瀬様…。すごくお優しいんですねっ!」



「そ、そんなこと…」



木場「理人くん。いいお嬢様に逢えたね」



理人「ええ。まだまだ力不足ですが、精一杯お仕えしたいですね」



木場「大丈夫だよ、理人くんなら。栄えあるSランクだものね」



悪戯っぽく笑う木場さんに、理人さんも苦笑する。



(さっきの人も言ってた……。Sランクって、なんだろう…)



「あの…」



木場「いけないっ!この資料を学園長室まで届けなきゃっ!」



尋ねようとしたけど、木場さんに遮られてしまった。


木場「失礼しますっ、綾瀬様」



理人「お疲れ様です。転ばないように…」



「と、言ってる傍から転んでますけどね…」



理人「ふぅ…とにかく、参りましょうか」



「は、はい」






校舎の外に出ると、陽射しがまぶしい。



「もしかして、あの二人も執事さんなんですか?」



理人「そうです」



(執事さんってそんなに沢山いるものなんだ)



「あ、そうか。ここの生徒は執事さんがいないとダメなんですよね?」



理人「そうですね」



「ということは、生徒の数だけ執事さんもいるってことか」



ひとりうんうんと頷いていると、理人さんが優しい笑顔を浮かべてくれる。



理人「はい。いずれお会いになることもあるかと思いますので、随時、ご紹介致します」



「お願いします」



(執事さんがゴロゴロいる世界。やっぱり現実味がないなぁ…)



思わず私は盛大にため息をついてしまった。



理人「ひろ様?」



(しまった。心配かけちゃう)



「あ、ごめんなさい。なんとなく現実味がなくて……」



理人「現実味、ですか?」


「はい。執事さんがいる生活って遠い世界の話だと思ってたから」



理人「ひろ様…」



「なんか、夢の中の出来事のようで、自分の居場所じゃないような気が…」



(あ、だめだ…。何か暗くなってきた)



「なんてねっ!暗くなっても仕方ないですね」



空元気を出してそう言うと理人さんがにこりと微笑む。



理人「ひろ様はそうやって笑ってらした方が、魅力的ですよ」



「そ、そうですか…?あ、ありがとう…」



言われなれない言葉と、理人さんの素敵な笑顔に返事がぎくしゃくしてしまった。






そうこうしている内に、大きな洋館が目の前に現れた。



理人「こちらが、ひろ様がお住まいになる寮になります」



(お、大きい…)



「この寮に全員いるんですか?」



理人「いえ。寮はいくつかございます」



「そうですか…」