さて、ドジとホジュン。それぞれの課題の結果はというと、ドジの方は無事に王子の治療に成功し、まだ研修が始まったばかりなのに、王の寵愛が厚い側室、恭嬪(コンビン)から信頼を得る第一歩を歩み始めます。

 一方、ホジュンは失明の原因が自身の治療のせいではなく、ドルセがホジュンの処方の指示を無視して投薬したことにあると突き止めます。ドルセの母の治療には、効き目が強いかわりに毒性の強い生薬が使われていたため、処方の量以上を摂取すると失明してしまうのです。

 ホジュンがドルセのもとを去るときに、口が酸っぱくなるほど処方の通りに投薬しないとだめだといいきかせたにもかかわらず、ドルセがそれを守らなかったのです。

 ドルセの母の治療にあたって、ホジュンはウィテから納得のいかない指示を受けることになり、それに従って治療するか、自身の判断に従って治療するかという二者択一を迫られることになります。ウィテは自身の権威に縛られずにホジュンに治療をしてほしかったからです。

 そして、ホジュンは自身の判断を信じ治療を施し見事にドルセの母を失明の危機から救います。母の治療にあたって、ずいぶんとホジュンに無理を言って医院で大暴れしたドルセ。もう故郷には帰りたくないと駄々をこねますが、母に諭されてしぶしぶ帰っていき、また医院には平和な時が訪れたと言いたいところなのですが、それは大波乱の始まりでした。

 ここまでの叙述で、イェジンのことにはあまり触れずに来ました。先にドジの母のオ氏に一度家から追い出された後も、物語の節目節目に山陰の医院に戻ってきては、ホジュンを陰から支えるような言動、行動を行ってきていました。

 今回の件でもそうですし、ホジュンが破門された時も自暴自棄になったホジュンに、サムジョク大師のもとへ行くことを勧めたのも彼女でした。そのようにして、彼女はホジュンのそばでホジュンを見守り陰ながら支えていたのです。

 さて、大波乱とはなんでしょうか?それは、ホジュンやイェジンたちにとってまさに青天の霹靂と呼ぶべきものでした。なんと、ウィテが胃がんにかかってしまったのです。もう、末期で助かる見込みもない状態であることが、まずイェジンに知られてしまいます。

 ウィテはこのことはホジュンには言うなと口止めしますが、イェジンが調合している薬をみて、ホジュンは不審を抱きます。

 また、ドジの方は先にお話しした通り王子の治療に成功しこのままの勢いで御医(オイ:王様の主治医)への道を歩む決意を新たにします。そして、そこへ朝廷の有力者の娘との縁談が舞い込むのです。

 さてさて、ここまでではドジの方が圧倒的に有利な場面展開になってきました。理想的な将来への足掛かりをつかんだばかりか、条件のいい縁談まで舞い込むわけです。朝廷の有力者の娘と結婚すれば、有力者の義父を得ることができるのですから、自らの出世には非常に有力になります。

 他方、ホジュンの方は師匠の不治の病という受け入れがたい事実を突きつけられ、この先はこのことを中心に物語が進んでいきます。

 別な記事に書きましたが、ユ・ドジ役のナムグン・ミンさんの演技が私には印象に残りました。ドジは普段からあまり感情をあらわにせず、ぐっと抑えた表情が多いからです。「キム課長」でみせたはちゃめちゃなキャラクターと、180度違うのでそのギャップがまた私にはいいなと思ってしまいます。

 ドジは常にホジュンの陰の存在として描かれているのが、そのような印象の原因になっていると思います。物語を表面的にみていると、その逆でドジが表、ホジュンが裏の存在に見えてしまうかもしれませんが、実際は正反対でドジは陰で、ホジュンが陽の存在なのです。

 これから、物語はどう進むのでしょうか?次回をお楽しみに。