描写とは何か……(哲学)
……ではなくて、描写には情景描写、心理描写の二つがありますけどどっちも同じぐらい大事なんですよね。
ところが、これまた心理描写だけ書いても状況がさっぱりだし、情景描写に偏ると感情移入できずに淡々とした機械的なものになってしまうのです……。
一人称だとして、最低限描写しておくといいもの。
・目で見たもの
・耳で聞こえてくるもの
・臭い、匂い。
・触った感触
上達ラノベ本には、とりあえずこれだけの事を書けってことが記されてましたね。
ちょっとここで見習いながら「夜空」入れつつ、田舎の家庭風景を描写しようと思います。
題名「花よりダンゴ」
今流行りは、正座を語るロマンチックな女子力! この季節でも、空を見上げればそこには星がたくさんあります。一つでも、覚えておけば彼氏といるときの話題として盛り上がるかもしれませんよ――――!
読んでいた占い雑誌の片隅にそんな事が書かれていた。
占いを信じるような質ではないけど、なんとなく暇な時に見入ってしまうのだ。
ベッドに寝転がりながら読んでいたそれを、近くの机に無造作に置くと、わたしはするりとベッドから降りる。
暖房がかかっている部屋から少し歩くと、結露したガラス戸を開けてからベランダへと出た。
すうーっと体を突き抜ける冷たい空気が身にしみる。けれど、なんとなくわたしは冬特有のその感覚が気に入っていたりもする。
例のごとく、空を見上げてみるとさすが田舎と言った感じの星空の絨毯が広がっていた。
「うわっ、めっちゃ綺麗…………」
真っ暗な夜空に、ただ小さな光の粒が散りばめられているだけなのに、妙にそれはわたしの心に浸透していくようだった。
その光景に感動したのも束の間、戸を開けたせいか下の階から聞こえてくるテレビ音とお父さんの下品な笑い声も一層聞こえてくるようになって、とてもじゃないけどロマンチックとは言い難い。
せめて、彼氏の一人でもいたらなぁ……。なんて思いながらも、なんだかんだでじっと星空を眺めていた。
……すると、これまた下の階からふいに鼻腔をくすぐるいい匂いが漂ってきた。
それだけでコトコトと煮込んでいるクリームシチューのビジョンが頭の中に浮かんで、よだれが出てきそう。
途端お腹の虫がグゥと鳴り、少し考えた後。私は早々にベランダから自分の部屋へ戻ると濡れたガラス戸を閉めた。
と、同時にタイミングを見計らったようなお母さんのご飯よー、という声が聞こえてくる。
「わかってる! 今行くから先に食べちゃダメだよ――――!」
部屋から飛び出すと、階段をドタドタと音を立てながら降りていく。
リビングへと入ると暖かい空気がふわっと体を包んみ、落ち着いた気分になる。
「姉ちゃん早くしてよ! 飯が冷めるだろ!」
「わかってるわよ。それよりさ、あんた彦星と織姫って知ってる? あのね――――」
その後わたしはずっと雑誌でちょっと知った程度の正座知識を延々と弟に聞かせて満足に浸った。