なぜ『田中式二色刷りピンイン表記法』は生まれた? | 100万人の中国語 

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田中則明(たなかのりあき)
小田原在住。中国語研究家。

中国語の二つの壁:「四声」と「日本語にない母音子音」

『これ以上解り易く出来ない!中国語』
『”核文字”で もやもやすっきり 中国語文法』
『”核文字”で 中国語文法 総仕上げ』

私が、上海に商社マンとして駐在して

いた頃、つまり、30ー40年も前のことだ。

 

日本から大挙して押し寄せるビジネスマン、

ビジネスウーマンを迎え撃つ(?)のが

私の主な仕事だった。

 

次から、次へとやって来る日本人は、

少し慣れて来ると、決まってこういう質問

をして来た。

 

「あの看板の文字、何て読むの?」

「”おいしい”ってなんて言うんですか?」

「私の苗字は、何て言いますか?」

「”綺麗ですね!”って、どういうの?」

「”まけてくださいよ”って、どういうの?」

 

最初は真面目に応対していたが、そのうち、

私はずる賢くなり、こういう対応をすることに

した。

 

「いいですか。残念ながら、ちゃんと中国語

 の発音を学ばなければ、私の発音をマネ

 することはできないんですよ、残念ながら。

 日本人(日本語人)には無理なんです。

 ですから、今から私がお教えする言葉を

 まずは覚えて使ってみて下さい。

  你好! こんにちは!

    谢谢! ありがとう!

    再见! さようなら!」

「分かりました。」

 

暫くして、

「せっかく中国に来たんですから、

 ”日本人”位は言いたいな。

 どう言います?」

「申し訳ないですが、英語で

 ”Japanese”と言ってください。

 "ri4ben3ren2"

 が発音できるまでには、

 3ヶ月かかります。」

「まさか!!!!

 いくら中国語の発音が難しい

 と言っても・・・・。

 ”リーベンレン”、どうですか?」

「申し訳ないですが、その発音では、

 中国語人達が面食らいますよ。

 人は何を言われているか分から

 ないと、目の前が真っ暗になる

 んですよ。」

「そうなんですか。

 なんかいい方法ないんですかね?」

 

 

 私は、そこで、この問題に真正面から

 取り組むことにした。

 何か月も「ピンイン表」と闘った私自分の

 姿を思い浮かべながら。

 

 その結果生まれたのが、

 『田中式二色刷りピンイン表記法』

 だ。

 

 これを使うことで、日本語人の発音学習

 におけるエネルギーが節約でき、

 苦しみを減ずることが出来るとすれば、

 我が意を得たり、これ以上うれしい事

 はない。