「正しい音」と「通じる音」(6) | 100万人の中国語 

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田中則明(たなかのりあき)
小田原在住。中国語研究家。

二つの壁:「四声」と「日本語にない母音子音」

よく、外国語教師は、ネイティブが良い

か、日本人が良いかが問題にされます

が、私は、事はそんなに単純ではないと

思います。


ネイテイブ教師・・・メリット

           デメリット

日本人教師  ・・・メリット

           デメリット


という風に整理して考えるべきだと考え

ます。


で、本題に戻りますと、中国語学習の

入門期においては、ネイテイブ教師、

日本人教師のメリット、デメリットを勘案

してみると、大差ないはずです


誰が教えようと、悪いレッスンプロとは、

次のような教え方をする人達です。


〇「正しい音」を押し付ける


 例


先生:私のマネをしてください。

    " e "

生徒:" · " 

 先生:もう一回。

 生徒:“ · ”

 先生:もう一回。

 生徒:・・・・・

 先生:・・・・・

 生徒:・・・・・

 先生:・・・・・

 生徒:・・・・・

 先生:・・・・・

 生徒:先生、もう許してください!

 先生:もう少しですよ。

     がんばって!

 生徒:・・・・・・・

 先生:・・・・・・・

 生徒:や~めた!


 では、どう教えるか?


 私は、こう教えています。

 私 :いいですか。

    この音は、日本語にない音です。

    ですから、カタカナでは表わせません。

    でも、「正しい音」もしくは「正しくないが

    通じる音」は、こうすれば出ます。

    口を、ア、イ、ウ、エ、オにしないで

    音を出してみて下さい。」

 生徒:" · "

 私  :通じます。

      OKです。

 

ネイテイブの耳→脳は、「正しい音」で研ぎ

澄まされています。


日本人ネイティブとして、気になる外国人の

発音が多々あります。


例えば、

中国人の一部の人の


「カンケイ」の「ケ」


の音が、気になります。

「正しい音」になっていないのです。


でも、「正しくないが通じる音」の範囲に入って

いる場合は、我慢して、何も言いません。

10年も日本語を習って来て、「国際関係論」

などという講義も受講している人に対して、

いまさら、「あなたの、ケはケになっていない

よ」などというのは、残酷すぎます。


それに、通常は、その人が、「カンケイ」とい

音を今後何千回を聞いてい行けば、自然

「正しい音」に近づいて行くはずですから、

放っておいてやれば良いのです。

余計なお世話はやめましょう。


入門では、まず、「通じる音」さえ身に付けら

れば良いのですから、「正しい音」を無理

しても叩き込もうとするのは、植えたばかり

の苗を、早く育てと引っ張り上げるようなもの


です。


それに、「通じる音」は、全ての音について

出せるようにしなければなりませんので、

やるべきことは他にいっぱいあるのです。

その意味からして、重箱の隅をつつくのは、

愚の骨頂です。



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