apoyandoのブログ

糞尿譚

 3日前から我が家は地獄の様相を呈してきた。家内が立ち上がれなくなってしまったんだ。

 こんな尾籠なことをブログになど書くべきではないかも知れない。人が起き上がることができないと言うことは、排泄動作が不能と言うことである。4回仕様の紙オムツと紙パッドは併用していたが、その朝それらの効能は完膚なきまでに裏切られていた。レンタルしている介護ベッドのマットレスにまで汚物の浸潤は達していた。彼女を引っ張りあげるように立ち上げると、その場で、畳の上に彼女は放尿した。何度も何度も「ごめん」と言いながら。僕は途方に暮れた。折しも外は久方の雨である。寝具を干すこともできない。その後の作業の一部始終の顛末は余りにもおぞましく陳腐過ぎるので記すのは省略する。

病気の進行が速すぎる。



さようならをするために

階下の家内が、珍しく二食しか摂らなかった。アイスクリームだけは食べる。身体はほぼ動かない。いろいろ要求ばかりされて僕はやがて苛つく。でも苛ついている場合じゃないことに、冷静になってやっと気付く。もう幾らもあとがないんだ彼女は。さようならをするために、階下に降りた。うんと優しくしようと思って。
毎日がお別れである。人生はお別れだ。お別れはつらい。だが人生はそう言うものだから仕様がない。

ギターのこと




 ほぼ毎日、ギターは手にする。階下、二階どちらにもいつでも手の届く場所に置いてある。何を弾くのか?ほぼ何も弾かない。曲をほとんど覚えていないからだ。だから適当に弾く。わずかに頭に残っている昔覚えの曲をいろんな風に弾いてみる。キーさえ狂わなければそんなに大崩れはするものではないし、天然の音痴でもない限り、そもそもキーは外れない。本当にアドリブなどに取り組んでいる人からして見れば児戯に等しいものなのかもしれない。

 人に聴かせるものでもないので適当なものだが、手癖があるのでそれなりに個性は出てしまう。当然コード進行は気にするが、あまり気にし過ぎると楽しくない。職人仕事みたいになってしまう。本来必ずしもジャズを志向しているわけでもないのでフレーズはおぼえない。基本的に使用楽器はクラシックギターだし、演奏方法もクラシックの指弾きである。そして演奏時間帯は主に深夜である。

 ビールを飲みながら演る。時には泣く。知らない人から見ればまさに真夜中の狂人の態であろう。どうかどなたもドアを開けないで!

 全窓を二重窓にしているのでこの程度の音は外には漏れていないと思うが、階下の家内には聞こえているとは思う。先にも記したが、彼女は脳神経を病んでいて、時にはるかにギター音以上の奇声を発する。だからオアイコである。不気味な館そのものだと思うが、当の本人は実に楽しいので当分止める気はない。