前作の「顔のない男」で目立たないというよりも自分の存在を隠す事ができる連続殺人犯を相手にしたスウェーデンの刑事ファビアン・リスクの第二作目です。

この「九つ目の墓」を読み始めると、時間的にこの二作目が一作目の前、主人公がストックホルムを離れる原因となった事件である事が分かります。

物語の導入部の手紙ですが、犯人の正体が分かると同時にその意味が分かってきます。

この犯人の計画性、行動力、体力、強い意志が凄過ぎます。

「顔のない男」の犯人のような愉快犯的な所がない、一途な犯人も恐ろしい。

登場人物が多く、スウェーデンとデンマークの両国で捜査が行われるため、登場人物が多く一気に読まないと登場人物と状況に混乱してしまうのではと心配になります。

両国とも女性警官が頼りになるのが救いかな。

デンマークの殺人鬼に関わる精液の件が、今一つすっきりしませんでしたが、連続殺人犯を上手く使った真犯人、その動機が、21世紀ならではと思い知らされました。

長さのわりに、飽きもせず先に先に読むことができました。

 

主人公のファビアン・リスクが同僚二人を見殺しにするのは、後味が悪く、この主人公とは一緒に仕事をしたくないと思ってしまいました、いざという時に頼りになりませんから。

 

悪人がこれでもかと登場するので、真犯人を見る目が甘くなってしまいそうでした。

 

物語のエピローグの次に登場する、恐ろしげな人物が次の作品の犯人かと思うと、また目を背けそうな凄惨な事件を想像してしまいます。