4年後。
静也、晶、拳の3人は高校3年生になっていた。
それぞれ別の高校に進学したが、3人の友情は変わることはなかった。
しかし晶の18歳の誕生日、3人には大きな転機が訪れる。
その日、晶は静也と拳のどちらを選ぶのかはっきり決めることになっていた。
静也も拳も異存はなかった。
「お~い静也、こんなもんでええか?」
拳はキッチンでケーキのデコレーションをしている静也に声をかけた。
静也は一旦手を止め、リビングを覗き込んだ。
そこには晶の18歳の誕生日を祝うさまざまな飾り付けが施されていた。
「おっ!なかなかええやん。」
「拳、意外に器用やん。」
静也が感心したように言うと
「意外は余計や!」
拳はすかさず突っ込んだ。
「まあまあ、もうすぐケーキもできるし拳は休んでて。」
静也はそう言い残してキッチンに戻ろうとした。
「静也!」
それを拳が呼びとめた。
「何?」
「あのさ、今日約束の日やろ、晶が答え出すって言うた。」
「あぁ、うん。」
静也はあいまいに返事をした。
「もしお前が晶とつき合うことになっても恨めへんから。」
「ちゃんと友達として祝福するから。」
「晶とも友達の彼女として接するから。」
「だから心配すんなよ。」
拳は一息に言い切った。
静也はニッコリ笑うと
「そんなん俺もいっしょや!」
「俺も拳と晶がつき合うねんやったら心から祝福するよ。」
「2人の友達として。」
「やろ?」
最後に静也は拳に語りかけた。
拳は静かにうなずいた。
「あ~美味しかった。」
「やっぱ静也の料理はいつ食べても美味しい!」
晶は満足そうに微笑んだ。
「そう言うてもらえたら作った甲斐があったよ。」
静也はうれしそうな表情を見せた。
「ってか、お前もそろそろ料理作れよ。」
「一応、女やねんから。」
拳が晶に突っ込んだ。
「誰が一応や、こんな立派なレディーつかまえて!」
「どこの世界にそんなガサツなレディーがいてんねん!」
「何よ、喧嘩売ってるわけ?」
「何や、やるんか!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
「って、静也止めろよ。」
いつもならすぐに仲裁に入る静也が何も言わないので拳はおもわず文句を言った。
静也は少し寂しそうに笑うと
「この喧嘩も今日で見納めやろ。」
「どんな結論になっても。」
拳も晶もアッという顔になった。
それから拳は晶の方を向き
「そうやな、静也に止めてもらうことがなくなるか、俺と晶の喧嘩がなくなるか。」
「もう答え出てるんやろ、晶。」
その目をしっかりと見据えた。
静也も晶を見つめている。
晶は無言でうなずいた。
「私が決めたんは・・・・・・・・・・・・」
END