だいぶ前に何かのきっかけで「小雪太夫」という人を知った。


きれいな人だなと思った。
でもヘビを食う。生きたまま、食いちぎる。

見世物小屋。
昭和初期~戦後くらいの、ケバケバしくもレトロ、
幻想的で猟奇的な響き。

今ではごく限られた場所でしか見られない。
見てみたいなあ、と思った。

でも仕事も忙しく。
いつしか忘れてしまった。

こないだ、これまた何かのきっかけで思い出す。
最初にしろ、この時にしろ、何のきっかけだったか思い出せない。
縁があるのか、導かれてるのだろうか。

小雪太夫は失踪したらしい。
もう見られない。
でも次のヘビ喰い女もいるみたい。

スケジュールを調べたら、ちょうどやっていた。
新宿花園神社の酉の市。

14時位に到着する。

ヘビ喰い女はいない。

まだやってない。
17時位に出直す。

来てみると、鐘がなっている。
始まっているらしい。

料金は後払い。
導かれるまま、進む。

最初はやもり女。
パッと見は割とキレイな女性。
しかし一点を見つめていて不気味。
手には何かをひっかくのを防ぐためだろうか、布がかぶせてある。

ウジやゲジのような虫を食べる。
ギャーというカンジではある。

次は逃げ遅れた病気の老人。
出てきたのは若い男が醜悪なメイクをした姿。

なぜか鼻からボールチェーンを通し、口から出す。
老人設定は何なんだろう。
逃げ遅れたって、何から逃げ遅れたんだっけ。アナウンスあったかな。

次は7つの乳を持つ女。
中国人ぽい、これまたキレイなカンジの女性。

ベール一枚を通して見たその乳は明らかに特殊メイクです。
まあ、こういうのも見世物小屋の一興なんだろう。

次はジャングルウーマン。
出てきたのは昔懐かしいヤマンバギャル。
これまた、普通にメイクしたらかわいいんじゃないかというような女性。

ロウソクに火を灯し、口に咥える。
最後は10本くらいを口で消す。
おー、というカンジ。

突然「メコン川の原住民」が乱入。
ドライアイスを食う。
扇風機を舌で止めるなど。
電撃ネットワーク的な。

これでおしまい。
見世物はローテで最初の演目に戻る。
既に見た客はハケていく。

思っていたよりは退屈ではあった。
いや、退屈だとか、刺激だとか、そういうのを求めて行ったわけではないんだ。

江戸川乱歩的な幻想、レトロなケバケバしさ、
おれはそういう空気を求めて行ったんだと思う。

モダンなんだ。この見世物小屋は。
ゴキブリコンビナート。アングラ劇団。刺激的ではある。
パフォーマーとして、今や唯一の見世物興行を打っている大寅興行社と組むのもなんとなくわかる。

でも、幻想的ではない。

今じゃもう無理なんだろうけど、身体障害者、傷痍軍人、
そういうのがまだいたころの見世物小屋を見てみたいな。