「そだねー」商標出願、六花亭「独占意図ない」
(YOMIURI ONLINE 2018年3月22日)
LS北見の女子カーリングチームが競技中に発して流行した「そだねー」が、六花亭により「菓子及びパン」について商標登録出願されたようです。
これは、特許庁のデータベースでも、既に確認できます。
出願された商標 「そだねー」
六花亭の「お知らせ」によれば、同社は今まで、「なんもなんも」(登録第5456487号)など、北海道の方言を商標登録してきた背景があるようです。
しかし、LS北見が銅メダルを獲得したのが2月24日、六花亭の「そだねー」の出願は3月1日。タイミング的に需要者の印象が悪くなるのは否めません。
六花亭のお菓子は大好きですが、個人的には「独占する意図はない」という言い分は、やや苦しいように思います。
見た感じ、類似の先願・先登録商標がなければ登録され得る商標です(※追記:栗原先生のブログによると、個人による先願があったようです)。もし登録されれば、商標権が発生し、六花亭の許諾なしに「そだねー」を「菓子及びパン」に使用する行為は商標権(の専用権)侵害になり、「独占しない」と言われても、同業者は萎縮するでしょう。
さらに、申請すれば自由に使えるようにするとのことですが、需要者が六花亭のものと出所混同する可能性や、劣悪な商品を製造する業者に申請されるリスクもあり、そう簡単ではありません。
悪意のある他社の商標登録を防ぐため、という言い分もあるようですが、六花亭は自らの事業範囲である「菓子及びパン」しか指定商品としておらず、これと非類似の全ての商品・サービスについては、他社が「そだねー」の商標出願をした場合でも、六花亭の出願を引用して拒絶されることはありません。
商標は、出願から約1~2ヶ月後には公開され、ネット社会の現在、どの企業がどんな商標を出願したかは、即座に知れ渡ります。また、商標は、需要者の信頼が化体するその企業の商品・サービスの"目印"です。したがって、その採択は、需要者の印象も考慮して慎重に行うべきだと思います。