弁護士が「食えない」は本当か? 増加批判に隠された「不都合な真実」
(2016.05.22 現代ビジネス)
個人的には、弁護士が各士業の専門職分野へ新規参入することは、歓迎です。
記事にある通り、依頼者側からすれば選択肢が増えますし、競争も促されて、劣悪なサービスを提供している事務所は淘汰されるでしょう。
また、各士業の専門職分野の土台にあるのは、民法等の一般法なわけで、様々な法に明るい弁護士の方は、法の全体像が、きちんと把握できていると思います。
弁理士業に関していえば、出願業務だけでなく、特許権侵害訴訟などにまで発展したときに、そのまま単独で代理人として受けられるのも魅力的です。
ただし、もちろん懸念点もあります。
一点は、市場競争の激化により、仕事はできるが、営業が苦手な専門職の士業まで淘汰されてしまいかねないこと。
依頼者のためには、単に料金が安いだけでなく、仕事の質も重要です。しかし、専門職の扱うサービスは目に見えにくく、比較考量されることも少ない。さらに、依頼者も、提供されたサービスが、業界水準として高質なのか、低質なのか分かりにくい業種だけに、営業が上手いだけで、中身が伴わない業者が生き残ってしまう可能性があります。
ただ、これに関しては、我々専門職が、専門業務だけやればいい時代は、もう、とうに過ぎ、営業もきちんと身につけなければならない、ということなのだと思います。
もう一点は、弁理士業に関していえば、技術内容の理解や、拒絶理由通知に適切な対応ができていないのに、依頼を受けてしまう弁護士が出てくること。
私も、明らかに素人が書いたと分かる、権利が穴だらけの稚拙な明細書や、特許庁からの拒絶理由通知に対し、依頼者に平気で的外れの応答案を送る、というような事案を見たり聞いたりしたことがあるだけに、心配せずにはいられません。
これについては、依頼者の方が、弁護士だから、または、当該士業の業務範囲内だから、何でも依頼できる、とは考えずに、その弁護士・各士業の専門業務・得意業務は何かをきちんと把握した上で、依頼をすることが重要だと思います。
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