古川 日出男
サウンドトラック〈上〉

「彼らにあたしを目撃させましょう、世界に」 

『サウンドトラック 古川日出男』 より



ヒツジコは踊る。

レニは現実をshootする。

そして、レニとの出会いによってトウタは、自分が動きだしていることを認識する。


三人の少年少女によって東京は破滅へと進んでいく。

敵が一人ではないことにみな気づかない。

加速度をましていく。



柴田元幸はこの小説を「疾走小説」と言っている。疾走感が特徴の小説はいくつかあるけれど、それはなんというか終わりまで一直線と言った感じ。猛スピードのスポーツカーが目の前を通り過ぎるのを、目が痛くなるほどの風を受けながら必死に目で追う。そんな感じ。でもこの小説は、F1を上空から眺めている感じ。コーナーがあって直線があって、スピードにリズムがある。スピードが落ちたとき、低空飛行になり、スピードが増したときに上昇する。自分で距離を測る余裕がある。恋の駆け引きと一緒。押したり引いたりされていつのまにか夢中になっているのだ。


どうやら私はこの小説に恋をしたようだ。



踊るヒツジコに魅入られてしまった。








[Happiness consists in contentment]

幸福は満足にあり


周りが見えなくて、精神が落ち込んでいるとき。

自分の幸せを他人に求めてしまうことがある。

それは「幸せ」を見失い、「幸せ」がわからなくなるからだ。


『幸福は満足にあり』という言葉は、シンプルに一つの「幸せ」を、そして「幸せ」とは自分で自分にあたえるものだということを教えてくれる。道筋をつねに予測して生きることは難しいけれど、大事な言葉を胸に刻み込み、自分の私信としていれば道筋を見失うことはあっても外れることはないだろう。物事を複雑にしているのは、社会ではなく自分なのだということを肝に銘じて、もっとシンプルに、ポジティブに・・・・


今年の初、「真剣に考えたこと」でした。









「gather」 手当たり次第に集める

「collect」 目的を持って取捨選択して集める


ニュアンスの違いを単語で使いわけるのは、慣れなくて不安になる。


私は話が長いと良く言われる。

ニュアンスの違いを説明するために、一生懸命話す。

なのにそれを単語一つで表すなんて・・・


オー・マイ・ゴッド  ><;



手当たり次第に集めることもあれば、

目的を持って集めることもある。


手当たり次第集めているのは、絵葉書。

目的を持って集めているのは、マッチ。


ニュアンスの違いはとても大きい。

相手にとってはどうでもいいかもしれないけれど、

私にとっては全然違う。

「gather a match」と言ってしまったら、私の中の何かが崩れてしまう。



言葉は自分のためにも他人のためにも、

責任を持って慎重に正しく使わないと・・・・・・・












ジャン・ピエンコフスキー, でんでんむし
おばけやしき

あけましておめでとうございます。

寝正月から脱せず。

暇なくせにブログの更新を怠っておりました。


年初めに去年の出来事を一つ。

西武ギャラリーに「ロバート・サブダ しかけ絵本の世界展」を見に行ってきました。

予想以上の大反響に開催期間を延長したとのこと。

私がすべり込んだ最終日も、すごい人でした。

ロバート・サブダのしかけ絵本がビックサイズになって展示されていました。

『不思議の国のアリス』は絵柄の構図がどくとくで、

トランプが空を舞うシーンは迫力があってすごかったです。

『オズの魔法使い』には電動の仕掛けがあり、

竜巻のシーンは圧巻でした。


私のしかけ絵本との出会いは、

母親が買ってくれたジャン・ピエンコフスキーの『おばけやしき』です。

それこそボロボロになるまで遊びつくしました。

あの何が起こるかわからないドキドキ感は大人になっても健在。

ギャラリーでも大人たちが、目を輝かせながら絵本をめくる。

その姿を見ているとちょっと安心する。


小さいときは大人になるのが嫌だった。

高校にあがると、早く大人になりたいと背伸びをし始めた。

最近自分には、身体の入れ物に見合う精神力はないと気づき始めた。

だからそれを隠すのが大変。

でも「隠さなくてもいいんだよ」と言ってもらえた感じ。


物事がどんどん複雑になっていく。

心の休息を自分に与えるのも難しくなってきた。

だからこそたまに童心に帰ると安心するのかもしれない。


今年はいっぱい童心に帰れる年にしたいな。








野中 柊
ダリア

「私は決して夢を見ない」 『ダリア 野中柊』 より



ずっと装丁のデザインが気になっていた本です。

野中柊さんの本はすべて素敵だけど、

その中からその日の気分でこの本を選びました。


鮮やかな色合い。

純粋でまっすぐなイメージ。

そんな女の子が主人公です。



考え方が浅いとか深いとかではなく

考えている考えていないとかではなく


なんとなく考え

時に夢中で考え


流れに逆らっているつもりでも流される


周りの変化には敏感

でも自分の中の変化には鈍感


誰もが通る一人のようで一人ではない時間

絶望はしてないけど希望もない

「私は決して夢を見ない」


何が彼女をそうさせたのか・・・

彼女は自分の中のその存在に気づいているから?



自分を振り返る。

ちょっと照れて、ちょっと恥じる。そしてちょっと後悔も。

生きるというのは、こういうことの繰り返しなのですね。











角川エンタテインメント
ジョゼと虎と魚たち(通常版)

「なんやあの雲。持って帰りたいわ。」



今週の映画は『ジョゼと虎と魚たち』。

『きょうのできごと』に続いての妻夫木聡と池脇千鶴。

原作は田辺聖子。


足が不自由で世界を知らないジョゼが、

恒夫に出会うことでいろんな物を初めて見たり感じていく。

その感受性に思わず微笑む。

若さゆえの感情。後に気づく理想と現実。

けっしてまっすぐには進ませてくれない世の中。

せつなくて歯がゆい。

でもジョゼの生み出すまっすぐな言葉に救われる。

そんな映画だった。



「なんやあの雲。持って帰りたいわ。」






森 博嗣
女王の百年密室―GOD SAVE THE QUEEN

「これこそ

 少数にして残された墓地

 認識は

 死を拒む物質に刻まれた墓標

 それらを目指して

 機知と礼節の死装束を纏い

 傷みはしない

 傷みはしない

 と繰り返しながら

 愛情たちが行進する」 『女王の百年密室 森博嗣』より



久々に朝倉めぐみさんの装丁本です。

最近、友達に進められて森博嗣を読んでいる。

『すべてがFになる』以来読んでいなかった。

その理由を自分でも説明できないくらいおもしろかったのに。

文句なしの作品ばかり。

だから最近とても幸せ。


「僕は、自分の小説はすべて文字数で把握しているし、

 毎日書く文字数を決めていて、それを大幅に越えて書くことはしない。」

WEBダ・ヴィンチのブログ で言っていたが、

まさに建築学科の研究者といった感じである。


真実とはあくまで理論の上になりたっている。

しかし、その真実は時に個人の価値観や思想によって曲がって見えてしまったり、見えなくなってしまったりする。


その頭の中の雲を、

いつもきれいに晴らしてくれる森博嗣に感謝。







今日は林家正雀師匠の口演会、

かわうち寄席「西早稲田で落語をきく会」に行ってきました。

ボックス席を一つつぶして高座とし、観客定員は50人ほどでしょうか。

飲み物・弁当付きでなんとも贅沢な気分でした。


正雀師匠の落語を聞かせていただくのは二回目です。

一回目は「稽古屋」と「無宿人別帳より『飴屋の卯助』」(松本清張・作)を。

今回は「文違い」と「らくだ」を聞かせていただきました。

この二つは速記本で読んでいたので、

正雀師匠らしさみたいなものがわかってとてもおもしろかったです。


中入りの後に一問一答のようなコーナーがありまして、

落語にあまり詳しくない私はとても勉強になりました。

「一番おめでたい噺はなんですか?」という質問に、

正雀師匠は「がまの油」といっておられました。

彦六師匠が結婚式などでおやりになっていたそうです。

あとは「松竹梅」。

これは私も好きな噺です。


たくさん笑って、帰りは母とたくさんしゃべった。

笑いが心をほぐしてくれる。


師匠の奥様がおっしゃっていたのですが、

師匠のストレス解消は寄席に上がることだそうです。


人を笑わせ、自分も笑う。

それがストレス解消になるなんて。

今日もいい噺を聞かせていただきました。













【Arne アルネ ⑱】

【Arne アルネ ⑱】



特集 飯島康子さん

    主婦の仕事


    よしもとばななさんのエッセイ

    『まもってあげる』


    もっと使ってちゃんと使って

    D&Dとユニオンワークス


    上野茂都さんのうた



「母親の料理の中で何が一番好きか。」

「茶碗蒸し!!」


私の場合即答ですが、みなさんはどうでしょう。

自分のためにも将来隣にいるかもしれない家族のためにも、

食卓だけは明るくしなくちゃ。

そのための基本はやっぱり味と栄養。 


飯島さんは、旦那さんと娘さんのお弁当を毎日作っている。

旦那さんが会社に泊まりだと、4つも5つも作るそうだ。


料理の手際のよさを学ぶにはお弁当が一番。

要領よく、栄養や色合いを考えてつめていく。

一つのフライパンで同時に二つのおかずを作ったり、前の晩の夕飯をアレンジしたり。

頑張ってお弁当を作り続け、なかなかの成果を感じています。


そろそろ食卓で食べる料理のレパートリーも増やさないと・・・

まずはお母さんに茶碗蒸しを教えてもらおう。


あの味がでるかしら。















Billet vol.2

      【Billet vol.2】


「ふかふかのクッションを抱きしめる。

 カシミヤの靴下を履いている。

 焼き立てのパイと紅茶をフーフー冷ます。

 どれも冬だけのしあわせ。

 それらをそっと愛おしむ、あたたかな冬。」

『Billet vol.2』 より



ニットを愛おしむ

あたたかな冬


動物絵本の世界




夏よりも冬が好き。

暑い夏に涼しい格好をするより、

寒い冬に暖かい格好をする方が好きだから。


お気に入りのぬくぬく部屋着。

ブランケットを首に巻きつける。

毛糸の靴下はお母さんのおさがり。

手にはおっきなマグカップにコーンポタージュ。

寝起きが悪ければ、ココア。


ベランダに出る。

自分の白い息で前がかすむ。

コーンポタージュの湯気で鼻先にうっすら汗をかく。

刺すような寒さに首から上だけは逆らっている。


なんて・・・

目前に湖でも広がってたらやってみたいなぁ。


これも大切な夢の一つです。