- 古川 日出男
- サウンドトラック〈上〉
「彼らにあたしを目撃させましょう、世界に」
『サウンドトラック 古川日出男』 より
ヒツジコは踊る。
レニは現実をshootする。
そして、レニとの出会いによってトウタは、自分が動きだしていることを認識する。
三人の少年少女によって東京は破滅へと進んでいく。
敵が一人ではないことにみな気づかない。
加速度をましていく。
柴田元幸はこの小説を「疾走小説」と言っている。疾走感が特徴の小説はいくつかあるけれど、それはなんというか終わりまで一直線と言った感じ。猛スピードのスポーツカーが目の前を通り過ぎるのを、目が痛くなるほどの風を受けながら必死に目で追う。そんな感じ。でもこの小説は、F1を上空から眺めている感じ。コーナーがあって直線があって、スピードにリズムがある。スピードが落ちたとき、低空飛行になり、スピードが増したときに上昇する。自分で距離を測る余裕がある。恋の駆け引きと一緒。押したり引いたりされていつのまにか夢中になっているのだ。
どうやら私はこの小説に恋をしたようだ。
踊るヒツジコに魅入られてしまった。





