夫は15年前に他界してるが、義理の実家とは今でも繋がっている。
88の義父と義母は老々介護をしながらなんとか二人きりで暮らしている。
繋がっているとはいえ、2ヵ月に一回ほどこちらから「お元気?」と電話する程度。
会いに行くのも年2回。
だから、義実家から電話がかかってくるとものすごくどきどきする。
「なにかあった?」
「しかも良くないことが?」
とすぐに連想されるからだ。
数年前にも義父が腰を痛めて起き上がれなくなり、救急車で病院へ運ばれたと電話がかかってきた。
また数年前にも義母が心臓の緊急手術をすることになったと電話がかかってきた。
また数年前にも義母が脳梗塞で倒れて救急車で運ばれたと電話がかかってきた。
また2年前は息子が通信制高校に決まったよと報告した後、「なんとか今からでも全日制を受け直してもらえないか」と
電話がかかってきた。
とにかく義実家から電話がかかってくるときはろくなことがない。
そして昨夜もまた義実家から電話がかかってきたのだ。
どきどきして電話を取る。
「・・・・もしもし?」
義父「あー(私)さんかぁ?あのなー(息子)くんのお誕生日のお祝いをなぁ、現金書留で送ってやろうと準備しとったんやけど
明日は雨やいうやろ?せやからなぁ外に出られへんやんかぁ、郵便局までなぁ、行かれへんやんかぁ
せやから(息子)くんの誕生日には間に合わんからなぁ、とにかく電話せなぁと思って電話したんやぁ」
・・・・・お義父さん!!!
88で足腰が弱く歩くのも歩行器を使ってなんとか歩ける程度、しかもすっかり認知症になってしまった義母を
一人で留守番させられないために、出かけるときは必ず義母を連れて行く義父。
遠方に住む孫におこづかいを送ってあげようと思っても、ちょっと遠い郵便局まで行って、現金書留で送るしか
方法がない義父にとっては、なにかのついででもないと出かけられないのだろう。
義母が元気なときは、すべて彼女がやっていた。
義母が私名義のゆうちょの通帳を持っていて、私がキャッシュカードを持たされていたので
なにかというと、義母は通帳に入金してくれていた。
「お金入れといたから、(息子)くんにお祝いをあげてねー」と電話がかかってきたものだった。
しかし、認知症になってからその通帳を紛失してしまった(たぶん家のどこかにはあると思われる)。
義父に「郵便局に行って通帳の再発行してもらって、こっちにまた送ってや」と言われたけど
また失くすことになりそうだし、私達にお金を送ってもらうために通帳を再発行して義実家に送ることが申し訳なくて
スルーしている。
スルーしていたら「現金書留」で送ってくるようになった。
義父は見た目、ボケていそうだが、さすが元高校教師だけあって頭はかなりしっかりしている。
孫の誕生日も絶対忘れない。
しかし体が思うように動かない。
しかし彼はとても義理堅い。
だから彼はとても心苦しそうに電話をしてきたのだ。
息子が小さい頃は夫の忘れ形見ということで、しょっちゅう遊びに行ったり、電話でも長い事話したり
それはそれはかわいがってくれていた。
しかし、コロナ禍を経て、息子も高校生となり、義父母も年を取り、会う頻度も電話の回数も減っていった。
いつまでも元気でいてほしい。
とはいえ、二人とも88である。
残された時間はわずかだ。
毎年ゴールデンウィークには行くことになっている。
それまでは元気でいてほしいと願うばかりである。