水曜日、特別支援学級の親子面談だった。

 

学校に着いたら職員室にトントンして担当のトモエ先生を呼ぶよう指示されていたので

私は勢いよくトントンしてドアを開ける。

 

すみませーん、トモエ先生いらっしゃいますかー

 

するとドアのすぐそばにいたタヌキ顔副校長がすっ飛んできた。

ものすごい形相で私を廊下に押し出して

 

「な、なんですか??今職員会議中なんですけど!!!」とキレ気味。

 

あのー今日特別支援学級の面談で、トモエ先生とお約束があったんですけど・・・

 

すると職員室の反対のドアからトモエ先生が出てきて

 

「お母さん、こちらです。」と冷静に声をかけてきた。

 

ん??

 

 

そういわれてみれば職員室に入った時、教師が全員そろっていて一斉に私を見ていた。

第三者がちょい顔出しするだけでタヌキが血相変えて出てくるとは

一体どんな会議をしていたのだろうか?

 

そしてそんなヤバい会議をしていたのなら

トモエは指定時刻に廊下で待っていてくれてもよかろうに・・・

 

 

ただでさえ、テンション下がる面談なのにその前からモヤモヤする展開となり

「もう帰ってもいいすか」という気分だった。

 

 

特別支援学級支援員との面談の前にトモエと打ち合わせ(口裏合わせ)があった。

 

僕がこの間、(息子)くんに話したこと、覚えてる?」とトモエ。

 

…学校に行くかと言われたら行くと言えと言われました」と息子。

 

うん、そうだね。それは勉強をするためってわけじゃない。いろんな人とコミュニケーションをとるためにやっぱり学校には来た方がいいんだよね・・・

 

このままうそをつかせる空気になるのが嫌で母は声を大にして割り込む。

 

あの、先日教育委員会の保護者面談では私は息子は今不登校で、今後も学校に行く気はない。でも通級が決まればそれには行くと言っていることをはっきり伝えてあります。

 

そう言ってもトモエは顔色一つ変えず、

あ、そうなんですね。それは(息子)くんが思ったことを言えばいいと思うし・・・

ただ、面接官は勉強のことを言うと思うけど聞き流してていいから。たぶんベテランの女性と面談すると思うけど実際教えてくれるのは若い男の先生だから・・・てきとーに流してくれれば・・

 

トモエは体育教師のくせに声が小さく穏やかにそして長々と曖昧に話す傾向があるので

はっきりいって私ら親子には何も伝わらない。要するに何が言いたいのかがわからない。

 

結局トモエは息子が正直に言うことに同意したのか否かわからないまま

本番になった。

 

 

少し離れた会議室に行くと出迎えたのは3人もいた。

ベテラン女史と若い男子と私と同年代くらいのおじさん。

 

え?3人も面接官がいるの?聞いてない・・・

 

だだっ広い会議室でコの字で左側に面接官トリオと右側にトモエとその助手(誰?)

そして真ん中に私ら親子が座り

面接官との面談をトモエが監視している形になった。

 

うーん・・・空気わる!

 

ベテラン女史がリーダーのようでずっと一人で進行していた。

 

緊張する?緊張するよね。

じゃあまず、なぜあなたが通級に通いたいと思ったか聞きたいんだけど

 

いきなり本題かーい!

さて、息子、どう答える??

 

私はじっと下を見て息子の答えを待っていると

 

 

 

 

 

 

 

 

学校に行くつもりはないけど通級に行くことで何かのきっかけになればと思ったからです!

 

 

 

 

 

おー!!でかした、息子、渾身の勇気を振り絞って堂々と発言をした。

これだけは言いたい!と言ってたことをトモエ見守る3人トリオの前で

息子はしっかりと発言できたのである。

 

 

しかし、トリオの反応は薄かった。

トリオは息子が不登校であることを知らなかったり(トモエがうそを申請書に書いたから)

そもそも通級とは授業を抜けて受けるので抜けた分を自分で勉強できる子が対象なのだと言ったり

息子がレゴブロックが好きだというと

怪獣とか作ってるのかなぁ?とちょっと小ばかにしたような言い方をしたり

とにかくがっかりな話しかしてくれなくて

息子はあきらめモードに入ってしまい、特に否定もせず「まぁそんな感じです」を繰り返していた。

 

面談の最後に「じゃあご縁があったらまたお会いしましょうね」と女史は言い放った。

ご縁ってなんだよ。

 

私ももうどうでもいいやと思ってただひたすら黙って面談は終わった。

 

 

 

学校を出て開口一番、

「勉強ができる子が対象」ってさーそもそも勉強ができるヤツは通級なんか行かないよ!!

 

 

息子は怒っていた。

大人たちにあきれていた。

自分を救おうとしてくれてるのかと思って勇気を出して自分の本当の気持ちを訴えたのに、完全に否定されたのだ。

不登校で勉強もできない自分を。

 

トモエも学校も特別支援学級もそれを牛耳る自治体も

不信感しかなかった。

 

きっかけになればと思ってたけど通級はもういいや 息子がぼそりと言った。

 

 

うん、そうだね。

 

 

私はもうこれで十分と思った。

あの息子の発言が聞けただけでもう十分。

息子は確実に成長している。

学校に行っていなくても。

しっかり悩んで考えて勇気を持って実行できている。

 

 

後日談だが息子は面談前日の塾でハッピーハマダ先生に相談して言うセリフを一緒に考えて

練習をしていたらしい。

 

私はその話を聞いてさらに感動した。

 

息子は自分が納得したことでないと決してやろうとしない。

だから決してハマダ先生に言われたまましたのではない。

信頼するハマダ先生の話を聞いて納得して本当に自分を変えたいと思ったからこそ

ありったけの勇気を出してうそをつけと言われたトモエの前であのセリフを言ったのだ。

 

これはすごいことなのだ。

 

今思い出しても目頭が熱くなる。

 

 

 

それを発言したことが息子にとってはとても大事なことなのに

あの大人たちには何も響かなかったことが残念でならない。

 

 

教育ってなんですか?