ときどきやってしまう長文病です。
誰にも喋れない分、文字に出てしまって。
勢いのまま書いてしまいました。
………………
「どう、手術して、変わった?」
先生のさりげない質問を思い出して、私は悩んでしまいます。
もちろん先生には「腕の可動域も広がってきましたし、体力も戻ってきました」と、順調アピール。
本心ではないけど、ウソでもありません。
どうしても嫌味が出るので書きませんでしたが、「あまり変わっていない」というのが今の私の正直な感想です。
そして私の場合、変わっていないことが最大の恩恵なのだと思います。
こういう病状もあるということ、あえて書いておきたいと思います。
私の僧帽弁閉鎖不全症(MR)は、少なくとも入院した時点ではすでに重度(IV度, severe)でした(胸壁エコーでは過小評価してしまいやすいタイプの逆流だったそうで、のち食道エコーとカテーテルで確定しました)。しかし、私自身は症状をまったく自覚していませんでした。
病状を整理すると、
(2016年ごろ、夏冬と2度だけ外出中に心臓がバクバクして息苦しくなったことがある)
2017年11月:歯科治療開始
2018年1月:趣味のハイキングや仕事をして普通に過ごす
2月下旬:嘔吐(胃腸炎?)
3月はじめ:歯科治療終了、不明熱や体調不良はじまる(感染性心内膜炎感染?)
4月下旬:入院
心臓に違和感を覚えたのは、3回しかありません。2016年ごろに心臓がバクバクして数秒間息苦しくなったのが2回。そして入院直前の2018年4月、階段を踏み外したときに、10秒くらい心臓がバクバクして息苦しくなったのが1回。
頻度から言って、「なんかおかしい”気がする”」としか思えないものでした。
要するに、不明熱が出る2018年3月までは、何も気にせずのんきに日常生活を過ごしていたのです。
循環器内科の先生には「心臓の弁膜症手術は、悪くなり始めの、最初のところでやるのが理想だと、私は思う」と言われました。
僧帽弁逸脱を抱える人は少なくないけれど、それによって将来心臓に過剰な負担がかかるのなら、心臓が疲れきってしまう前に早く対処した方がいい。ただ、将来そのままでも変化しない場合もあれば、あるとき急速に悪化することもあり、それは一人一人先生と相談しながら手術のタイミングを考えることになるのだと思います。私の場合は、感染性心内膜炎を治療したら手術、待ったなしでした。
幸い、私は心不全など心機能に支障をきたす前でしたし、ほとんど自覚症状のない段階で手術を受けることが出来ました。
自覚症状が無かったゆえに、術後との差を感じにくいのです。
例えば、マイナス(病気)からプラス(健康)に近づけば、治療の効果を感じます。それに対して私の場合は、将来大きくマイナス(死に至る)になる落ち始めを、医療に支えてもらい、なんとか転落は避けられた、という状況です。手術によって良くなったのではなく、悪くなるのを食い止めたことが、私の得た最大の恩恵なのです。
(もちろん、多くの闘病生活が教えてくれるように、人生にとってマイナスの病気でも、そのなかで幸せを感じることは出来るのだと思います。病気=マイナスと言うのは、単に健康度合いを数値的に示す比喩だと思ってください)
治療を受けなかった場合の未来を考えるとき、やはり「変わっていないことが最大の恩恵」を実感します。
もちろん、今でもマイナスに転落する可能性はつねにあるので、不安は本当に尽きません。
いちど感染性心内膜炎になった以上、再発ハイリスク群です。あらゆるかたちの再発を考えてしまいます。より治療が困難な、薬剤に耐性を持つ菌、そして死亡リスクが極めて高い菌が付着したら? またあんな恐ろしい手術、それもおそらく正中で、もっとリスクのある、恐ろしい手術をしなければいけません。
それに、MR自体の問題もあります。形成した弁の再手術の可能性はつねに頭をよぎります。縫着した部分が破れるのではないか、なんて、ほぼ有り得ない不安まで考えてしまったこともあります。
今後一生、運動するたび、心臓のことを頭がよぎらない時は無いでしょう。
今おつらい状況にある方のことを想像して、「この程度の病状で何をバカなことを」と私自身も思います。
にもかかわらず、どう頑張っても、この不安は私自身にとっては本物で有り続けています。
どんな病気でも、病気を抱えるというのはそういうことなのだろうなと思います。
なにごとも、悲観的に考えて対策をするというのが私の考えですが、過度な悲観は食い止めないと、不安が暴走してしまいます。
それらの不安に対しては、その可能性は限りなくゼロに近い、と割り切るしかありません。
そのゼロに近い不安におびえ続ける方が、人生の質を落とすことになる。
どこか功利主義のような考え方ですが。
理性でそうやって納得させることしかできません。
でも、私はあれこれ考える一方で、今はそれを吹き飛ばすこともできます。
たいてい、人と話して、美味しいものを食べれば笑顔が戻るものです。
そして、テレビにアニメに映画に本に料理に掃除にグータラ生活に感謝!(ぉぃ
近いうち知り合いと食事に行くのが、目下の楽しみです