『本好きの下剋上』19〜21話|ダームエルとブリギッテの関係・すれ違い整理
19〜21話では、ダームエルとブリギッテの関係が大きく動きます。
表面的には「イルクナー視察」「素材採集」「ダームエルの魔力成長」「求婚の条件」が中心ですが、二人の関係を整理すると、単純な「魔力差を克服して結婚へ進む話」ではありません。
二人とも互いに好意を持っているのに、結婚後の生活について考えている未来が違っていた。
1.19話「イルクナー視察と夏の採集」
紙作りの技術視察のため、ローゼマイン一行はブリギッテの故郷・イルクナーを訪れます。
村の人々との交流や、紙の原料となる魔木(まぼく)の採集を行う中で、ダームエルは普段とは違うブリギッテの姿を見ることになります。
イルクナーはブリギッテにとって故郷です。そこで人々に囲まれ、自然体で過ごしているブリギッテを見ることで、ダームエルは彼女への想いをさらに強くしていきます。
ポイント
ここは単なる紙作りの視察ではなく、ダームエルが「ブリギッテ自身」だけではなく、「彼女が大切にしている故郷」まで意識するきっかけになる場面でもあります。
2.ダームエルの求婚は本気だった
前回の宴で、ダームエルはブリギッテに求婚しています。
しかし、ブリギッテは当初、その求婚を完全には本気だと受け止めていませんでした。
ところが、ダームエルが一人で訓練していることを知ります。
ダームエルが訓練していた理由は、単なる騎士としての鍛錬ではありません。
ブリギッテと結婚するために必要な魔力差を埋めるため、自分の魔力を伸ばそうとしていた。
その事実を知ったことで、ブリギッテはダームエルの求婚が本気だったことを理解していきます。
3.「魔力が釣り合えば結婚できるのか?」
ダームエルはブリギッテに、「魔力が釣り合えば、求婚を受け入れてくれるのか」という趣旨の確認をします。
ここで二人の間に、少なくとも一つの共通認識が生まれます。
「互いに結婚する意思がある」
しかし、これだけで問題が解決したわけではありません。
なぜなら、二人には「結婚後の生活」に対する別々の考えがあったからです。
4.この世界では「好き」だけでは結婚できない
貴族社会では、結婚する二人の魔力の釣り合いが重要な条件になります。
そのため、ダームエルにとっては、
ブリギッテを好きだから結婚したい
↓
しかし魔力差がある
↓
ならば自分の魔力を伸ばさなければならない
という問題になります。
そこで大きな意味を持つのが、ローゼマインから教わった魔力圧縮法です。
5.ダームエルの魔力が成長していく
ダームエルはローゼマインから教わった魔力圧縮法を使い、自分の魔力を大きく伸ばしていきます。
一年の努力によって、ブリギッテとある程度釣り合うレベルまで近づいていきます。
つまり、以前は大きな障害だった「魔力差」が、努力によって現実的に解消できる可能性が出てきたということです。
ここが重要
ダームエルは口だけで求婚しているのではありません。
「結婚するために、自分自身を変える努力をしている」という点が、ブリギッテに伝わっていきます。
6.しかし、ブリギッテが望んでいた未来は少し違う
ここからが19〜21話を理解する上で最も重要な部分です。
ブリギッテは、ダームエルに単純に「結婚してほしい」と思っていただけではありません。
彼女自身、将来的には故郷であるイルクナーを支えたいという思いがあります。
ダームエルがイルクナーに養子・婿入りする
↓
自分もイルクナーに戻る
↓
二人で故郷を支える
つまり、ブリギッテにとって「結婚」は、ダームエルと一緒にイルクナーで暮らすこととも結びついていました。
7.ダームエルは「護衛騎士を続ける」ことを前提にしていた
一方、ダームエルには別の前提があります。
「自分はローゼマインの護衛騎士を続ける」ということです。
ダームエルは、自分がローゼマインの護衛騎士であり続けることをブリギッテも理解していると思っていました。
そのため、「護衛騎士を続けながら、ブリギッテと結婚する」という未来を考えていました。
8.二人は「結婚するかどうか」ではなく「結婚後」を勘違いしていた
二人は「結婚したいか?」という部分では近いところにいます。
しかし、「結婚したら、どこで暮らすのか?」「ダームエルは何を続けるのか?」という部分では認識が違っています。
ブリギッテ
「ダームエルと結婚したい」
↓
「イルクナーに来てほしい」
↓
「一緒に故郷を支えてほしい」
ダームエル
「ブリギッテと結婚したい」
↓
「ローゼマインの護衛騎士は続ける」
↓
「その状態で結婚できるよう魔力を伸ばす」
恋愛の方向は同じなのに、結婚後の人生設計が違う。
9.ローゼマインの「良かれと思って」がさらに話を進める
ローゼマインは、ダームエルとブリギッテの関係を前向きに捉えています。
そのため、ダームエルの結婚に必要となる素材についても手助けをします。
その代表的なものが、21話で採取されるリュエルの実です。
ローゼマインは自分のユレーヴェに必要な素材だけではなく、ダームエルの分のリュエルの実も採取します。
これが後に、ダームエルがブリギッテへ正式に求婚する際の重要な要素となります。
10.21話「リュエルに再挑戦」
秋の素材であるリュエルの実を求め、ローゼマイン一行は森へ向かいます。
前年は強力な魔物に襲われ、採取した実を奪われてしまいました。
さらに、残った実も魔力が濁ってしまい、薬の素材として使えなくなってしまいます。
そこで今年は前年の失敗を踏まえ、より強力な戦力を用意します。
フェルディナンドだけでなくカルステッドまで同行することで、万全の体制で採取に臨みます。
その結果、今年はリュエルの実の採取に成功します。
11.ダームエル分のリュエルの実
ここで重要なのが、ローゼマインがダームエルの分までリュエルの実を確保したことです。
これは単なる素材集めではありません。
後にダームエルがブリギッテへ正式に求婚するための重要な要素になります。
つまりローゼマインの行動は、「二人が結婚できるように、必要な条件を整える手助け」になっています。
12.21話で「魔力条件」が現実味を帯びる
この頃には、ダームエルの魔力も大きく成長しています。
ローゼマインから教わった魔力圧縮法によって、以前よりも大きく魔力を増やすことができました。
その結果、ダームエルとブリギッテの魔力を釣り合わせるという条件が、単なる理想ではなく、現実的なものになっていきます。
フェルディナンドにもダームエルの成長が知られることで、二人の婚姻について具体的な可能性が見えてきます。
13.「二つの問題」を分けて考える
問題① 魔力
ダームエル
↓
魔力が足りない
↓
魔力圧縮法で努力
↓
魔力が大きく成長
↓
ブリギッテと釣り合う可能性
↓
結婚条件が整いつつある
問題② 結婚後の生活
ブリギッテ
→ イルクナーに戻りたい
→ ダームエルにも来てほしい
ダームエル
→ ローゼマインの護衛騎士を続けたい
→ そのままブリギッテと結婚したい
二人の希望が一致していない
14.三人の認識を整理
ローゼマイン
二人が結婚できるよう手助けする。
→ 魔力条件を整えれば前進できると考えている。
ダームエル
護衛騎士を続けながら結婚したい。
→ ブリギッテも護衛騎士継続を受け入れると思っている。
ブリギッテ
イルクナーでダームエルと暮らしたい。
→ ダームエルもイルクナーに来る方向を考えていると思っている。
15.「勘違い」の正体
この二人の勘違いは、「好き」という気持ちを勘違いしていたわけではありません。
むしろ逆です。
二人とも相手を大切に思っているからこそ、「相手も当然、自分と同じ未来を望んでいるだろう」と考えてしまっています。
ブリギッテは「結婚するならイルクナーで一緒に暮らす」と考える。
ダームエルは「結婚しても護衛騎士を続ける」と考える。
どちらも自分にとっては自然な未来なので、相手も同じだと思ってしまいます。
16.19〜21話の時系列
【19話】
イルクナー視察
↓
ブリギッテの故郷での姿を見る
↓
ダームエルの想いがさらに強くなる
↓
ダームエルの求婚が本気だったことが伝わる
↓
「魔力が釣り合えば結婚できるか」を確認
↓
二人の恋愛関係が一歩進む
【その一方で】
ブリギッテ
→ イルクナーで暮らす未来を考える
ダームエル
→ 護衛騎士を続ける未来を考える
結婚後の未来に認識差が存在
【21話】
リュエルの実を再採取
↓
前年の失敗を踏まえ戦力を増強
↓
採取成功
↓
ダームエル分のリュエルの実も確保
↓
ダームエルの魔力成長も進む
↓
魔力という結婚条件が現実的に整っていく
しかし、「イルクナーに婿入りするのか」「護衛騎士を続けるのか」という問題は別に残ります。
17.このエピソードの本当のポイント
「結婚できる条件」は整いつつあるのに、
「どんな結婚生活を送るのか」は二人の間で一致していない。
魔力という「制度上の条件」は、ダームエルの努力によって少しずつクリアされていきます。
しかし、人間同士の「将来についての認識」は、魔力を増やすだけでは解決できません。
だからこそ、この二人の関係には単純な恋愛とは違う切なさがあります。
18.まとめ
19話では、イルクナーというブリギッテの故郷を舞台に、ダームエルの想いがさらに深まります。
同時に、ブリギッテが将来的にイルクナーを支えたいという思いを持っていることが、二人の関係を考える上で重要になります。
ダームエルは、ブリギッテとの結婚のために魔力を伸ばす努力を続けます。
21話ではリュエルの実の採取にも成功し、ダームエルの求婚に必要となる要素も整っていきます。
ところが、二人の問題は魔力だけではありません。
ブリギッテは「イルクナーで一緒に暮らす未来」を考え、
ダームエルは「護衛騎士を続けながら結婚する未来」を考えていました。
「結婚したい」という気持ちは近い。
しかし、「結婚した後、どう生きるか」が違う。
19〜21話は、この二つの違いが徐々に明らかになっていく重要な区間です。
19.二人の関係を図にすると
【ダームエル】
↓
ブリギッテと結婚したい
↓
魔力が足りない
↓
ローゼマインの魔力圧縮法
↓
魔力が大きく成長
↓
ブリギッテと釣り合う可能性
↓
結婚条件が整いつつある
↓
「護衛騎士は続ける」
【ブリギッテ】
↓
ダームエルと結婚したい
↓
故郷イルクナーを支えたい
↓
ダームエルにも来てほしい
↓
「イルクナーで一緒に暮らす」
【二人の共通点】
互いに好意がある
↓
結婚したい
【二人の違い】
結婚後の生活が一致していない
最後に
19〜21話を見るときは、「ダームエルとブリギッテは結婚できるのか」だけを見るのではなく、「二人は結婚した後、どんな未来を思い描いているのか」まで見ると、二人のすれ違いがよりはっきり見えてきます。
そもそも、ダームエルがブリギッテに2度目の告白した時、ブリギッテの返答は、イルクナーの領地をどう思うか、と聞いた、その時ダームエルは良い領地だと返答した。 これで、ブリギッテはダームエルが領地に来てくれると思ってたはず→婿入結婚前提。。
ただ、二人が結ばれると、ローゼマインの秘密を知るダームエルは処分される可能性が高い。しかしこの時の三人(ローゼマイン、ブリギッテ、ダームエル)はその考え及ばず。そしてローゼマインは二人の幸せの為に突き進んでました。