sonohisonotoki | A Piece of You

A Piece of You

my hands are small, I know, but not yours, they're my own.


その日、

9時10分押上待ち合わせの仕事に向かっていた。


いつもなら押上まで行ってからトイレに寄って歯磨きと化粧直しをするところなのに、

なんとなく乗換えの浅草で寄った。


朝の下り電車は空いているのに、上りと同じ2、3分間隔で来る。

押上駅の階段の一番近くに着く車両までホームを歩いて、来た電車に乗った。

向かい合う四つ角のうち3つが埋まっていて、残りの1つに座ると電車は動き出した。


その時、

向かいの人の携帯が手から落ちて壁に当たり、カツッと音が鳴った。


顔を上げた。


そこには懐かしい顔があった。


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いつかのメールにはこんなことが書いてあった。


もし万が一、もしもし万が一、別れるようなことがあったら、俺なら他の人の子でも一緒に育てたいって言うかもしれないですし。


その日からすでに2年近くが経過していた。


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遠い記憶を思い出す。


彼女ができたことなんとなく言ってなかったのは、あの頃季子さんのこと好きだったからかもしません。


その日からもう9年も経っている。


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どこ行くの?

柴又です。

なにしに?

デートです。

こんな早朝から?

もう時間がなくて。

いつ引っ越すの?

来週には発つんです。


彼は春から夢だった教師になる。

地方の私立高校に決まったと、秋頃メールが来た。

そして、東京離れる前に一度会いましょう、とも。


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たった2駅分。

変わらぬ笑顔に手を振って電車を降りたら、振り返らずに階段を下りた。


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遊びに来てください。

うん、行くよ。


その日までに、どれだけの月日が流れているんだろう。


メールアドレスが変わっても保護したままのメールを読み直して、営業鞄に仕舞い、改札を出た。


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music:

ビールとプリン/レミオロメン (for them, and us)


TV program:

ニッポンインポッシブル 

(たまたまチャンネル回していてかなり久しぶりに見たらちょうど乙がゴールするところ。

今日はたまたまが多い。)

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