突然ですが…

 

2017年に福岡県の小児歯科医院で

虫歯治療を受けた女の子(当時2歳)が、

治療後に死亡した事故をご存じでしょうか?

 

亡くなったのは山口叶愛(のあ)ちゃん。

 

局所麻酔のリドカインを使用して

歯を削る治療をしたあと、

叶愛(のあ)ちゃんの体調に

異変が起きたのですが、

その歯科医院の医院長は

その場で救命措置を行わず、

救急車を呼ぶこともなかったとのこと。

 

ご両親が連れていった病院で

叶愛(のあ)ちゃんは2日後に亡くなったそうです。

 

その後、

歯科医院の医院長は業務上過失致死罪で起訴され、

1審2審とも

 

適切な救命措置を怠り、

局所麻酔・リドカイン中毒による低酸素脳症で死亡させた」

 

と認定されて

執行猶予つきの有罪判決が出ています。

(現在歯科医院長が上告中)

 

これが私が今まで把握していた事件の概要です。

 

麻酔薬によるアナフィラキシーショックに対して、

その場にいた医院長が

しっかりと医学的に正しく対応できていれば、

叶愛(のあ)ちゃんの命は失われることはなかった。

 

医院長の「能力不足・非常事態における対応力不足」が

悲劇につながった。

 

なんとも口惜しい事故ではあるけれど、

医院長の「能力不足・非常事態における対応力不足」

を「過失」と認めた上での有罪判決が

1審2審ともに出たことで、

ご両親の無念な思いが

ほんの少しでも救われたらいいな、

と思っていました。

 

 

ところが今日、気になるニュースをネットで見ました。

 

当時、叶愛(のあ)ちゃんを司法解剖した医師によると、

叶愛(のあ)ちゃんには、

麻酔をかけて削らなければいけないような虫歯は

一本もなかったそうです。

 

お時間のある方がいらしたら、

ぜひ↓のほうにリンクが貼ってある

youtube動画を見てほしいと思います。

 

2分48秒あたりから20秒ぐらいで、

司法解剖した池田典昭先生(九州大学名誉教授)が

次のようにおっしゃっています。

 

たぶん、う蝕(虫歯)はなかったんじゃないか。

う蝕がないところをちょこっと削って

ちょこっと詰めたという可能性もあると思うんです。

そもそも痛くなるほど深く削っていないので、

なんで麻酔を注射をしたのか,

というふうに思った覚えがありますね。」

 

 

 

さらに、

叶愛(のあ)ちゃんが亡くなったあとで

開示されたカルテには、

16本のうち14本が虫歯と

書かれていたけれど、

ご両親はカルテ開示を受けて

はじめてそのことを知ったそうです。

 

これは「この歯科医院は相当怪しいな」と思いました。

 

「カルテに虫歯14本と書いて

麻酔をかけて歯を削った」けれど、

池田典昭先生によれば、

「虫歯はなかったか、あったとしても

麻酔をかけるほどの深さではなかった」

ということですよね。

 

それに、

2歳のこどもの歯のほとんどが、

麻酔をかけて削らなければいけないほどの虫歯に

本当になっていたとしたら、

歯医者に行く前に

ご両親がとっくに気づいていると思います。

(ただし、毒親の場合を除きます。)

今は、幼児にも歯科検診がありますしね。

 

叶愛(のあ)ちゃんが行った歯科医院が

診療報酬を稼ぐために、

本来医学的にみて不必要な治療を行う

「過剰治療」をしていた可能性は

十分にあると思います。

 

そして、「未成年に対する過剰治療」の話を聞くと、

私は自分自身の経験から

目まいがするほどイライラしてしまいます。

 

まだ見ていない方がいらしたら、

私自身の子どもの頃の体験を綴ったもので

大変恐縮ではありますが、

↓のシリーズをお時間のあるときに

見ていただけると嬉しいです。

毒親と歯 -3-

毒親と歯 -4-

毒親と歯 -5-

毒親と歯 -6-

 

15歳のときに毒親の親権を悪用されて、

毒歯科医に右上5番(健全歯)を抜かれたこと、

今も忘れてはいません。

 

というより、

今の歯列矯正が長引けば長引くほど、

「あの時の抜歯がなければ、

ここまで歯並び・かみ合わせが崩壊することもなく、

今している矯正も

過蓋咬合を治す作業だけで

もっと早く終わったのに。」

と恨めしく思う気持ちが募ります。

 

「歯列からはみでているから」という理由で

健全歯を抜くのは過剰治療です。

 

その上「本人の意思確認をしていない」という

インフォームドコンセント義務違反もありました。

 

15歳のあの時、抜歯される時、

歯医者の椅子の上で

「この(開業されたばかりの若い)先生は、

私で抜歯の練習がしたいのだろうか、

それとも、抜歯の料金を稼ぎたいのだろうか」

と考えていましたが、

当時の私の想像は

あながち間違ってはいなかったのだろうと

思っています。

子どもの直感はなかなか鋭いものがあったりするものです。

 

毒歯科医のこの先生は今も

一般歯科の診療のかたわらに

MEAW矯正だけでなく、

床矯正も積極的に行われています。

 

このことからも、

どういうポリシーで患者と向き合っているのかが

(わかる者には)わかります。

 

歯科の過剰治療について

より一層問題意識が広がって、

「その治療(たとえば抜歯)は本当に必要か」

というような治療の適否に関する議論が

もっとオープンに行われるようになってほしい、

そして患者(被害者)側の思いも

きちんとくみ取れる方向へ

法制度・保健医療制度を改革してほしいと

強く思います。

 

叶愛(のあ)ちゃんのご両親は

「あの時歯医者にさえ連れて行かなければ」と

後悔されています。

 

叶愛(のあ)ちゃんのケースでは、

本来不必要だった治療が、

歯科医院側の都合(「診療報酬を稼ぎたい」)で

行われたために、

まさに取返しのつかない事態が

招かれた可能性が高いのです。

 

叶愛(のあ)ちゃんに対する

「適切な救命措置を怠った」から医院長は有罪、

というだけでは、ご両親の無念は晴れないでしょう。

 

医学的にみて不必要だったとみられる

「虫歯切削目的での麻酔使用」が

そもそも初めから行われていなければ、

叶愛(のあ)ちゃんが

アナフィラキシーショック状態になることは

なかったのですから。

 

今後の裁判では、

叶愛(のあ)ちゃんへの麻酔を使った虫歯治療は

本当に必要だったのか」まで踏み込んで

審判・断罪してもらえたらいいなと

思っています。

 

そして、

身内をかばって患者を見捨てるのではなく、

池田典昭先生のように勇気をもって

おかしいものはおかしい

と世に知らせてくださる先生が

医師・歯科医師の中から

これからも出てくることを

願います。

 

長文をお読みいただいて

ありがとうございました。