顔を真っ赤にして | apddadcのブログ

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奇妙な姿の浅野さんばかりに目が行っていたけれど、その浅野さんが太巻き越しにしっかりと見つめる先では、女子たちの間で学園の王子様と称えられる黒瀬くんがそのアイドル顔負けの笑顔で浅野さんのことを眺めていて、声援を美麗華評價送ってくれている。
「がんばれー、もう少しで半分だ」
その声援に力をもらったのか、すこし咀嚼する速度が増す。顔を真っ赤にして、潤んだ目で黒瀬くんのことを見つめている。それでも太巻きを食べるのはやめない。
周りからますます聞こえてくる『エロい』とか『卑猥』とかいう言葉には一切耳を貸さず、浅野さんは黙々と太巻きを食べ続けるのだった。
なんだか、一緒の席でご飯を食べている私たちまで注目されているような気分。そんなはずないのにね。とにかく落ち着かない。お弁当に箸がのばせられない。さっきからお腹がグーグーなっているのに。
それは友香も同じようで、ぽかんと口を開けて、浅野さんことを見つめるばかりで、全然箸が進んでいなかった。

結構な時間をかけて、浅野さん、ついに太巻きを一本丸々食べきってしまった。
「み、水ぅ~ 水ぅ~」
そう言いながら、手探りで探り当てたのは私美麗華旅遊糾紛のジュース。私に断ることもなく、一気に飲み干す。
「ぷはぁ~ やっぱ、お寿司にはオレンジジュースよね。って、そんなわけあるかぁ!」
つまらないことを一人で言って、一人でつっこんで、ケラケラ笑いだすし。なんなんだろう、この人?

ようやく、一息ついた様子で、浅野さんがお弁当のおかずに手を付けていると、
「なんかすごかったな。初めて見たよ、弁当に巻きずし丸々一本ってヤツ」
思わず箸につまんだばかりシュウマイを落っことしそうになってしまった。
見上げると、さっきから吉方位の方角に遠く見えていたイケメンの横顔が至近距離にあって。
「ふふふ、そう? 今日は節分だからね」
若干、赤くなりながらも、浅野さん、しっかりと受け答えしている。そして、そのまま、二人は楽しそうに会話を続けるのだった。まるで、そこに私美麗華旅遊糾紛も友香も存在していないかのように。二人だけの会話を。
うん、でも、いつも遠くから眺めているだけだった甘いマスクが目の前にある。とろけるような甘い声が耳元で聞こえる。
こ、これはこれで、結構幸せかも・・・・・・