手放しでは喜べない事情
家事を全くしない彼が八百屋へ行って
適当に買い占めてきていた。
片手には私が好きそうな和菓子が3種類。
そういえば、喧嘩のたびごとに他県から
果物か和菓子が郵送されていたなあ。
それがリアル版で本人と一緒に届いたのだ。
こういう時の心情というのは実に複雑だ。
頂いた品々と気持ちは嬉しいけれども
相手に対する思いと比例するかと問われると
比例しないこともあるからだ。
愛情が完全に冷めたわけではないのだが
子供を産む相手との結婚を望んでいる限り
私とはどう考えても不毛な関係になるだけだ。
そうであれば、サッサと理想の対象の女性と
新しく恋愛した方がいいのではないか。
改めて告白を受けるものの
部屋の中では落ち着いて話せなかった。
私たちは行き先も決めずにバスで移動。
いろんな遠回りをしながら到着したのは
神社がある自然あふれる公園だった。
都会的な場所でのデートはしたことがない。
動物園とか庭園とか温泉とかである。
考えてみれば、私が相手に合わせすぎて
無理をしていたのかも知れない。
毎回デートプランは私に任せられていた。
そんな人と交際したのも初めてで最初は
新鮮だったが、段々と億劫になっていた。
口下手の相手が私に「好きです」と言う。
それって、子供でも言えるセリフであり
根本的な謝罪に対する答えとは違う。
未来が見えない相手になぜ告白するのか?
そのあたりを直球で聞いてみた。
彼:この先、友情関係であっても繋がって
いたい。
あなたがソウルメイトでありたいと言うなら
それでもいい。
私:結婚して子供を授かりたいという
ビジョンは?
彼:それはまだ諦めてはいない。
私:じゃあ、ダメじゃん。
(この男、何を考えているんじゃい?二股希望?)
続く