男もイロイロ・女もイロイロ

あれから私たちは数日間は夜の電話も
せずにいた。
それは再会した時のモヤモヤがあった
からだ。しかし段々と日が経つと
「そういう人間だ」という認識のもとで
夜の電話を再開していた。
互いに互いの地雷を知っているからこそ
言葉選びに慎重だ。
ムカっときたときは一呼吸おく。
ほぐれてきたところで冗談まじりに
チクリと釘を刺す
(前回のモヤモヤの分散化)
言いたいことを言えない関係では電話も
苦痛になってしまう。
わたしの中では内心で「この人とは友人以上
恋人未満の関係性でも悪くないな」と思った。
 
 
10月はあの1回会っただけである。
わたしの方から次は暖かくなる頃ね、
と提案したのだった。
つまりは2023年の春頃ねという意味である。
毎晩電話で話していると、友人関係の方が
居心地がいいような気もしていた。
その間に魅力的な異性が現れたら、それは
それまでという打算もないわけではない。
これくらいの緩さが丁度いいのかも知れない。
 
 
ところが、向こうは必死に会えるように
あの手この手で作戦を練っている。
わたしが好きな野菜や果物を郵送してきたり
11月の休暇を確認している。遠距離の方が
相手の気持ちを身近に感じられる。
近距離にいると逆にモヤモヤする。
相手は見た感じはコワモテで怪獣のようだが
電話で話すときは、わたし以上に女性的だ。
わたしの件で不眠症やその他もろもろ支障が
でたというほどにナイーブのようだ。
わたしは逆で見た目は繊細に見られるが
その実は、男のように淡々としている。
 
 
テレテレしている姿やモゾモゾしていると
イラッとする気性である。口で言う前に
動くタイプである。
彼はのほほんとしていて、とにかくとろい。
物言いもゆっくり、動作も亀のようだ。
私たちは見た目と中身がアンバランス者同士
のお付き合いなのである。
しばらくは、電話だけの関係が続きそうだ。