私は恋をしている。相手は還暦の経営者である。
いわゆるネットで出会い、LINEでかなりの数の
文通を交わしている。その内容は今時のソレと
は違う昭和初期の恋文のような内容から人生観
に至るまで幅広い。他県に在住している者同士
まさか、文明の力に左右されるとは夢にも思わ
ず、興味本位であった。信仰者の私が世の人に
積極的に出会いを探すことを同胞は非難するだ
ろうか。恐らく教会に属していたら問題視され
ていたかも知れない。既に私はバツイチである。
出発点から非難の的だろうが、これに関しては
同情の余地がある理由なのだ。(以下省略)
この還暦の男性と1度目既にお会いした。還暦
とは思えない瑞々しさがあった。体型も大きい。
LINEでかなりの数の文通を交わしているため
直ぐに駆け寄って行けるぐらいの親しさがある。
相手はずっと独身である。結婚相談所に登録し
ても一向に決まらなかったと言う。大学院まで
出た博学の人と知っていたため、上から目線で
威圧感があるのではないかと逃げ道を用意して
いた。話して違和感があれば、仕事を理由に逃
げようと。
ところが、会った瞬間懐かしい感じがした。
話すと、互いに会話が弾んで1時間半も喫茶店
にいる。しかも違和感どころか、もう少し話し
たい。爽やかな還暦の男性に好感を持った。
そして相手もまんざらではない表情を浮かべて
いる。私たちは行くあてもなく、歩いて散歩し
ベンチに座って互いに互いのことを夢中で話し
た。夜はLINEで文通から直接通話に変わった。
私は40代、相手は60代であるが違和感がない。
しかし、相手を知れば知るほど自分の劣等感が
刺激されていた。