静かな夜に安堵して朝を迎えた…けど、

朝5時に母がちょっと来てー!と 叫んできた。
大変よ!!って。

まさか心肺停止とか?!
 
急いで行くと父がベッドの横に横たわっていて
困ったようにしていた。

ずり落ちてそのまま戻れなかったらしい。
あーまいったぞ…父はそんなことを言ってた。

大変なのは
寝そべった状態でどうやら便をしてしまったことだ。
そんなに量は出ない筈だけど、
広がると清拭が大変…
おむつの中への排便はこれがはじめてであった。

私は覚悟を決めて母とおむつ交換をしようとしたら、
2階に犬といてくれという。

母として娘に父親の下の世話をさせるのに  
抵抗があったみたい。
(私はヘルパーの実習でおじいちゃんおばあちゃんのおむつ交換たくさんした経験があるから、抵抗ないんだけど…)

母が一人でしたいなら仕方ない。 

手伝いが必要ならよんでねといって、
犬と二階へあがった。


何故ずり落ちたか?
トイレ?
煙草をとるため?

トイレなら
母さん呼べたはずなのに。

いつも携帯で母を呼ぶ父。

父の携帯の発信履歴を見てみた。 
姉への発信記録があった… 

いつも間違いなく母にかけていたのに、
なぜ間違えたのだろう??

1時間ほどでおむつ交換と着替えがおわり
母はぐったりしてしまっていた。

この時本当にそばにいれてよかった。
ひとりだったら発狂してたんじゃないかと思うほどだった。
相当ショックだったみたい。

便のついたオムツ交換、
お尻の清拭、そして鼻に残る臭い…。

力はいらない父を
ベッドに戻すの大変だったと思う。

看護士さんはそうゆうときは放置して呼んでくれたら応援にいくといってくれた。

例えばトイレにつれていく、それだけでも手伝いが必要なら呼んでもらっていいと。

そのための近所(車で5分)の在宅ケア応援チームを契約したのに…
24時間対応のオプション付きで‥
しかし母は結局いかなる時も助けを呼べなかった。頑張り屋だから(TдT)。

ベットに戻された父は寝始めた。

この出来事を境に
一気に父の意識が低下していった。

寝てばかりになり、
「一気に(がくんと) 来たな」
「もう終わりだな」
…そんな言葉を時折つぶやいてた。

時々、
「あれ俺まだ生きてるのか…?」と言うので
びっくりした。
そうゆうとき「お父さんここにいるよ!」と
声をかけると、
「そうか‥」と言って意識がもどった。
こんなやりとりは数回あった。

まるで魂が彷徨い始めたみたいだ。

看護師さんに今朝のことを話し
父がすこしぐったりしてるのが心配になり
急遽きてもらった。

看護師さんはすぐきてくれた。
父は少し反応した。
この時もまた自分が死んだ時のことを口にした。
「もう、これで焼かれて俺もおしまいかー」って。そんなことないですよーと看護師さん。

でも、
起き上がることもできなかったし 
会話らしい会話はなかった。

そして入所(入院)させたいと相談した。
(緩和ケア病院は2カ所予約したあった)

看護士さんは肛門が開いてきてるから、 
もう数日以内だと言った。
今はかろうじて意識と反応があるなら、
会わせたい人が居るなら呼ぶなら今だとも。
薬や食事は無理に与えなくていいと言う。

便は今後は出てきても少しだから
そんなにオムツ交換は大変ではないですよと。

母は頑張ってみる…と言った。

夕方にはおじさん(父の弟。度々遊びにきてくれる)が来てくれるも、
会話できず、起き上がらず…

おじさんは、うちの犬を抱いて(よくなついてる)、
黙って、
眠り続ける父を見守ってた。

兄弟がなくなるってどんな気持ちだろう。

父はこのおじさん(弟)と
一番よくでかけていたし、
私達もこのおじさんに一番なついていた。

この件を姉に報告したら
午後は休みにして駆けつけてくれた。

みんなでオムツ交換と介護頑張ろうと。

父は最後を自宅でと願ったのだから…

チューリップ黄

この頃母はいよいよかと思ったのか、
父の口座の残高を全部出しておきたいと言い出した。
母と銀行に口座解約相談に行ったが、、
やはり断られた(口座はいくつかあり、この口座はキャッシュカード作ってなかった)。

どうしても本人の一言が必要であるという。
父の免許や、印鑑あってもダメという。

話すのもままらなくなっていたが、そんな事伝えて口座を凍結されてはこまるから、
仕事でとても銀行に来れない、電話もでる暇無い(←嘘)と言ったけどダメだった。

銀行の言い分もわかるけど、、、 
40年以上の付き合いがあるんだからさ〜。。

「娘(私)がメキシコに行くのでお金をあげたいのでどうしても必要なんです」←まあ嘘ではない(笑)

そんな口実で、窓口で引き出せる限度額(80くらい)をとりあえず出して帰ってきた。

これも銀行側は怪訝な顔だったけど。。

弟やおじさんに、父のふりをして電話に出てもらおうかとも考えたが、
良心が痛み無理だった。

結局、父の死後、
「葬儀代だけでも。。」と言ったら、口座は凍結されてしまい(ー ー;)、
遺産相続手続きを終わらせてからの口座凍結解除で父の預金をつかえることになった。

キャッシュカードがない方は
この点気をつけておいた方がいいよ。
他の父の口座の預金は(死後でも)キャッシュカードで下ろせたから。  

チューリップ紫


夜になり、22時頃か、
いきなり父がトイレにいきたいという。

おしっこはおむつでするようになったから、
大をしたいのだろうか?
明け方したのに?

母はオムツにして!と強く言ったが聞かなかった。
うるせーよ!ってまた怒鳴る父。 

そして、歩けないのにいきなり歩こうとした。

この時、
思うように立ち上がれないことに(踏ん張れないことに)
父は戸惑っていた。

仕方ない…と、意を決して
母と姉で支えて、
一歩…がなかなか出ない。。

目の前のトイレが近くて遠い…。


あーもう出る!というから、
立ったまました。

仕方なく私が便をふきとって、
床にこぼれるのはふせげたが。。

何でいきなりこんな事が…
びっくりした。

だってずっと寝ててほとんど反応なかったのに。

そして、
このあと、また深く寝始めた。

寝汗をうっすらかくようになった。

服を剥ぎ取ろうとする仕草をよくした。

父が起き上がったのは
このトイレの時が最後であった。


この日の夜から
ゴロゴロ‥と、
父の喉の奥から音が聞こえるようになった。

死前喘鳴だ。

さらにハッとすることが。
父から甘いようなにおいが父からしてきた。
すこしすえたようなにおい。

それは汗や排泄物のにおいではない。

わたしは昔からいろんな動物飼ってきたが、
彼らは亡くなる前になると独特のにおいがしてた。
それで、動物は命の終わりに、
においが出てくるのだと私は学んだ。

父も、もしかしてもうすぐなのかもと思った。

それでも、
もしかしたら、入院して寝たきりで長生きするのかしら。。?
とも思ったりしていた。