前回は原綿をコーミングして繊維を整えるところまで確認した。

今回はそれを糸にするまでの工程を見ていく。

 

まずは練条工程だ。練条工程では、綿繊維を束にしたスライバーを集めて伸ばす作業をす。

 

(写真:練条機)

 

(写真:8本のスライバーを集めて1本にする練条機)

 

最初に、カード機またはコーマ機で繊維の流れを整えたスライバーを8本集めて太い束にし、

引き伸ばして1本のスライバーにする。

 

(写真:8本を1本にまとめたスライバー)

 

その状態のものをまた8本集めて引き伸ばす。合計64本のスライバーを集めて伸ばすことで、繊維をまっすぐにし、色ムラを安定させたり、太さのムラをなくす。繊維方向と太さなどのムラを整えたスライバーを練条スライバーと呼ぶ。

 

(写真:練条からのスライバーを粗紡機(粗糸を作る機械)の裏に収めて、粗紡機に供給する様子)

 

練条スライバーを、いきなり糸にするには太すぎるため、まずは粗糸と呼ばれる粗い糸の状態にしていく。

 

(写真:粗紡機)

 

粗紡機には4つのローラーがついていて、一番奥のローラー(スライバーに近いローラー)の回転数は遅く、手前のローラーは速く回転する。ローラーの回転速度の差によって、 スライバーの繊維を引き抜いていき、繊維を引き延ばす。引き抜いていくとともに、ここで初めて繊維に撚りをかけて(ねじって)いく。

 

 

(写真:粗糸)

次は精紡工程だ。軽く撚られた粗糸を、所定の太さになるように引き伸ばし、所定の撚りをかけていく。

 

(写真:精紡機)

太さと撚りの強弱で、糸の強弱や質感が変わる。ここでは用途の仕様に合わせて糸を紡ぎ、紡がれた糸をボビンに巻き取る。

 

 

(写真:繊維ほこりを吹き飛ばし、吹き飛ばしたほこりを床に近い下の口から吸い込む)

 

緑色のレーザーで、糸切れをチェックしていく。糸が切れている部分はレーザー光線が当たらないので、緑色の間隔が広くなり、目視で容易にわかる。1時間に5〜10本程度の糸切れが発生するが、発生した場合は切れた部分の光が消える。切れた糸をローラーの手前の部分に戻すと、再び糸を紡ぎ始める。この機械では480個のボビンに糸を精紡することができるが、1時間に10本分以上の糸切れが起こらないように、撚りの強さや紡出量(糸を紡ぐスピード)を調整している。

 

(写真:精紡している様子)

 

精紡工程でようやく綿繊維が、糸になる。

 

(写真:ボビンに巻かれた糸)

 

次の巻糸工程で、精紡工程でボビンに巻かれた糸を何本かあわせて大きなパッケージに巻いていく。

準備作業として、ボビンから糸の端を引っ張り出しやすいようにしていく。

 

 

(写真:ボビンから糸の端を引っ張り出す様子)

 

出荷用パッケージには、円錐形のコーンと円筒状のチーズがあるが、ここではコーンが使用されている。コーンは主に編物(ニット)用、チーズは主に織物用として使用されている。ここではボビンの糸をコーンに巻き返しながら、糸の欠点であるネップ(繊維が絡み合ってできた節)や混入した小さなゴミ、糸ムラなどをチェックし、除去していく。

 

(写真:巻糸機)

ネップや糸ムラを見つけたときは、機械が自動的に糸を切る。 糸を切った場合や、1本のボビンが終わり次のボビンに切り替わるとき、糸をつなぐ作業も機械が自動的におこなう。切れた糸の先を、圧縮空気の力で撚りをほどき、ほどいた2本の先を合わせて撚り直す。これにより、どこにも結び目のない1本の糸で、出荷用製品ができあがる。

 

(写真:自動糸切りと自動糸つなぎの機能を完備)

 

そして最後に出荷前の検品をおこなう。

ブラックライトを当てて、異原糸(異なる糸)が混じっていないかをチェックする。

 

(写真:ブラックライトで検品)

 

撚りの強い製品は、スナール(糸の撚りが縮んでできたループ状の縮れ)がでやすいため、55度で10分間熱処理をしてスナールを抑制する。コーン表面だけでなく、コーン中心部分にも熱が伝わるように真空状態でおこなう。ニットに使う糸は、出荷先の編み機の効率を上げるために熱処理をするが、織糸はピンっと張って使うため、熱処理はしない。

 

(写真:スナールを軽減させる熱処理機)

 

荷詰めの際、人の目でも検品をしてようやく糸は世の中にでていく。

 

糸の品質や番手(太さ)や撚り数により、布のなめらかさや肌ざわりが変わっていくので、最初の糸選びはとても大切だ。

 

次回は、糸が織られて、布になるまでの工程を確認していく。

 

 

(写真:ケースに梱包される前の糸)