あぁ、ついにこの日がやってきた!<三年の月日は長かった
役者もファンも全員が待っていて、待ちきれずに逝ってしまった人もいて。
それでも、歌舞伎は続いてゆく。
四百年も前からずっと The show must go on なんだな。
そして今日の日だって、その長い歴史の中の何気ない一日に過ぎない。
ということで、清清しく晴れ渡る空の元、「杮葺落五月大歌舞伎」のお昼の部に行って参りました。
東銀座の駅で降りて、木挽町広場のごった返す人並みにまずビックリ!
もの凄いわ、コンビニまであるわ、ここで一日過ごしてもいいわ。<爆
赤い綺麗な柱と、見事な和提灯が印象的。
のんびり見ていたいけれど…開演10分前だよヲイ!<走れ
表に上がって役者絵眺めて、門から入って。
<あ、もう吉兆さんお弁当の注文は終わってる!(^_^;)
トイレは…地下か!<ちょっとエレベーターが幅一人分で焦る~
走って上がって、おねいちゃんにチケ見せて案内して貰ってダッシュ。
ハァハァ…二階桟敷ですよ!
<この景色が見たかった
あぁ今、私、歌舞伎座に座ってる!
<この賑わい目出度い最高~♪
新しい花道の板目の白さも眩しく美しい。
これだけでどんなに満足押し寄せるのかわかりません。
さ、お靴脱いで、さっさと座椅子に座りましょう。
拍子木が鳴っていよいよ開幕。
まずは「伽羅先代萩(めいぼくせんだいはぎ)」ですよ。
こけら落とし、豪華過ぎる顔触れは判っていたけれど、こうも並ぶと目眩する!
<国宝(かこれから国宝になる人)だらけ
藤十郎さんの乳人政岡、もう凛として気丈極まりないのに「はんなり」してる。
やっぱり何演じても誰より美しいんだよねぇ。
しかし衣装の重量半端ないから、膝を付く時、本当にドン、って音がする。
それが鳴るのも歌舞伎座の良さだけれど、御年を考えると本当に心配になるくらい。
マジで鍛えてなくちゃ、勤まらないわ。
役者てホント歳無しですな。
政岡の柱に縋って口惜しい苦渋の演技がまた凄い極みだよ!
栄御前、秀太郎さんも、本当に変わらずの可愛さ&出て来るだけで大貫禄。
時蔵さん大物のソコポジ贅沢たまらんな!<嬉
(お練りでダダ捏ねしたらしいな)
ここで特筆すべきは一子千松の市川福太郎君の演技。
普通の子役さんだったけど、最近部屋子になって歌舞伎役者としてのお披露目をしたとのこと。
これからがすご~く楽しみだ!
本当に辛い芝居をコミカルな子役演技が可愛さで救ってくれる。
この日は、毒入りお菓子の桐箱の蓋を、飛び降りる時に踏んでしまって
客席から小さく「あっ!」の声なき声が。<笑
しか~し、本人は微塵も動じず余裕の演技でまたビックリ。
苦しむ声も「あー!」「あー!」<お人形みたいで食べちゃいたい
これからも、上手になっていろいろ魅せてね。
なにも御曹司ばかりがスターになるわけじゃない。
こういう上手いお子さんを大事に育てて養子にして、人気役者がポンと出る。
これから20年、30年、見て行ける幸せをマジ感じるよ。
まさにファンと役者は巡り合わせ。
私は結局、当代(先日亡くなった)勘三郎さんを生で一度も見ることはなかったし。
つまり私にとっての勘三郎さんは先代。
<文七元結、人情話が素晴らし過ぎた!絶対一生忘れない
や、もしかしたら、一番私が長く見るのは七緒八くんだったりして。
<大爆これも楽しみ
と、妄想してる間に舞台は「足利家床下の場」
吉右衛門さんと幸四郎さんの兄弟対決の面白さ。
短いワンシーンなのに、ジリジリと熱い対決だよね~♪
(脚下のネズちゃん、お手てが可愛いよね~)
一言も発せずにオーラーだけの芝居の幸四郎さん圧巻。
そして赤い隈取りも豪快で品と艶がある、私は吉右衛門ファン。<恥
そして私の隣(桟敷の端席)に一人でポツンと座っていた大学生くらいの女の子が、吉右衛門さんの登場にいきなり「特大拍手」かましてた!
<貴女、ファンなのね、渋いよ!お気持ちわかります!
なんだか、私が一番観ていたのもその頃だから、勝手に親戚のような気分で微笑ましく見守ったよ。
先日のNHKの歌舞伎座特番で弁慶の飛び六方で引っ込んだばかりの幸四郎さんがゼイゼイしながら語った一言「こうして歌舞伎は続いて行くんです」の言葉が脳裏に浮かぶ。
こうしてファンも繋がってゆくんだわ。<そうだわそうだわ
…と妄想してる間に、ここで二部の前に20分の休憩。
ロビーに出ていた手鞠寿司の可愛いお弁当でお昼頂きます。
こういうのも歌舞伎の楽しみ。
この14時40分からの中途半端なトコロでまさにジャストなサイズのお寿司。
でもどれも吟味されたネタで穴子なんてふっくら甘いし、サーモン、平目、と美味しいじゃないの。
その場でおねいちゃんが熱いお茶を入れてくれて、桟敷だったからソレ持ってお席に帰ってゆっくり頂く。<幸せ
心とお腹を落ち着けて。(^_^;)
ついに、私の運命の人、片岡仁左衛門丈のご登場。
<私のハムレットはこの人ただ一人ですよ
「廓文章 吉田屋」
こけら落としだから、目出度くて愛があって華がある。
セットの門に門松、本来はお正月の演目。
こういう和事じゃなくって、せっかくの孝玉、もっと「ご両人!」な、孝夫スカッとカッコイイ色悪な演目で観たかったという気持ちも正直無いと言えば嘘になるけれど…
これがもうね。
二人を目の前にするとね。<もう正直演目何でもいい爆
ストーリーは無いも同然だがイチャイチャこれで良いんです!<キッパリ
放蕩息子、所謂、勘当された大店の若旦那が恥を忍んで、馴染みだった花魁「傾城夕霧」を尋ねてくるシーンからの始まり。
孝夫さんがパンフで言う所によると、先代の伊左衛門は若旦那。
当代仁左衛門がやるのはボンボン。<しっかり色を出すのもまた継承
あぁ奇跡の男前、40年以上変わらないってどゆこと!
そんな仁左孝夫様がもうただの5歳児のように演じるのがもう堪らん可愛くてお目出度い。
吉田屋と言えば…「総身が金じゃ!」の名セリフ。
つまり、自分のすべてが金、ってことは、つまり今は身をやつしているけれども、将来、親が自分を見捨てる事など絶対にあり得ないと判っている。
愛されている、と判っているから出る言葉。
夕霧にだって、ソワソワしつつも絶対にまだ自分が愛されていることは判ってる。
この最高の自己肯定。
わけもなく「愛されている」という自信。
仁左衛門さんのボンボンには、それが滲み出ていて嬉しいよ!
ダダ捏ねたり、拗ねたりしてるくせに、後の方であまり顔が見えない側の上手のお客さんに向かって(懐かしい吉田屋の座敷を見回す演技をしつつ)ちゃんと3階までお顔を見せて下さる心優しいサービスも胸キュン素敵だ。
で、炬燵布団を引っ張って不貞寝ですか!汗だくですけど!
貧乏に落ちぶれた侘風情、文の紙などを糊で貼り合わせた(コトになってる)着物を着てるワケですが…さりげなく、その筆文字の跡が「松島屋恋しや…」のファンレターになってるもの泣ける。
こういうお遊びをあちこち見つけるのも楽しい。
黒地に金文字でサラサラ~と書いてあるから目立つ目立つ~♪
後は紫、色彩が(貧乏な役なのに)美しいよね~。
傾城夕霧を探しに、座敷を次々に開けて奥に行く演技も、まるでアニメ特撮のように遠近法で広い座敷を演出。<ヨロヨロと蛇行して歩く孝夫様色っぽい
でいよいよ他のお客のとこから戻った夕霧・玉三郎の決して笑わぬ憂いなお顔。
これぞ「江戸のアンニュイ!」素晴らしいよ!
これでこそ、傾城といわれる所以。
<むしゃぶりつきたくなるイイ女ってこと。
紫の病鉢巻きも痛々しい、守ってあげたくなるじゃないか。
で、まずは見事な打ち掛けを広げて背中を向けてお客に魅せる。
<観客はその見事な衣にまずは大拍手
ハッピーエンドのラストに掛け替えられる打ち掛けは超豪華な金糸ずくしな鶴の模様、コレ婚礼衣装ってことなんですね。
結ばれる二人にただただお客は酔いしれうっとりしてればいいワケです。
もう40年もずっと、こうしてお手々繋いでイチャラブを魅せて貰えてる。
孝玉ファンは世界一の幸せモンです!
ありがとうございます!←おめでとうございます
で、また嬉しいオマケが孫の千之助ちゃんとの競演。
太鼓持ちの役だけど、歳がまだ小さいからだいぶ胴巻き入れてるよね。
後姿がもっちりしてるのもご愛敬。
コメディアンの素質もたっぷりで、特に色男と花魁のラブシーンの時が一番可愛い。
(二人がイチャ前に後を振り向いてあっち向けの目配せ)
すると千之助ちゃんが「お熱いことで…」と言わんばかりに後を向いて背中を仰ぐ仕草が何とも良かった。
途中、孝玉に挟まれて三人手を繋ぐシーンに涙が出そうになっちゃったよ!
こちらも将来、本当に楽しみ。
素直に王道な二枚目役者に育っておくれ。
こういう毒のない正統派王子様が歌舞伎はモチロン、どんなジャンルの芝居にも絶対に、いつの時代も居なくちゃいけない。
て、私はもう密かに、千之助くんのやるハムレットとか、シェークスピアが観たかったりするわけです。
<ちょいと10年待ってるわ
と言うわけで。
あぁ、本当に綺麗な綺麗なモン観て、魂が浄化される。
贔屓で観てこそのこけら落としですよ!
これから死ぬまで楽しませて頂く所存でございます故、隅から隅までずずずぃ~…←長いんで省略
私にとっての新しい歌舞伎座は、幸せにコレ観て開けたというお話で。<笑



