いや人間って、あんまり感動すると語れなくなるもんですね。
たった2日だけのこの公演に、こんなに感動してどうすんだってコトですが。
私の好きなもんが死ぬ程入ってるこんな公演、死ぬまでに何度あるかなと思うと切ないよ。
<どんだけ好きだったんかい!
軽く3週間経ってんのに、まだまともに語れる気がしない。
まずは生演奏の弦楽集団Casanova Stringsの、まさに悪魔に魂を売り渡したような超技巧演奏。
時に音楽が主役になり、そして演奏終わるたびに観客は拍手。
そしてまた芝居が始まるとす~っとBGMになって、ユラユラと芝居を揺らしてくれる。<凄い
前代未聞の初日にパンフ売り切れで注文再版って、まさにこの公演のために作曲されたナンバーが入った特別CDが付いていたからそうなったんだね!
4弦5弦のバイオリンを駆使しての演奏。
まだHP で聴けるから聞いて見て。<音が出ます
これを千秋楽はアンコールでも聴けた幸せ!
まさにこの世の悦楽、魂を売り渡して手に入れた音だわ。
これは朗読音楽劇だから、ステージには高くなった所に3つの椅子。
そのバックにカサノバストリングスのメンバー。<生演奏~
セットはシンプルに、黒い幕と揺らめく炎のライト。
そこに赤いベルベッドの大きな布があちこちに掛かっていて、まるで流れる血潮のよう。
炎のバイオリニスト、ニコラ・パガニーニを紫吹淳。
黒いロング丈のジャケットにロングブーツ、舞台で長い髪は久しぶりかな?
無垢な少年時代から艶悪の色男、冷血に振る舞う孤独な天才、悪魔に魂を売り渡した人生の意外な幕切れを、迫力の男役で。
そして、声優の山寺宏一氏が悪魔から執事から、主役以外のほぼ脇全員を一人六役で熱演。
世に言う所の「全部やまちゃんでいいじゃないか!」を現実に目の前で見た感じ。<爆
特に老齢の執事と若き作曲家ベルリオーズ(ロミオとジュリエットの作曲家)の落差が鳥肌モンだよ。
あと林原めぐみさんもママからジプシーの少女から3役を兼ねてて流石の貫禄、可愛いアニ声と、また違った奥深い演技力に圧倒された。
最初のシーンは、主人を失った館に、ジプシーの少女がニコラを尋ねて来るシーンから。
そこで、執事が思い出を語る形で物語りは始まるんだけど、山ちゃんがニコラのママの役を高い声でまず戯けてやって見せて笑いを取る。
次のママのシーンからは、林原さんが(ジプシーの少女が)「私がやるわよ、気持ち悪いから」と自然に役をお互いに振って朗読劇の世界へと一気にお客が引き込まれて行くって寸法だ。<ナチュラル~
リカちゃん(紫吹さん)だけはパガニーニ一役だけれど、なんせ第一声が利発な男の子の声で「かぁさん!」ですよ。
ファン殺す気ですか?<聴いた瞬間、10cmは椅子から沈
本当の少年は、マジ、トップお披露目「大海賊」のエミリオちゃん以来じゃないのかな?
<爆突然毛は伸びなかったけどな
最初から音楽家らしいウェーヴの掛かったロングの鬘と黒の上質なロングのジャケットコートにニーハイブーツ。<す、素晴らし
これを劇場ど真ん中で2時間見つめられるんだから、芝居同様いや数倍もファン満足。
<ソデに捌けないああっ
暗い十字路は、心の闇の入り口。
一曲一曲、たとえ練習でもリサイタルでも、どこで弾いても、捧げるのは悪魔、実際の観客に捧げることは許されない。
若く才能溢れる音楽家は、冷徹で孤独なエゴイストへと変貌してゆく。
この辺りはリカちゃん演じる男役の真骨頂。
女はとっかえひっかえだらしなくて、でも品格と人を惹き付ける魅力に溢れてて…どうしようもなくイイ男!
これは美味しい。
「自分の魅力を最大限に引き出せる主演作」という役者にとって最大の宝物を、また一つ手に入れたと思うとファンは嬉しいよ。
あの長い脚で踊るわけでもなく、歌うわけでもない。
役者としての演技のみ。しかもほぼ立ってるだけの朗読で、ここまでヤラレルとは思わなかった。
特にニコラのママがコンサートを聞きに来るシーン。
う~ん、あれは反則でしょ!涙がぶわぁっ、と来ちゃうよねぇ。
そして、もう一つ、言いたかったのは、台詞の無いシーン。
今回演奏の部分も長いから、真ん中で、どうするのかと思っていたら…
ピンスポが消えて暗くなると同時に、スーッと静かに脚を開いてポーズを取って座り、微動だにしない。
(まるで一服の影絵となって額縁に入ってしまうイメージ)
これはもう演技意外の何物でもない!
台詞のあるときも無いときも
ニコラ・パガニーニを演じているだけのこと。<惚
弦楽演奏陣のハードさからいって、長期公演は難しいだろうけれど
絶対にまた短い期間でいいから再演して欲しい。
終演後はもちろんスタンディング・オベーション!
作家さんと出演者、演奏者の全員が感想を言って、泣いたり笑ったり。
リカちゃんは(随所で山ちゃんに突っ込まれつつ)声優界の大御所との共演に感動したことをお話。
山寺さんは、ご自身の震災チャリティーのCDのお話もされていて、しっかり活動凄いな~。
林原さんは、お時間を考慮されてか、場に合った劇中の台詞を上手い具合に一言だけ。
シアタークリエの新しいエンタメの企画シリーズのなかの作品とのことだけど
サウンドシアター、別な作品も是非見てみたいな。
カテコのラスト、リカちゃんが客席に小さく投げキッスをしたのを見て、山ちゃんが自分もやる~のゼスチャー?両手ででっかい投げキスで爆笑、楽しい舞台の幕は下りた。
しっかし、これだけ濃いの見ちゃうと、なかなか薄い芝居で満足出来なくなっちゃうよ。<笑