数週間前、会社のおじさんから(たぶん)高校入試の過去問が送られてきまして。
模範解答がついてなかったので、解き方と正答についての見解を求められたわけです(便利に使われる数学オタク…)。
問題文の画像をそのまま貼ってコピーライトの問題に抵触するのがこわいので、ざっくり内容を記述しますと
・AさんとBさんが「じゃんけんをして勝った方が階段を上る」というゲームをしている。
・グーで1回勝てば3段、チョキまたはパーで1回勝てば6段、勝負がつく毎に上れる。負けた方はその場でステイ。
・あいこはノーカウント。勝負がついたところで「じゃんけんを1回実施した」という形でじゃんけんの回数をカウントする。
文章で書くとややこしげですが、要は
「じゃんけんぽん」
「グ・リ・コ(階段上る)」
「じゃんけんぽん、あいこでしょ」
「チ・ヨ・コ・レ・イ・ト(階段上る)」
というあの遊びです。
上の状態なら、問題文の条件では、2回じゃんけんをして(あいこは回数に入れないからね)、どちらかはわからないけれど、グーで勝って3段上るが1回、チョキで勝って6段上るが1回発生した、となるわけです。
余計ややこしかったッスかね。失礼。
この設定で
①〜⑤略(⑥を求めるヒントになりうる内容を含む)
⑥11回じゃんけんを終わったところで、Aさんが7回勝っていて、なおかつ2人が同じ段にいるとき、2人は何段目にいると考えられるか。ありうるものをすべて答えよ。
の⑥の正解は?と訊かれたわけですな。
いや、突然そんなん言われても。
ワイ、数学オタクやけど計算好きなわけではないんよ…と思いながら
「Aさんが上ってる段数の最小は21で、Bさんの最大が24、その間で双方矛盾なく取りうる組み合わせのある値だから、答えは21と24 」
という、非常に雑な回答を送った次第です。
が、これではあまりにも不親切なので、(この件に無関係の)この記事を読んでくださる方に解説しようという、今回は(も?)謎の企画です。
というわけで、今一度状況を整理しますと
1.じゃんけんは11回終わっている→段数はともかく、AさんBさん合わせて11回「階段を上る」という動作をしている
2.そのうち7回はAさんが勝って階段を上っている
↓
1、2より、Bさんは4回勝って階段を上っていることになります。
誰も異論はありますまいが、一応計算式を書いておきます。
11−7=4 です。
問題を解くときは、まずはこういう「すぐ分かる」ことをとにかく書き出すことが大切です。次のステップへの足がかりになる、または書き出すことで関係ないことが分かるからです。
この問題では、Bさんが何回勝っているかはBさんが上っている階段の数を左右しますので、大いに関係がありますね。
で、ここまで分かれば、Aさんが上った段数をx、Bさんが上った段数をyとして、x=yとなるような数を連立方程式で…みたいな流れなんですが、この問題をややこしくしているのは、じゃんけんに勝った回数で階段を上った段数が一意に定まらない、言い換えると「勝った手によって上った段数が変わる」点です(また、これがなければ、Aさんの半分強しか勝ってないBさんがAさんと並ぶことはないわけです)。
条件を絞り込むために、AさんとBさんがどの辺にいそうかアタリをつけていきましょう。
Aさんがグーで勝った回数をa回とすると、チョキ、またはパーで勝った回数は 7−a回と表すことができます。
(ここでチョキとパーを分けなかったのは、どちらで勝っても上れる段数は6なので、同じように扱うことができるからです。こういうとき「チョキとパーは等価である」と言うとか言わないとか←知らんのかい!)
◇グーは3段上れるので、Aさんがグーで勝って上った段数は 3✕a段
◇それ以外は6段上れるので、Aさんがそれ以外で勝って上った段数は 6✕(7−a)段
↓
Aさんが上った段数xは x=3a+6(7−a) ※慣例で"✕"は省略しましたよ
↓
もう少し整理しましょうか。
↓
x=3a+42−6a
=42−3a
=3(14−a) (ただし0≦a≦7)
突然現れた 0≦a≦7に戸惑われた方のために補足しておきますと、これは「グーで勝っている回数は0〜7回の間ですよ」程度の意味ですので、この間で上った段数の最小、最大を求めます。
【最小】全部グーで勝った(a=7の)とき
x=3✕(14−7)=21
【最大】全部グー以外で勝った(a=0の)とき
x=3✕(14−0)=42
つまり、Aさんは21段目から42段目の間にいるはずです。さらに、x=3(14−a)から、Aさんの上がった段数は、範囲内の3の倍数のいずれかと定まります。
同様に、Bさんがグーで勝った回数をbとしてBさんが上った段数yを求めますと(詳細は端折ります)
↓
y=3b+6(4−b)
=3(8−b) (ただし0≦b≦4)
↓
Bさんが上がった段数は、12段目から24段目の間の3の倍数のいずれかとなります。
改めて、Aさん、Bさんが上った段数 x、yを数式で表しますと次のようになります。
21≦x≦42…ⅰ
12≦y≦24…ⅱ
ⅰ、ⅱを同時に満たすのはx、yとも21から24の間ですが、ここで思い出してほしいのは、xもyも3の倍数だということです。
ここから、AさんBさんがいるのは21段目か24段目となります。
とまあ、こんな感じなのですが、これが言えるのは「勝った人が上るだけで負けた人はステイ=一方の勝ちがもう一方の居場所を左右しない」というルールのためで、そのおかげで比較的単純な計算で済むわけです。
同じ6段差がつく勝負でも、たとえば「チョキで勝てば自分が6段上る」「パーで勝てば自分が5段上り、相手が1段下りる」みたいな条件なら、この問題は嫌になるほど複雑になります(なので、仮定してみたけどこの条件で計算はしてないです)。
話を戻して、AさんBさんが21段目、24段目にいるとき、それぞれグー・チョキ・パーを何回出しているか考えてみます。
21段目のとき、Aさんは7回の勝ちをすべてグーで得ています。一方、Bさんの勝ち手はグーが1回、残り3回はチョキかパー(どちらでも良い)です。
↓
Bさんの勝ち手から、Aさんの負け方が見えてきます。少なくとも1回はチョキ、あとの3回はグーかパー(定まらない)を出しています。
24段目のとき、Aさんは7回の勝ちのうち6回をグー、残り1回をチョキかパー(どちらでも良い)で得ています。一方、Bさんは全てチョキかパーで勝っています。
↓
Aさんの負けは、グーまたはパー(定まらない)です。
って、Aさんグー多くない?Bさんなんでチョキばっか出すの?ほんでもって、二人ともパーのこと思い出してあげてよ!みたいな気持ちになってきました。
普通に考えると、グーもチョキもパーも勝てる確率は等しいから、出してる手もそれぞれ1/3ずつになりそうなものなのに…
いやいや、AさんはBさんの心理の裏をかいたのですよ。
じゃんけんではグー・チョキ・パーの勝てる確率は同じですが、グーとチョキ・パーではチョキ・パーの方がたくさん上れる
↓
チョキ・パーの方がお得
↓
チョキとパーならチョキの方が勝つ
なので、効率よくたくさん上るなら、チョキがベストな選択になるのですよ。Bさんがチョキを出そうと思うのは自然なことです。
それを見越して、上れる段数は少ないけれど、Aさんは敢えてグーで勝負に出たのでは。
いや、それにしても、そんだけチョキ出して負けたらBさんも気が付こうよ…
と、架空のじゃんけんを眺めながら色々思った次第です。