
これからの季節、ひときわ違和感を醸すものが、近隣の桜に増えていて気になります。
それは、テングス病。

一部分だけ枝が密になり、こんもりとなんらか巣のようになる病気です。
原因はカビの一種で、幹の傷口などから侵入、増殖すると、植物の成長ホルモンのようなものを分泌するため、とりつかれた桜は、感染した部分から盛んに枝を出します。
この部分は花芽がつかず、花の咲く頃にも葉が繁っています。
なるほど、たしかになにかが隠れ棲んでいそうです。
無秩序に、そしてエンドレスに枝分かれして形成される天狗の巣は、いわば桜の木にできる悪性腫瘍のようなものです。
幹の他の部分に供給されるはずの栄養分を使って枝分かれを続け、桜を衰弱させていると思われ、春が来るたびに
「ああ、なんとかしたい」と、思い出したように呟くのですが、道具の消毒や、カビの付いた枝葉の始末は素人ではなかなか徹底できないようです。
これは、樹木医さんに頼むしかないのかな~
テングス病は桜特有の病気というわけではないですが、我々の身近にたくさん植えられているソメイヨシノは、とりわけこの病気になりやすいそうです。
その原因の一つは、ソメイヨシノがいわゆるF1種であることです。
あ、また知ったかの専門用語使ってきたよ、この人。
ええと、ソメイヨシノというのは、(諸説ありますが)江戸時代に植木屋の染井さんがエドヒガンとオオシマザクラを交配して作った品種なんですね。
で、ソメイヨシノ同士を交配させても、その子孫はエドヒガンとオオシマザクラの遺伝子の割合やら組み合わせが変わってしまってソメイヨシノにならない(これが一世代交配種=F1種)のです。
そんなわけで、世界中に植えられているソメイヨシノは、すべて、かつて染井さんが作った一本のクローンだと言われています。
そのため、ひとつかかりやすい病気があらわれると、みんな同じ遺伝子しか持ってないんでどんどんほかの樹にも伝染してしまうのです。
みんながやたら同じようだと、危機に対する耐性が脆弱になってしまう、とか
お花見って、同じ顔をした美人の群れに見下ろされながら、はしゃいだりお酒飲んだり、調子に乗り過ぎて酔っぱらってゲ○を吐いたりするのに似ていると思うと、ちょっと不気味な行為に見えてくる、とか…
単純に「桜キレイやな~」とだけ思い切れない、春霞のような靄りとした心持ちで、それでも花を待ち侘びます。
あ~、なんとか開花宣言に間に合ったぞ!