さて、入院です。
初日は、手続きを済ませるとすぐに病室に案内されたのですが、とくに自覚症状のない病気だったのでベッドに横になるのも違和感があり、売店でコーヒーを飲んだり、知り合いに入院報告のメールを打ったりして時間を過ごしました。
そして次の日、いよいよ手術です。
過保護な家族に囲まれ、ベッドごとエレベーターで手術室へ運ばれ、麻酔薬の点滴が落とされますと、
「イタイイタイ!!」
血管の中に麻酔が入ってくると、なんというか、血管がピリピリするのです。
そのピリピリが脇の下あたりまで来た、と思ったら、
次の瞬間には、誰かが頬をペチペチ叩きながら
「海月亭さん、聞こえますか?終わりましたよ」てなことを話しかけてきました。
この間3、4時間。『寝てた』という感覚すらありません。
もしもなにかの手違いでこの間に死んでたとしても、オイラはきっと気づいてないだろうな。なんか怖ぇな、全身麻酔。
その後も
「組織の癒着もなく、ぷるんとキレイにとれましたよ」とか
「ようがんばったな」とか、いろんな声をかけられましたが、いかんせん、意識が朦朧としてなにがなんだかサッパリわかりません。
だいたい、麻酔で寝てただけなのでとりわけ頑張ったわけでもなく、頑張ったのは先生の方ですがな的な返事をしたような気がします。
手術後の夜は、さすがに痛みと気管挿管の後の喉のイガイガになかなか眠れませんでしたが、こまめに様子を見に来て下さる夜勤の看護師さんの、スキのないメイクに感心するぐらいの余裕はありました。
頸部を切開したため、体の前半分に力を入れることができず、起きるときには電動ベッドのお世話にならざるを得ませんでしたが、それ以外はとくに不便はなく、
翌朝から普通食を完食し、本を読んだり、院内を徘徊したり、売店でコーヒーを買って飲んだり(またか)、看護学生のマリエちゃん相手に、目線を泳がせながらとりとめない話をしたりしているうちに、退院の日が来ました。
手術後、すぐに血中カルシウム濃度とホルモン量は正常値に戻っていたのですが、しばらくは経過観察の通院が続き、
手術から半年後の検査で、骨密度が同世代並みに戻っていることが確認できたということで、晴れて骨粗鬆症を卒業することができました。
あの日、先生が「血ぃ取って調べてみましょか」と言い出さなければ、オイラは今でも無自覚のまま、骨の時間だけが足早に過ぎて、もしかしたら、ちょびっとぐらい身長が縮んだり、腎臓結石ができたりしていたかもしれません。
くわばらくわばら。
そして、ありがとう先生。
てな感じで、終わります。