わたしの越境していた小学校のそばに商店街があった。
いくつかのお店の子と同級生だった。
ある日、母に若い衆のおかずにモツ煮込みを
買ってくるようおつかいを頼まれた。
学校の帰りに商店街にあるMくんちの
ホルモン屋さんに寄った。
おばさんが、片手鍋1杯分くらいのモツ煮込みを
ポリ袋に入れ、空気を入れ、ちょっとゆるめの
水風船のようにして口を輪ゴムで止めた。
その日はバスで帰ることになっていて、
そのままでは見栄えが悪いと、新聞紙で包んでくれた。
新聞紙の包みを抱えバス停に向かう。
ランドセルに入れようとしたが入らなかったので
両手で抱えて歩いた。
新聞紙に包まれたモツ煮込み風船は
ブニブニと楽しい感触で、わたしの足取りは軽かった。
バスに乗るまでは。
バスに乗ったとたん、ものすごいニンニクのにおいが
袋から漂っていることに気がついた。
周りの目が気になる。
席は空いていたが、恥ずかしいので
降車ドアの手すりに掴まって立った。
手すりにつかまったことで、
モツ煮込み風船を片手で持つことになってしまった。
バスが揺れるたびにジャボジャボと波立つモツ煮込み。
風船の真ん中を下から支えていたため
モツ煮込みが左右に分かれ、パーティーバッグのように
ぶら下げている状態になった。
これはマズイと胸に引き寄せた。
停留所に近づいたバスがブレーキをかけた。
腕に力が入り、モツ煮込み風船を圧迫した。
モツ煮込み風船は新聞紙を突き破り飛び出した。
そして、石油くさい通路を飛び跳ねながら
運転席の方へ転がっていった。
バスの中が絶句という静寂で包まれた。
後にホルモンとは、ほる=捨てる、もん=もの
ということを関西の人に教えてもらった。
わたしは「ホルモン」と耳にするたびに
わざと “ほった” わけではないが
モツ煮込み風船を転がっていくところを
鮮明に思い出すのだった。
いくつかのお店の子と同級生だった。
ある日、母に若い衆のおかずにモツ煮込みを
買ってくるようおつかいを頼まれた。
学校の帰りに商店街にあるMくんちの
ホルモン屋さんに寄った。
おばさんが、片手鍋1杯分くらいのモツ煮込みを
ポリ袋に入れ、空気を入れ、ちょっとゆるめの
水風船のようにして口を輪ゴムで止めた。
その日はバスで帰ることになっていて、
そのままでは見栄えが悪いと、新聞紙で包んでくれた。
新聞紙の包みを抱えバス停に向かう。
ランドセルに入れようとしたが入らなかったので
両手で抱えて歩いた。
新聞紙に包まれたモツ煮込み風船は
ブニブニと楽しい感触で、わたしの足取りは軽かった。
バスに乗るまでは。
バスに乗ったとたん、ものすごいニンニクのにおいが
袋から漂っていることに気がついた。
周りの目が気になる。
席は空いていたが、恥ずかしいので
降車ドアの手すりに掴まって立った。
手すりにつかまったことで、
モツ煮込み風船を片手で持つことになってしまった。
バスが揺れるたびにジャボジャボと波立つモツ煮込み。
風船の真ん中を下から支えていたため
モツ煮込みが左右に分かれ、パーティーバッグのように
ぶら下げている状態になった。
これはマズイと胸に引き寄せた。
停留所に近づいたバスがブレーキをかけた。
腕に力が入り、モツ煮込み風船を圧迫した。
モツ煮込み風船は新聞紙を突き破り飛び出した。
そして、石油くさい通路を飛び跳ねながら
運転席の方へ転がっていった。
バスの中が絶句という静寂で包まれた。
後にホルモンとは、ほる=捨てる、もん=もの
ということを関西の人に教えてもらった。
わたしは「ホルモン」と耳にするたびに
わざと “ほった” わけではないが
モツ煮込み風船を転がっていくところを
鮮明に思い出すのだった。